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神楽  作者: 黒紫
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第28話

第28話


………午前9時15分:姉妹が玄関を出ると、黒い車が止まる。(助手席に朱雪)………

姉妹 「おはようございます」

御影 「おはようございます」

朱雪 「おはようございますぅ」

御影 「お二人とも、後ろに乗って下さい」

〈姉妹が乗り込み、御影は車を発進させる〉

女の人「御影さん、霹靂神の行事に私達が参加しても構わないんですか?」

御影 「はい」「一旦支部へ挨拶に行き、それから神社へ向かいます」

朱雪 「霹靂神様は心が広い御方ですぅ」

「人手が足りない年中行事なので特別に許可を頂きましたぁ」

妹 「という事は、風雅って人に会うんですよねえ」(妹が真面目な顔をする)

御影 「風雅に会いたくないのでしたら、」

「その(あいだ)、朱雪と車の中で待って頂いても構いません」

妹 「いいえ、会います。私も神楽のメンバーだから」

〈5分後〉

御影 「少し気になったのですが、妹さんの『風』に若干変化が見られます」

「近いうちにSクラスの試験が出来るかも知れません」

妹 「私、『フィールド』が使えるようになったんです」

「ある人に先生になって貰って、休日や平日の夕方にも教わりました」

「それで、お姉ちゃんと爆弾の撤去をしてるって話をしたら、」

「『私には まだ早い』とハッキリ言われて、目が覚めたんです」

「私、自分で見ないフリをしている所があるんだって」

御影 「そうですか」

妹 「ねえ、御影さん。御影さんは、この世界は『必然』しか存在しないと思います?」

御影 「いいえ」

妹 「朱雪さんは?」

朱雪 「もし この世界に『必然』しか存在しないのなら、」

「『偶然』という言葉も『必然』という言葉も存在しないと思いますぅ」

妹 「お姉ちゃんは?」

女の人「私はね、この世界は3人の神様が治めてると思うんだ」

「『偶然』も『必然』も ちゃんとあるから、」

「私達はこの世界に留まっていられるんだよっ」

妹 「うーん。やっぱり、みんなそう思ってるんだね」

「私は、今一つ納得出来ないんだけど」


………霹靂神の支部………

地下の駐車場に車を止め、4人はエレベーターで最上階へ。(12階)


