12話『決着ー勇者VS. 魔王ー』
更新遅く成りました。4月まで仕事が忙しいので更新は速くても週一ぐらいになると思います。
動物達の鳴き声が聞こえる。
ゆっくり目を開けると、木漏れ日が見えた。どうやら、戻ってきたみたいだ。僕はゆっくりと立ち上がり、傷の具合を確認する。傷は完全にふさがり...と言うよりも、傷なんて最初ッからつかなかったような状態に回復していた。
「おや...おやおや...おかしいねぇ。確かに殺したと思ったのに...何で生きてるぅ...。」
あの男─アルテは疑問を口にしながらも、嬉しそうに顔を歪め、こちらを見詰めてくる。その顔はまだ戦える事を喜んでいるようにも見える。つか、どんだけ戦闘好きなんだよ、この人。
だいたい、時間的にはほとんど経ってないのに、何で、あの人の周りに、動物の死骸が増えてんだよ。もう戦闘好きとかの次元じゃない、とんだ殺害ジャンキーじゃないか。
しかし、どうしたもんかな。ティアに新しい能力に目覚めてもらったとは言え、闇雲に突っ込んでもまた、斬られるだけだ。かといって、出し惜しみ出来る状況でもないなら、賭るしかないよな。
意思を集中させ瞳を閉じると、正十角形が浮かぶ。その空間は何も無く、ただただ、正十角形が見えるだけの空間だった。だが、その一角のみに淡い黄緑色の光が灯る。僕は直感する。これが僕の新しい能力なのだと。
『霊縁たる我らが祖よ...理を司りし同胞よ。』
言葉に魔力を込め、詠いあげていく。
『精霊と共に歩む道が為...彼の者達を守らんが為』
詠うは誓い。彼女達に誓う僕だけの約束。
『想たる誓いを守らんが為、今一時顕現せよ。』
詠を紡ぎ、想いを紡ぐ。
─お兄ちゃん...がんば...って
うん、大丈夫だよ。必ず勝って戻るから。
灯る、黄緑色の光りが僕にまとわりつく。だけど嫌な感じはしない。むしろ、包み込まれているようで落ち着く。
「「形態・草花」!」
そして、光りが収まると、普段着として着ていた黒いマントと白いワイシャツ、黒いズボンではなく、緑色をベースにした軍服にトレンチコートという、服装になっていた。これ、トレンチコートなかったら某筋肉超人に出てくるドイツ超人のあの方じゃないかな?。まぁ、軍帽がないだけましなのか。
「おや...生きてるだけじゃなくて、姿が変わるなんて、おかしいねぇ。」
「別におかしくないさ、それに、あんたには関係のない事だから、気にする必要はないよ。」
「確かにねぇ。これから殺すのには変わらないからねぇ。」
確かに。このままでは、さっきの二の舞になってしまう。ティアはこれで勝てる見たいに言ってたから何かしらあるんだろうけど、どうしたもんかな。とりあえず、あいつの動きを止める事が先決かな。
「殺られはしないさ...「葛」」
自身の内にある力を解放する。それは、僕自身の力じゃないのと同時に、僕自身の力へとなっていく。この力は概念。植物の力を持つ彼女─シリカが僕に与えてくれた、新しい僕の能力...植物の概念だ。
そして、今使った『葛』は基本的な蔓を操る力になる。植物の概念の力によって、クロノスが手に入れた力の一端。
蔓はアルテの四方八方、あらゆる場所から、アルテを拘束しようと伸びるが、その尽くを切り刻まれていってしまう。『葛』の使用にはほとんど、魔力を使用しないという利点があるものの、やはり威力不足は否めないみたいだ。
「なら、これならどうだ......「種弾」!」
手のひらに魔力を集中させ、『万物創作』を使って、発射口を作製していく。思い描くは拳銃。鉄製は今は作れない、だから、イメージするのは、魔力稼働式の火縄銃。取り回しも考え、大きさは小型拳銃と同等にし、それを両手用に二丁造る。弾は名前の通り、多種多様の植物の種子となる。魔力稼働式なので、ある程度までなら、二丁拳銃で連射が可能であるが、拳銃の外郭が全て、木製 (と言っても、強度と耐火性に優れた火仙樹なのだが、それをクロノスが知るのはもう少し先となる)である為、射程はエアーガンと同程度 (数メートル~数十メートル)しかない、近中距離用になる。
「「弾 : 硬化蔓」!」
木銃 (クロ命名)から次々と植物の種子が、アルテに向かって翔んでいく。アルテもこれを迎撃する為、剣を構えるも、種子達はアルテには届かない。
何故なら、僕とアルテの中間ぐらいから発芽を開始し、驚異的なスピードで育ちながら、アルテへと殺到したのだ。これが、『種弾』の力。選択した植物の種子を魔力で発芽させ、相手に効果を引き起こす力だ。
見た目地味だが、ところがどっこい。選択する植物によっては、効果的に相手を追い詰める事が出来る。実は、硬化蔓とは太さは人間程度の太さが有る植物である。しかし、この硬化蔓の最大の利点はその硬度にある。数多く生える蔓一本一本が鋼と同程度の硬度を持つのだからたまった物ではない。特に対切断性に置いては、この世界の植物では最高クラスに属するのだから。
実際、アルテも数多く押し寄せる硬化蔓には手を焼いているように見える。その額には汗がにじみ、顔は苦痛に歪む。いかにアルテが剣を上手く扱えたとしても、鋼をただの剣で切断するのは不可能なのだ。それは、アルテの実力の話しではなく、この世界の技術力では造る事が不可能と言うこと。
そして、魔力を使い果たせば、アルテもただの人に成り下がる。押し寄せる硬化蔓に押し潰される未来しか残っていなかった。
アルテ戦終了です。
次回から新展開になるかな。
次も頑張りますので応援よろしくお願いいたします。
修正履歴
(誤) 帯切断性
(正) 対切断性




