16話『ハイキングと高山病』
説明が多くなってしまいました。セリフを多目にするように頑張って見ました。
日時は流れ、ペルジェを出発する日となった。それは同時にエルシュテンへと挑む旅の始まりを意味している。
そして現在、僕らはエルシュテン麓の森の中にある開けた場所で休憩を取っていた。
「エルスさん、いよいよ、あの山を越えるんですね。」
「そうだよ、クロノス君。とは言っても、しばらくは普通の山道だから、今から緊張する必要はないよ。」
そうなのだ。事前に説明が合った通り、雪が降っているのは頂上付近なので、麓の辺りでは、秋景色を見ながら物見雄山の気分で景色や動物などを見ながら楽しめと言われていた。ついでにだけど、このエルシュテン越えには馬や馬車は使用しないみたい。理由は馬や馬車使用出来る環境ではないかららしい。だから、エルシュテンを迂回するか、馬や馬車を使わないで、高額を払い案内人を雇うかしか方法がないから、基本的に迂回を選ぶようだ。
それでも、年に数組から十数組はエルシュテン越えに挑むので、案内人を生業にする者もいる。
それも当然だ、命懸けになるのだから低い金額では、案内人は雇われない。必然的に案内人の収入は多くなるのだ。
そして今回のエルシュテン越えは日程5日、予備日5日の計10日の予定となっている。
突然だけど、この世界の日時に付いて説明するよ。この世界は一月30日で、それが12ヵ月ある。つまり、この世界の1年は360日。それで、曜日が10精霊にあやかって、光の日、火の日、水の日、風の日、雷の日の週と、闇の日、土の日、氷の日、木の日、鋼の日の週がある。このセットが毎月3回あり、休日は光の日と闇の日にとるのが一般的のようだ。
つまり、エルシュテン越えは1セット分使って行われるのである。
そんなどうでもいい事を考えながら、僕はエルスさんと別れ、ルリ達の元へ移動する。
「クロ、隊長さんとの話しはもういいのですか。」
「うん、聞きたい事は聞けたからね。」
彼女は、倒木の上へとシリカと一緒に腰掛け、竹のような植物で出来た水筒から水をちびちびと飲んでいた。これは、前もって副隊長のクスリさんが人数分確保し、主発前に隊全員へと携帯食料と共に渡してくれた物だ。
「それでシリカは大丈夫そう」
「余り大丈夫そうではありませんが、荷物を軽くして、少し休めば大丈夫そうですね。」
やっぱり、シリカにはきつかったか。
でも、持久力がシリカより低いルリは割りと平気そうなんだよな。やっぱり、筋力や体格の値も関係してるんだろうか。
「だ、だい...じょぶ、だよ。...お兄、ちゃん。」
シリカもそう言ってくれる。顔色も悪くないし、本当に疲れただけだろう。
僕はシリカの荷物を軽くしてあげるべく、水筒や携帯食料等の必要最低限の物をシリカの荷物に積め直し、かさばる思い物なんかは僕が持つ事にした。それにシリカ、それにルリにも、体調が悪くなったり、辛くなった時はすぐに言うように約束して貰った。
ー ー ー
出発してからしばらくすると、エルシュテンに入ったのだろうか、斜面が増えてきた。それに、斜面を登るにつれ辺りの木々は少なくなっていった。
そしていつの間にか森を抜けていた僕らは、比較的平な山道で再び休憩を取る事になった。案内人が言うにはここで充分に休まないと、後で謎の頭痛や吐気を催すらしい。
既に標高は1000メートルを越えている。日の出と共に出発したので、まだまだ日は高くこのペースで登り続ければさらに、高標高に行く事になる。となると、高山病を発症する可能性があるのだろう。
高山病について説明しよう。
高山病とは、高山では空気が地上と比べ薄く、酸欠状態に陥った人がさまざまな症状を発症させる症候群の一種で、一般的には2500メートル前後、人によっては2000メートル前後でも発症する。
主な症状は低度なら頭痛、吐気、目眩や眠気等が表れる。知識のない人からしたら、これらは疲れ等から来ていると勘違いされるが、それは危険であり、進行が進むと運動失調、低圧と消化器官の機能低下からくる放尿等が表れ、重症化すると高地脳浮腫(High-Altitude Cerebral Edema; HACE)や高地肺水腫(High-Altitude Pulmonary Edema; HAPE)を起こし、死に至ることもある。
処置としては、薬か低地への移動があげられる。まぁ、この世界に高山病の薬なんてある訳ないから、低地への移動しか処置しようがない。
そして、このエルシュテンは2000メートル級である。高山病を発症させる条件は揃っている。
そこで予防法をシリカとルリ、エルスさんとクリスさんに伝える事にした。その予防法とは高所順化である。
詳しい説明は省くけど、簡単に言えば、高所で軽い運動 (ジョギングや散歩)を行い、身体を低酸素状態になれさせることである。
4人に薬の事や言えない事を除き、高山病について説明する。
発症させない為には、低酸素に身体をなれさせる事。発症した患者は下山させるしか処置法がない事。等々、僕が知っている事を説明する。
その際の反応は以下である。
エルス&クリス
「なるほど、高山病に高所順化か。早速、隊員達に教えてやろう。」
「初めて聞く病名ですね。クロノス殿は博識なのだな。他に山で気を着ける事はあるだろうか。」
エルスは隊員達に高所順化を教えに動き、クリスはひとしきり関心したあと、他にも色々と質問を繰返してきた。
ルリ
「そんな一気に登り切れませんよ。」
シリカ
─大丈夫、そもそも人間とは違うから。
シリカとルリは何だか、的外れな事言ってる気がする。
僕はそんな4人へと苦笑を浮かべるしか出来なかった。
ご愛読ありがとうございます。
次回もよろしくお願いいたします。
高山病補足
一気に山へと登る事でも、高山病になる事があります。低い山でも山頂付近は酸素濃度が薄いので、高山病になる恐れがあります。
1000メートル級の山を車なんかで一気に登っても症状が出る恐れがあります。
高山病と急性高山病には気をつけて、楽しくハイキングを楽しみましょう。
また、本編で登場した高所順化ですが、すぐには順化しません。身体が慣れるまでは時間がかかるようです。




