第29話
第29話
10分後。御影と姉が車に戻ってくる。
御影 「お待たせしました」
女の人「ごめんね」
妹 「うー」
………20分後:とある神社の駐車場に車を止める(参拝客は疎ら)………
妹 「ここで何をするんですか?」
御影 「実際に私がする所をお見せします」
4人は参道を歩き、本殿前の広い場所に来ると、
御影は立ち止まって右手の掌を空に向けた。
御影 「霹靂神は年に2回、」
「春分の日と秋分の日に、『風』を鎮める『力』を空に放ちます」
〈御影の掌から光玉(ピンポン玉)が0.5秒間隔で次々に出現し、空へ昇る〉
女の人「自然に起こる風は変えないんじゃ・・」
御影 「それは神楽の考え方です」
「霹靂神は自然に起こる風でも、」
「人にとって強過ぎる場合には、風を鎮めて人を守るべきと考えます」
妹 「御影さんは、これを何時もやってるんですか?」
御影 「はい」
「レベル7以上の『補佑』又は『整流』に『隠』を掛け、約1000個飛ばします」
妹 「1000個って・・」「これ、朱雪さんもやるの?」
朱雪 「私は前回、10個作るのがやっとでした」「今回は30個を目標にしています」
女の人「私、やっても構いませんか?」
御影 「どうぞ」「『補佑』と『整流』の割合を『2:1』でお願いできますか?」
女の人「はい」
〈姉は右手の掌を空に向け、1秒間隔で光玉(ピンポン玉)を6個出現させる〉
「あっ、段々分かってきました」
〈20秒後には、姉も0.5秒間隔で光玉を出せるようになっていた〉
妹 「じゃあ、私も・・」
〈妹が右手の掌を上に向けると、ビー玉位の光玉が出て、ゆっくりと上昇を始める〉
「あれっ?」
〈3秒後、今度はピンポン玉より少し大きい光玉が出てくる〉
御影 「それでは駄目です」
〈御影は指先から光玉(ビー玉)を連続で出し、妹の失敗作を消滅させてしまう〉
「私やお姉さんを真似て一気に作ろうとせず、まず『隠』を別にして作りましょう」
妹 「うぅ・・」
〈5分後〉
女の人「風雅さんも別の場所で同じ事をしてるんですよねえ」
御影 「はい」
「貴女はそれを見越して、早く決着がつくようにしたのではありませんか?」
妹 「えっ、そうなの?」「戦いって、すぐ終わるとは限らないんですか?」
御影 「クラスに差がある場合なら、一瞬で決まる時もあります」
「しかし、クラス差が明白な相手に戦いを挑む事など まずありません」
「クラスが近い場合でしたら、いきなり大技を狙う戦法も考えられますが、」
「大技の殆どは発生まで時間が掛かり、相手の耐性による効果も不明です」
女の人「やっぱり、そうですよね」
御影 「風雅の性格から、最初に探りを入れてくると読んだ貴女の洞察力は、」
「これから先の戦いにも大いに役立つと思います」
〈2分後〉
「これ位で十分です」
女の人「もういいんですか?」
御影 「はい」「多過ぎても効果は変わりませんから」
妹 「ふと思ったんだけど、私達って変な集団だと思われてません?」
朱雪 「私が『幻覚』を使っているので大丈夫ですぅ」
「能力者に『幻覚』を見せるのは難しいですが、」
「一般の方々なら、ざっと300人はいけますぅ」
妹 「朱雪さん・・」(少し呆れた感じで)
女の人「えーと、折角だから、みんなでお参りしませんか?」
御影 「はい」
朱雪 「しますぅ」
妹 「だね」
………15分後:駐車場:4人が車に乗り込む………
御影 「お二人とも、ありがとうございました」
女の人「御影さん、疲れてないんですか?」
御影 「私は平気です」
妹 「あぁ、20個作るのがやっとだったよぉ」
朱雪 「私もですぅ」
御影 「ところで、」
「ひと月近く経ちますが、一緒に食事をする約束をしていました」
女の人「そうでしたね」
妹 「わあ、楽しみぃ」
〈5分後〉
「そうだ。御影さん、聞いてもいいですか?」(妹が真面目な顔をする)
