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平凡魔王の善行日記  作者: 雪月華
エルシュテン
18/23

幕外2『エルスティン・バルクホルンと言う女性(エルス視点)』

私の名前は《エルスティン・バルクホルン》と言う。今年で20になる女騎士だ。


王都 《オルゲン》に居を構えるバルクホルン家の三女として生を受けた。二人の兄と姉の5人兄妹の末娘である為か、両親や兄姉には良くして貰っている。


実家は武門の家柄であり、兄二人は共に軍の将軍とその補佐官となり大軍を率いている。姉二人は王都の貴族へと嫁いでいったよ。二人共たまに実家に顔を出すけど、旦那さんと仲良くやっているのか、数年たった今でも、旦那さん自慢が絶える事がない。


父は、王国の軍務卿であり、国の軍編成やらなんやらを補佐官達と取り纏めては、財務卿達と議論が絶えないようだね。私も何度かその場面に立ち会っているからわかるが、どちらも一歩も譲る気がないのも問題だと感じるよ。


...っと。それはそうと、私の事だね。


私が剣を手に取ったのは4歳の事だった。家の庭で剣の稽古をしていた父と兄二人に誘われ手に取ったのが始まりだったよ。

最初のうちは、剣自体が重くて持ち上げるだけでも苦労した物だ。それでも、毎日繰り返していくうちになんとか持ち上げる事が出来る様になり、1年がたつ頃には、その剣を自在に振る事が出来る様になっていた。

あとで、父から聞いたのだが、この時渡された剣は騎士の中でも使用者がいない巨直剣(グライゼン)と言う種類の剣で、その中でも《バルムンク》と呼ばれる、数百年間使用者がいなかったとされるバルクホルン家の宝剣を試す為渡したが、それを私が使える様になった。

もし、この時 《バルムンク》を使えなかったら、父は普通の剣を与えるつもりだったのか、変わりの剣も用意して合ったらしい。


なぜ《バルムンク》に選ばれたかは解らないが、私の周りに鋼精霊が多く集まるのも、無関係ではないはずだが、良く解らない。

しかし、今こうして《バルムンク》を使用出来ているし、何よりも私と相性の良い鋼精霊が多く集まるのも、嬉しい限りだ。


そんな事象もあり、私は軍に入って数年で近衛女騎士団第二師団長に抜擢され、日々、隊の訓練やら、団員の事で頭を悩ませる。


そして今回、別の王都騎士隊の臨時隊長に国王自ら私を任命して頂いた事もあり第二師団を副団長に任せます今回の任務に着いたわけだ。


もちろん、この事に、他の男騎士が黙っている訳がないし、そもそも、私が軍に入隊した当時から色々言われて来ているから、今更何言われても、特に怒る気にもなれなかった。


私が臨時隊長を勤める隊とは別にエルシュテンを越える部隊がいたのもあり、《ペルジェ》へは楽に移動することが出来たのだが、問題は帰り道なのだ。行きに一緒になった部隊は数百人規模の隊ってこともあり、ほとんど魔物に出くわす事もなかったし、天候にも恵まれ、快晴の内に山越えを果たせた(この山で吹雪(エルシュテン)に会わないなんて、奇跡と言ってもいいぐらいだ)。

しかし、村への視察を任務とする以上、私の部隊は小規模なのだ。帰りは山を越える事は至難になるだろうと予想している。


「安全の為に、山を迂回するしかないだろうか」


「しかし、それでは、帰還予定日を大幅に過ぎ、エルス隊長を良く思わない者達に隙を与えるだけです。」


そうなのだ。山を迂回するには一月以上日時が掛かってしまう。副隊長の 《クリスハーゲン・ディグリオ》愛称はクリス。

クリスはそれを理由に私を今の椅子から追い落とす者がいる事を懸念している。だからか、彼から、山越えを果たすべきだと、この数日言われ続けているよ。要するに、女で、出世株なのが気に入らない方が多いのですよ。


「わかってます。かと言って、今の隊ではエルシュテンをやすやすと越える事は出来ないでしょうね。」


そんなジレンマの中で時間だけが無駄に過ぎていく。こうしている間にも、任務期限が近づきつつ合った。


ー ー

「失礼します、エルス隊長。」


出発予定日が近づいて来たある日、部下の一人が、私の天幕に報告に訪れた。この喉かな村で、時間外に報告なんて珍しい事もあるものです。

部下に入室を許可すると、報告が始まる。

報告をまとめると、怪しい人達が村の中を歩き回って、家をじろじろ見ているからなんとかしてほしいと言う要望だった。


「それで誰を向かわせればよろしいでしょうか?」


「皆出発の準備で忙しいだろ。ちょうど、視察の時間帯だから、ついでに私が見てこよう。」


もともと視察と言う巡回を行う時間帯になるのだ。身体を動かすついでに、確認するのも訳がない。私は執務机側に刺してある、予備の巨直剣を背負い、村への視察を行うべく、天幕をあとにした。


そして、村で出会ったのが、クロノス、ルリ、シリカを名乗る3人組だった。

彼らは訳有ってこの村にやって来て村長の家を探していると言っていた。訳も聞き、村長から聞いていた話しとも合っている事から彼を村長の家に案内する事にした。


「それで、村長殿に渡した後に、山越えをしようとは、何とも...。」


「やはり、無謀ですかね。」


無謀もなにも、それはただの自殺と変わらない。見たところ、録な装備もなく、たったの3人で冬になろうかと言う時期にエルシュテンに挑もうとは無知なのだろうか?


「ふーむ。何やら理由があるようだね。」


しかし、そんな無謀を行ってでも、成し遂げたいのであろう事があるからこうして、このペルジェへと来ているし、何よりも、村から搾取された金品食料を返そうとする、その正義心に答えずして、何が騎士だろうか。ならば...


「ならば、私の隊と共に山を越えるかい。」


こうするのが良い。

私の言葉に彼らは驚きながらも、わざわざ確認をとってくる。


「でも、よろしいのですか?」


「なに、気にしないでくれないか。君たちの正義心に心打たれての善意なのだから。」


私と年もほとんど変わらないとは言え、年下が頑張っているのだ。ここは年上として、しっかり彼らを守り、山越えを果たさなければ成らないな。


自分でも苦笑しているのがわかる。しかし、頑張る年下したの子の目的を応援したくなるのは私の嵯峨だろうな。

こうして、私はエルシュテンへと挑む覚悟を決めるのだった。

ご愛読ありがとうございます。

エルスの情報が少なかったので生い立ちと現状、クロノス達との出会い辺りを簡潔にまとめました。

次回はエルシュテンへと出発します。

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