………部屋の前:先頭に立っている御影が扉をノックする………

風雅 「どうぞ」

〈4人が中に入ると、風雅が机の前に立ち〉

「御影、久し振りだね。神楽に()き使われてるんだって?」

御影 「はい」「神楽様は容赦無い御方ですから」

風雅 「御影が冗談言うと受けるよ」

御影 「風雅も元気そうで何よりです」

朱雪 「風雅様、お久し振りですぅ」

風雅 「はいはい、お久し振り」

〈風雅が妹の方を見る〉

「ところで、お嬢ちゃんも来たの?」

妹 「私、此の間の時とは違います。子供扱いしないで下さい」

風雅 「ふうん。『移流』と『場』が使えるようになったんだ。可愛いのに頑張ったね」

「でも、御影の足だけは引っ張らないようにしなさい」

妹 「ぶー」

風雅 「さてと」

「ねえ、そこの人。今から私と勝負してみない?」

「貴女、御影と同じくらい強そうだから」

女の人「はい。宜しくお願いします」

風雅 「御影、応接室で待ってて」

御影 「はい」「朱雪」

朱雪 「はい。妹さんも御一緒ですぅ」

〈3人が外へ出る〉

風雅 「貴女。鈴音って能力者を御存知?」

女の人「いいえ」

風雅 「最近 霹靂神と神楽で、Aクラス以上のメンバーが何人も襲われてる」

「貴女の妹には黙っておいたほうが良いよ」

女の人「!?」

風雅 「さて、7階に空いてる部屋があるから、そこでしようか」

女の人「はい」


………応接室(10階)………

3人が部屋に入り、御影と朱雪、妹がテーブルに向かい合って座ると、扉がノックされる。


御影 「どうぞ」

〈30歳位の女性が紅茶と茶菓子(3人分)を持って入って来た〉

女性 「失礼します。お茶をお持ちしました」

〈全員に紅茶と茶菓子が配られ、女性は退出〉

妹 「御影さんは、どっちが勝つと思いますか?」

御影 「お姉さんだと思います」

朱雪 「私もです」


………7階:広さ70平米の部屋に風雅と姉:ブラインドは全て閉められている………

風雅 「このビルには『隠』が掛けられていて、戦いで発生した風は外には出ない」

「私は全力で戦うつもりだし、手加減なんてしないから」

女の人「私も、そのつもりです」


部屋の中央で二人が4メートルの距離を置いて構える。

風雅は右手の拳を胸の高さまで上げ、姉は右手の人差し指を立てた。

その直後、床と天井の両面全体が少し光を帯びる。


風雅 「軽く試してみようか」


風雅は拳から光玉(ピンポン玉強)を次々に飛ばす。(時速20キロ)

しかし姉は、構えたまま動こうとしない。

風雅は、

光玉が姉の手前30センチの所で光を放ちながら次々に消滅する様子をじっと見ている。


風雅 「貴女、『沈黙』に耐性があるんでしょ?」

「消滅の仕方が微妙に違うから、すぐに分かっちゃう」

「敵にヒントを与える戦い方をすると、段々不利になるよ」


姉は何も喋らない。

すると、姉を取り囲むように、40個の光玉(ピンポン玉)が突如出現する。

(姉を中心に半径1メートルの球面状)


風雅 「これはどうかな?」

〈全ての光玉が一斉に姉に向かう。そして、瞬く間に全弾ヒット〉

女の人【・・流石にキツイかな・・】

風雅 「どう?もう動けないでしょ?」

女の人「ええ。動けるようになるまで、10秒は必要ですね」

「でも、貴女よりは早く動けるようになります」

〈風雅は突然 片膝を突き、両手を床に突けてしまう〉

「貴女の体内にある『力』の流れを読んで、」

「私が作った『場』に逆属性の流れを施しました」

〈姉はゆっくりと風雅に向かって歩き出す〉

「体が磁石のように引っ付いて暫く動けないと思います。如何ですか?」

「ただ、発生させるまで時間が掛かるのが難点ですけど」

〈姉は指先に出した光玉テニスボールを、見上げる風雅の顔に近付ける〉

風雅 「参った!」


<応接室>

御影 「決着がついたようです」

妹 「どっちが勝ったの?」

御影 「朱雪」

朱雪 「はい。妹さんを連れて、車の中で待ってます」

妹 「えっ?どういう事?」

朱雪 「詳しくは、車の中でお話します」


妹と朱雪が部屋を出て、エレベーターに乗ろうとすると、

丁度 風雅と姉がエレベーターから降りてくる。


女の人「後でね」

妹 「えっ、ちょっと・・」


妹は朱雪に肩を押されて、エレベーターに乗せられる。

風雅と姉が応接室に入ると、すぐに紅茶と茶菓子が運ばれ、

御影と風雅の雰囲気が少し変わった。(席は妹が姉、朱雪が風雅に変わる)


御影 「実は、一週間後の30日。私の姉と霹靂神様との結婚式があります」

「貴女には是非、出席して頂きたいのです」

女の人「私は構いませんが、神楽なのに大丈夫なんですか?」

御影 「はい」「霹靂神様と神楽様の許可は頂きました」

風雅 「勿論私も呼ばれていて、席は貴女と隣になるように決められてるよ」

「神前結婚式だから、披露宴は近くのホテルに移動するけどね」


<駐車場>

妹 「うー。お姉ちゃん、あんまりだよぉ・・」

朱雪 「これは仕様がありません」

妹 「朱雪さんだって呼ばれてないんでしょ?」

朱雪 「私が出席出来るのなら、みんな入り切らなくなってしまいますぅ」

妹 「朱雪さん謙遜してますね・・」

「はぁ・・」(妹は溜息をつく)



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