第25話
第25話
………デパート………
神楽 「お願いしますね」
妹はエスカレーターで地下2階、姉はエレベーターで10階(最上階)へ向かう。
妹は各階で、食品・雑貨・アクセサリー・洋服と見て回り、
姉はレストラン・スポーツ用品・装飾品・洋服と順に回る。
………開始から40分後………
女の人「どう?」
妹 「全然ダメ。お姉ちゃんは?」
女の人「取り敢えず3ヶ所見付けたよ。多分3つともトラップだね」
妹 「どうしよう。7ヶ所なんて絶対無理・・」
………更に40分後………
デパート内の喫茶店。奥の席。
(神楽と妹の前にはアイスコーヒー、姉の前にはアイスティーが置かれている)
女の人「・・の6ヶ所まで確認しました」
神楽 「はい。素晴らしい成績です」
「私も念の為、もう一度調べてみましたが、7ヶ所で間違いないようです」
妹 「私、才能無いのかなぁ・・」
神楽 「トラップの中には、能力者が纏っている『風』に反応して発動する物もあります」
「今回は、『隠』が強力になる仕掛けも施されているようです」
妹 「えっ?、でも私、ちゃんと『風』を消してたんだけど」
神楽 「『明』を使う時、一瞬『隠』が途切れたのではありませんか?」
「貴女の風は以前よりも格段に強くなっています」
「風を完全に消すのは容易ではないと思いますが、」
「これからは隙を作らない努力も必要になるでしょう」
妹 「うぅ・・」
女の人「ところで神楽さん。神代の目的って、一体何ですか?」
神楽 「それはまだ分かりません」
「ただ、今 言える事は、これが一種の『爆弾』だという事です」
姉妹 「・・・」(姉妹は思わず顔を見合わせる)
神楽 「本体は4階。5階から上と3階より下に それぞれ3ヶ所ずつトラップがあり、」
「誰かがトラップを発動させるか、」
「外部から本体を起爆させる『力』が伝われば『蹉跌の風』が起きる仕組みです」
「恐らく神代は、全国各地の様々な場所に爆弾を仕掛け、」
「連鎖反応を利用して日本中に巨大な『風』を起こすつもりでしょう」
女の人「そんな事って・・」
神楽 「当然、これを実行に移すには幾つもの条件をクリアしないといけません」
「まず、Sクラス以上の能力者が何十年も掛けて大量の爆弾を用意する事」
「次に、我々や霹靂神に気付かれ難くする為の工作や場所の選定」
「そして、人々が『蹉跌の風』を受けた時の反応です」
「特に最後が重要で、近年の急激な情報機器の発達により、」
「人々の『ある物』の消費量が著しく増加している所が問題になっています」
女の人「すると、人が本来持っている耐性が弱まった所を狙われて、」
「ミスを起こしたり、持ち物の管理が出来なくなったり、」
「簡単に騙され易くなるって事ですか?」
神楽 「はい」
妹 「うーん。私、神楽さんの話を聞いてて、色々と疑問が沸いてきたんだけど・・」
神楽 「はい。納得されるまで、お答えしますよ」
………(会話の途中から)………
妹 「じゃあ、もう打つ手が無いんですか?」
神楽 「結論から言えば、今 我々が行っている事は威力の低下でしかありません」
「神代は勢力が大きく、人海戦術が可能なのに対し、」
「我々だけで爆弾の発見・撤去を行うには人手が足りないのが現状です」
女の人「霹靂神に協力を求めたりはしないんですか?」
神楽 「この件に関し、霹靂神には独自の考えがあるようです」
「一部の地域で撤去を行っているとの報告もありますが、」
「例え協力したとしても、回避には至らないでしょう」
姉妹 「・・・」
神楽 「はい。今日はこれでお仕舞いにしましょう」
「お二人には、今日買った お土産がありますので、」
「是非ご家族で召し上がって下さい」
〈神楽は紙袋を姉に渡す〉
女の人「ありがとうございます」
妹 「そう言えば、全国の特産品フェアをやってるんだったね」
………家の前………
姉妹 「神楽さん、さようなら」
神楽 「さようなら」
〈姉妹は玄関の戸を開け、中へ〉
妹 「どうやら、事態は深刻のようだね。私にも何か出来れば良いんだけど」
女の人「・・・」(姉は妹の額に人差し指を当てる)
「生意気言わないのっ」
「私達は何でも出来る訳でも、何でも分かる訳でもないんだからね」
妹 「ぶー」
………午後1時過ぎ:昼食後:玄関で靴を履く妹………
女の人「出掛けるの?」
妹 「ちょっと、お礼を言いに行ってくるよ」
「電話だけじゃ、この気持ちは伝えられないから」
女の人「そう。いってらっしゃい」
………午後2時過ぎ………
とある喫茶店。奥の席で会話を楽しんでいる鈴音と妹。
妹の前にはアイスコーヒー、鈴音の前にはカフェオレが置かれている。
妹 「ねえ、鈴音さん。鈴音さんって、能力者なんでしょ?」
鈴音 「ええ。そうですよ」
妹 「じゃあ、霹靂神か神代のメンバーなんですか?」
鈴音 「その質問には答えられません」「あなたの為にも」
「何故なら、知る事は無償ではないし、」
「知った事によって不利益を被る事だってあるんですよっ」
妹 「鈴音さん、嘘ついたりする人じゃないですよね?私、分かるんです」
鈴音 「私、嘘はつかないですね。多分」
「だって、違う事 言うのって、面倒臭いじゃないですか」
………次の日(日曜日)………
午前9時。姉妹が玄関を出ると、黒い車が止まる。(助手席に朱雪)
姉妹 「おはようございます」
御影 「おはようございます」
朱雪 「おはようございますぅ」
御影 「お二人とも、後ろに乗って下さい」
〈姉妹が乗り込み、御影は車を発進させる〉
「神楽様からお聞きになっていると思いますが、」
「作業手順は まずトラップを無効化してから、本体の撤去・封印」
「安全を確認した状態で本部に持ち帰ります」
「デパートの上層と下層にある3つのトラップは互いに作用し合っていて、」
「3つ同時に無効化しないと本体が起爆する仕組みです」
「ですから、我々を3つのグループに分け、テレパシーで連絡を取り合います」
「メンバーは角星さんと朱雪、私、それと貴女方二人です」
「又、神楽様が万が一に備えて外で待機されています」
女の人「えっ?私達二人って・・」
妹 「お姉ちゃん」
「私、御影さんの声が聞こえるから、大丈夫だよ」
女の人「そう・・」(少し呆れた感じで)
妹 「ねえ、御影さん」「前から聞こうと思ってたんだけど、」
「御影さんの車にも『力』が付加されているんですよね」
御影 「はい」「神楽様ほどではありませんが、搭乗者の補助や防御に優れています」
「高いレベルの『隠』を用いれば、気付かれ難くなるだけでなく、」
「長期間に亘って『力』を保持できます」
「AクラスとSクラスの違いは、」
「『隠』を自在に操れるかどうかであると言っても過言ではありません」
妹 「それで御影さんの車からは何も感じないんだ・・」
「じゃあ、朱雪の『隠』って・・」
朱雪 「修行中ですぅ」「日々努力していますぅ」
妹 「そうそう。私、やっと『移流』が使えるようになったんですよ」
「お姉ちゃん意地悪だから、何時もやられてるけど、」
「やっぱり、感情と能力って関係あるんですか?」