御影 「何ですか?」
妹 「御影さんが私を霹靂神に誘った日、御影さん『お墓』に寄りましたよねえ」
「あれは何の意味があるんですか?」
御影 「答えないといけませんか?」
妹 「えーと・・」
女の人「お墓って、外の世界に通じてると考えられているからじゃないんですか?」
御影 「・・・」
女の人「私達の日々の行動は大別できると考えると、」
「普段感じている『流れ』とは違う物って事ですよね」
朱雪 「御影様はお答えにならないと思いますけどぉ、」
「我々人には常時持てない物があるんですぅ」
女の人「なるほど・・」
妹 「うーん。何言ってるのか全然分かんない・・」
………25分後………
とあるホテルのバイキングレストラン。
4人が入室すると、御影が4人分の料金を払い、思い思いの料理を皿に盛る。
妹 「あれっ、朱雪さん、多くないですか?」
朱雪 「私は何時も、二人分頂いてるんですぅ」
妹 「そうなんですか?朱雪さん意外だなぁ」
1つのテーブルに4人が座り、会話をしながらの食事。
妹は牛肉のソテー・パン・コロッケ、姉は魚料理・温野菜・ライス、
朱雪は大盛りパスタとカルボナーラ(並盛り)、御影は白身魚のソテーと温野菜。
女の人「朱雪さん。沢山食べるんですね」
朱雪 「はい。私の体内の声を聞いて、幸せを分けて貰うんですぅ」
妹 「朱雪さん・・」(少し呆れた感じで)
15分後、デザートを持って4人が席に着く。
妹は、御影の皿に所狭しと載せられたケーキ類に目をやると、
妹 「御影さん、実は甘党?」
御影 「いけませんか?」
妹 「・・・」
………家の前………
女の人「御影さん、今日はご馳走になりました」
妹 「とっても美味しかったです」
御影 「それは良かったです」
姉妹 「御影さん、朱雪さん、さようなら」
御影 「さようなら」
朱雪 「またお会いしましょうね」
〈姉妹は玄関の戸を開け、中へ〉
妹 「どうやら、御影さんと朱雪さんの隠れた一面を知ってしまったようだね」
「もう後戻りは出来ないよ、お姉ちゃん」
女の人「そうだね。『毒を食らわば皿まで』って言うしね」
「・・・」(姉は妹の額に人差し指を当てる)
「バカな事言ってないで、今日は これから特訓だからね」
妹 「えっ?」「私は別に構わないけど、お姉ちゃん少し変だよ?」
………9月30日………
午前9時前。姉が小さめの荷物を持って玄関を出ると、黒い車が止まる。
朱雪が運転し、御影が後ろの席に座っている。(全員 何時もの服装)
女の人「おはようございます」
御影 「おはようございます」
朱雪 「おはようございますぅ」
御影 「どうぞ、乗って下さい」
〈姉が御影の隣に座り、朱雪は車を発進させる〉
「一応確認しますが、」
「まず披露宴を行うホテルで着替えをしてから神社へ向かいます」
「式の開始は11時」
「何事も無ければ、式は40分程で終わり、」
「その後の披露宴で貴女を霹靂神様に紹介します」
女の人「はい。分かりました」
「朱雪さんが参加できないのは残念ですが、写真を配ったりはするんですよね?」
御影 「残念ながら、写真撮影は新郎新婦と集合写真の2枚しか許可されておらず」
「それも関係者にしか配られません」
女の人「えっ、どうしてですか?」
御影 「これは霹靂神様の御意向です」
「何故なら、」
「写真やビデオの類は『記憶』に係わる重要事項であると考えられているからです」
<別の時間:神代の御前>
男A 「現在、全ての部隊に待機命令を出しております」
「作戦の成否を確認次第、移動を開始致します」
女 「神代様、レベルAに移行する準備が整いました」「開始時刻は午前10時です」
男B 「本日、霹靂神と閃緑の結婚式が執り行われる模様」
「我々の計画を読んでの行動と思われます」
神代 「良い。全て心得ておる」
男女 「・・・」(男女3人は頭を下げ退出)




