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平凡魔王の善行日記  作者: 雪月華
エルシュテン
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19話『エルスの奮闘』(エルス視点)

クロノスがルリ達と別れ駆け出した頃、エルスは《岩巨亀(ロックトータス)》へと仕切りに斬馬刀(仮)もとい、巨直剣(グライゼン)『バルムンク』を振るい、猛攻を仕掛けていた。


「くっ、さすがに固い。」


バルムンクを振るが、その度に岩巨亀の外皮を破る事が出来ずにガギンと言う音が虚しく響く事になる。


足場の悪さもあり、踏ん張りが効かず、結果として岩巨亀の岩の外皮を打ち破る事が出来ず、攻め切れない。


対して、岩巨亀は全長40メートル越えの巨体と、体重で身体を安定させているが、攻撃対象のエルスを捕らえる事が出来ずにいた。


「ブァァァァァァァァァァァ!!」


「ふん、叫べば私が怯むとでも。」


とは言え、打ち破る事は出来ずとも、私がアレの攻撃を食らわなければ、皆が山を越える時間を稼ぐ事が出来る。後は、アレをどう撒くかだな。


そんな事を考えるエルスを逃がさないとばかりに、岩巨亀は口から岩を吐き出してくる。


「っと、危ない。」


エルスはそれを難なく避ける。しかし、岩巨亀は岩を連続で吐き出し続ける。その数は20を越えている。そんな中、エルスには余裕があるのか、涼しい顔をしていた。


「やれやれ、そんな雑な攻撃で私を倒そうと言うのか。...ふっ...はっ...やぁ...」


迫りくる岩の大軍を必要最低限の足さばきで避け、必要が有れば、バルムンクで受け流し、打ち破る。

岩が巻き上げた雪煙が晴れる頃には、エルスは無傷で佇む。


しかし、避けてばかりでは、こちらの体力が持たない。やはり、何とかして、アレの外皮を打ち破る必要があるな。

その方法もあるが、魔力を練り上げ、綴る必要がある。その時間をアレが与えるとは思えない。


「ブォォォォォォ!」


その時、もう一体の岩巨亀が麓の方からこちらへ向かってくるのが見えた。


「チッ...」


どうやら、先程からの雄叫びはつがいを呼び寄せる物だったようだ。その事に気がつき舌打ちをするが、つがいの岩巨亀はもう間近だ。

エルスはバルムンクを構え、迎撃する体勢を取った。


「(一体の横っ面に一撃加えて、一気に駆け抜ける。)」


「行くぞ、デカ物。うぉぉぉ...」


麓の方から登って来る岩巨亀へと駆け出すエルス。その後を追うように、山頂側にいたもう一体も、麓へと向け、地響きをあげながらエルスを追い駆ける。

しかし、いくら下り坂とは言え、足場の悪さがあり、どんどんと岩巨亀に距離を詰められて行く。


麓側の岩巨亀の距離も目と鼻の先。ならば、行くしかない。


エルスは足の裏へ、魔力を集め、一気に爆発させた。これにより、一時的に驚異的なスピードと跳躍力を手にするが、足への負担が大きい。


空を駆け、麓側からこちらへ向かってくる岩巨亀へ向かいながら、バルムンクへと魔力を込めて行く。自身の身体への負担を度外視しようやく、魔力を練り上げる時間を作りだしたエルスは魔法を綴る。


「うぉぉ、『十色鋼(ブラスティア):(セキ)』!」


バルムンクの刀身が、魔法名を唱えると同時に赤く紅く色を変えていく。それは次第に辺りの景色を歪ませ、距離があるはずの雪を溶かし、刀身は炎に包まれていく。


十色鋼とは。

バルクホルン家に伝わる鋼属性と他属性の混成魔術である。

炎の(セキ)、水の(セイ)、風の(リョク)、雷の(コウ)、光の(ハク)、土の(オウ)、氷の(ギン)、木の(スイ)、鋼の(クロ)、闇の(アン)


バルクホルン家に産まれた者は、必ずこの十色鋼を修得させられる。ただ、全ての色鋼(いろがね)を覚えなければいけない訳ではなく、自身に合った色鋼を修得する。


実際にエルスは先程の紅鋼(セキガネ)以外には、黄鋼(コウガネ)鉄鋼(クロガネ)しか色鋼を修得していない。


炎の魔剣と化したバルムンクを空中で、岩巨亀の首筋へと叩き込む。ガギンと言う音が響くが、エルスは構う事なく、さらに魔力を込めていく。

すると、刀身と岩巨亀が触れている場所が紅白くなっていき、次第にバルムンクの刀身が岩巨亀の首筋へと食い込んでいった。


超高温となったバルムンクの刀身が岩巨亀の岩の外皮を溶かし、溢れる血すら、一瞬で蒸発させていく。岩巨亀は危険を感じに取り、バルムンクごとエルスを吹き飛ばそうと暴れるが、暴れれば暴れる程刀身は首筋へと食い込んでいく。


「(くっ...まだ...切れない、のか)」


山頂側からこちらへ向かってくる岩巨亀も目と鼻の先にまで迫って来ている。しかし、だからといって今、バルムンクを手放し、この場を離れれば、後は武器もなく、2体の岩巨亀に殺されるしかない。


「(離脱は、出来ない...ならば、こいつだけは、必ず、倒す。)」


エルスが死の覚悟を決め、さらに魔力を込め、バルムンクの刀身温度をさらに高めた。その時...


「「水弾突撃(アクア・アサルト)」」


聞きなれぬ、魔法名がどこからともなく綴らると共に、背後から何か重い物が倒れる音とが響く。


「エルスさん、今のうちに。」


その声は、最近知り合った彼の声。

まだ、こちらまで距離があるのか、叫ぶようにこちらへ声をかけてくる。


「(まったく、逃げるように言っておいたのに)」


エルスは自身の顔が微笑んでいるのには気がつかなかった。しかし、自身の内から力が溢れるのを感じ、一気に岩巨亀の首を切り飛ばした。


さぁ、あと一体だ。

読んでいただきありがとうございます。

次回も速めに更新出来るように頑張ります。


対岩巨亀戦、次回決着できるかと思います。


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