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神楽  作者: 黒紫
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第26話

第26話


御影 「では、『感情』についてお話しましょう」

女の人「私、興味あります」

御影 「まず、感情を表す代表的な言葉に『喜怒哀楽』と言うのがありますが、」

「それぞれに対応したモノが我々の中に存在する訳ではありません」

「厳密には、感情の元になっている物があり、」

「その『変化』と『流れ』を総称して『感情』と呼んでいます」

「生き物と称される物は例外無く その『感情の元』を持っており、」

「高等になる程 扱える『量』と『質』が増加すると考えられています」

「つまり、我々が普段用いている感情とは、それが『分化』した物なのです」

妹 「じゃあ、動物にも私達と同じ感情があるんですか?」

御影 「はい」「但し、全く同じではありません」

「例えば、」

「散歩中の犬が足を取られて躓いた時、飼い主がその様子を見て笑ったとします」

「すると犬は不機嫌になり、怒ったような仕草をする事があるそうです」

「これは、犬が我々の『笑う』という感情を理解しているのではなく、」

「人の中で起こっている変化を読み取っているからだと言われています」

女の人「そう言えば、『笑い』って人間独特で、」

「動物が似た仕草をする場合もあるけど、人間ほどではないそうですね」

御影 「よく、コップに注がれた水が溢れるイメージに例えられたりしますが、」

「人間はコップの大きさを自在に変えられる生き物だとも言えます」

「しかし、完全に自分の感情を自覚できる人は少ないでしょう」

妹 「すると、感情と能力って、やっぱり関係無いの?」

御影 「結論を先に言いますと、関係がある能力と、関係がない能力に分かれます」

「ここから先は、貴女自身で答えを見付けるべきと、私は考えます」

妹 「・・・」

「あっ、そうだ」

「今日、御影さんに、」

「『隠』で意識を読まれなくなるか、試してもらおうと思ってたんだ」

女の人「それ、私もお願いできますか?」

御影 「朱雪」

朱雪 「はい。それでは、私が担当します」

「最初は お姉さんの方から。何か、頭の中で考えてみて下さい」

〈朱雪は目を閉じて集中する:3秒〉

「はい。見事な『隠』です。全く分かりませんでしたぁ」

妹 「次は私だね」

〈同じく3秒後〉

朱雪 「えーと」

「『御影様は笑ったりするのかな?』って思ってますね」

全員 「・・・」


………デパート:エレベーターの前で角星と合流………

御影 「角星さん、宜しくお願いします」

角星 「此方こそ。本体を持ち帰るのが私の仕事なので」


全員でエレベーターに乗り、角星と朱雪が8階、姉妹が9階、御影が10階で降りる。


<角星と朱雪:装飾品売り場>

朱雪 「角星さん、腕を組みませんか?なるべく自然な感じが良いと思うんですぅ」

角星 「いや、組まない」


角星と朱雪は時計コーナーで御影の指示を待つ。


<姉と妹:スポーツ用品売り場>

姉が前を歩き、エスカレーターの上り口付近へ。


女の人「ここがそうだよ」

妹 「私、ちゃんと調べたのになぁ・・」

女の人「何事も経験だよね。御影さんもよく言ってるし」

妹 「うー」


<御影:レストランのフロア>

御影はエレベーターを降りると、2秒ほど目を閉じる。

そして、ゆっくりと歩いて、設置された公衆電話へ向かった。


「皆さん、準備は宜しいですか?」

「『無極』をレベル8以上でお願いします」


<姉と妹>

妹 「お姉ちゃん、『無極』をレベル8以上だって」

女の人「分かった」

〈姉は目を閉じて人差し指を立てる。3秒後、ソフトボール位の光玉が現れた〉

「いいよ」

妹 「じゃあ、『移流』で御影さんに合図を送るね」


<角星と朱雪>

朱雪 「角星さん、『無極』をレベル8以上でお願いします」

〈角星は左手の人差し指を立てる:一瞬で光玉(ソフトボール)が出現〉

「角星さん凄いですぅ」

角星 「『無極』は得意なので」


<御影>

御影は公衆電話の前で、指先の光玉を見つめながら待機している。

次の瞬間、御影は何かを感じ取ると、


「それでは、私の合図でトラップを『無極』に包んで下さい」

「時間の誤差は0.5秒以内でお願いします」

〈御影は大きく息を吐いて〉

「5・4・3・・」

朱雪 「2・・」

妹 「1・・」


〈姉は地面に〉

〈角星は時計が飾られた壁に〉

〈御影は公衆電話に光玉を飛ばす〉


2秒後。各自 沈黙したまま時間が過ぎ、出てきた光玉を見て安堵する。


御影 「上手く行ったようです」「私の所へ集まって下さい」


………5分後:エレベーターの前で合流………

角星と姉が光玉を渡すと、御影は左手の上に3つの玉を浮かばせた。


「えいっ」


御影が掛け声を出すと、3つの玉は一瞬で消滅し、新たな光玉(ビー玉×3)に変化する。

御影はポケットからハンカチを素早く取り出すと、全ての玉を吸収させた。


妹 「御影さんは『移流』でレベル8を無効化できるんですね」

御影 「神楽様ならレベル10でも顔色一つ変えません」

女の人「その反動はどうするんですか?」

朱雪 「これは、御影様の得意技ですぅ」

「特殊な『隠』を使う事によって、武器として持ち運べるようになるんですぅ」

妹 「道理で あの時怖いと思った訳だよ・・」

女の人「そうだね」

御影 「これでトラップを1つ無効化できました」

「皆さん、あと一つのトラップもお願いします」


5分後。

角星と朱雪が1階、姉妹が地下1階、御影が地下2階に行き、さっきと同じ手順で回収。

そして今度は4階に集まって、トラップの無効化を済ませた。


御影 「次は いよいよ本体です」

朱雪 「先ほど、女子トイレの周りに『誘導』を掛けておきました。現在は無人です」


………女子トイレ:御影と姉妹の3人が入る:近辺を角星と朱雪が監視………

女の人「本体は鏡に仕掛けられているんですよね?」

御影 「はい」「何か、気になる事があるのですか?」

女の人「いえ、気のせいかも・・」

〈御影は2秒ほど目を閉じて、指先から光玉(ソフトボール)を飛ばす〉

〈2秒後。鏡から光玉が無事に出てくる〉

御影 「次に『封印』を行います」

「『封印』は、『沈黙』と『隠』の合成で、今回はレベル9以上必要です」

〈御影は右手の掌に光玉を載せたまま5秒間沈黙する〉

「これで終了です」「皆さん、お疲れ様でした」

妹 「意外に早かったね」

女の人「ちょっと待って」「やっぱり、そうだよ」

〈姉は5秒ほど目を閉じると、鏡の中に光玉(ソフトボール強)を飛ばした〉

御影 「これは・・」

女の人「もう一個、鏡の奥にあったんだね。神代は私達を試してるんだよ」

「どの道、神代の優位は変わらないけど、このままじゃ悔しいからね」

御影 「しかし、これはレベル10必要です」「ご自身で封印されますか?」

女の人「はい。やってみます」


………30秒後:3人がトイレから出てくる………

女の人「何とかなったね」

妹 「そうだね。お姉ちゃんっ!」

角星 「皆さん、ご協力感謝します」

神楽 「上手く行きましたね」「ありがとうございました」

女の人「神楽さんは、最初から2つあるって知ってたんでしょ?」

神楽 「はい。神代との戦いは一筋縄では行きませんからね」

〈御影と姉は、光玉を神楽に渡す〉

御影 「申し訳ありません」

神楽 「いいえ、気にしないで下さい」



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