11話『懐かしい彼女との再会』
基本的に茶番が多くなってしまった。
目を覚ますとそこは、一面暗闇に被われた世界だった。
『ねえ、さすがに死ぬには早くないかな。まだ君が世界に降りてまだ3日だって言うのに、早すぎてビッだよ。』
聞き覚えのある声がする。
そう奴だ...僕を魔王にした張本人...あの腹黒ロリ女神のティアだ。
『誰が腹黒ロリ女神よ。ふざけた事言ってると張り倒すよ。』
相も変わらず、理不尽女神ぷりだ。
...っと、言うよりも、ティアがいるって事は、僕はまた死んだのか。...くっ...僕はまた、人を泣かせるような死に方をしてしまったのか。
美夢も最後は泣いてた。そして、ルリも僕の死を知れば悲しんでくれると思う。まだ、3日の付き合いだけど、それでもいっしょに過ごした仲間なのだ。だから、守りたかった。それも、死んでしまっては意味の無いことになってしまった。
その事に涙が溢れ、同時に何一つ守れない自分に嫌気がさす。
『おーい、少し待ちなよ。佑樹君、君はまだ死んでないよ。』
へ?で、でもさっきは。
『私は「死ぬには」って言ったんだけど?「死んだ」なんて一言も言ってないし』
呆れ顔のティアがさらに続ける。
『それに私に会ったから死んだと思うとか、人の事を死神扱いが余計にムカつく......いい、君はまだ死んでないオーケー。』
じゃぁ...ここはいったい。
『ここ?ここはね、空間と精神の狭間よ。訳解らないなら、○神と○の部屋とでも思っておけばいいよ。』
前にティアに会ったのは、僕が死んだあとだったから、今回もそうなのかと思ってたけど、違うようだ。って、○神と○の部屋知ってるのか!
まだ死んでない、その事に安心すると同時に、ルリ達の事が心配になってくる。
『あの娘たちは大丈夫だよ。なんせ、ここでは時間が経過しないからね。いくら話しても大丈夫なんだ』
時間経過しないって、軽く言ってるけど...凄い事だよね、それ。さすが、○神と○の部屋。それと今更だけど、人の心詠むなよ。
『えー!知らない仲じゃないんだし良いじゃない。...それにこっちの方が楽だし。』
楽だからって人の心、詠むなよ。
それに知らない仲じゃないって言うけど、まだ会ったの2回目だからな。
「それで、何で僕はこんな所にいるんだ。」
『私が呼んだから。』
しれっと言ってきたよ。死にかけの僕を無理矢理呼び出して、何させようって言うんだ。
『あー、ちがうちがう。何かさせる為に呼んだんじゃないよ。むしろ、貴方を助ける為に呼んだんだけどね。』
「助ける為にって...ないな。」
『ちょっ...疑うなんて酷くない。』
別に疑ってる訳じゃないんだけどね。前回の事を考えると、録な目に合わなそうなんだよね。だって、僕を魔王にした張本人だし。
『イヤ、それはあんたの所為だから、サインは書類を良く確認してからって習わなかった。』
正論が余計にムカつく。何、勝ち誇った顔してんのさ。
まぁ、そんな事を数十分程する事になったとさ。......何やってんだろうね。僕たち......。
『...ゼーゼー......とりあえず...この話は...別の...機会にしよう...よ。』
「...ゼハ...ゼハ......そ...そう...しよう。」
そして二人共、疲れ果てていた。
取っ組み合いにはならなかったけど、なんだかんだで怒鳴りあってたからね。咽がヤバイよ。それと咽渇いたなぁ。
まぁ、ティアも落ち着いたのか、本題を切り出してくる。
『とりあえず、君の能力を目覚めさせる為に、呼んだんだけど、それはOK?』
能力って、また怪しげなものが出てきたなぁ。
『怪しくないよ!』
いやいや、否定するのが、余計に怪しいよ。
そんな思考に次第に涙目になっていくティア。
『怪しくないって言ってるのに...うう...そもそも、君が彼女から貰った時に気が付いてれば、とっくに目覚めてる能力なのに。』
彼女?貰ったって?いつ?
そんな物貰った覚えのない僕は、混乱する。だって、本当に心当たりがないから。
『それに、それがあれば君があんな勇者に負けるはずなかったのに。』
へ?そんな凄い能力を持ってたの?僕。
『持ってたんだよ!...それを君は怪しいだのなんだって...こっちは完全な慈善なんだぞ。』
ごめんね...それは悪い事をしてた。あと、慈善言うな。元々、僕がこんな目に会ってるのは、君の所為だからな。
僕が呆れた視線をティアに向けると、さすがは女神様。すぐさま反応するけど、さすがに自覚があるのか、気まずそうに視線をそらす......逃げたな。
『と、とりあえず、君の能力を目覚めさせるからね。』
パチン
ティアが何をしたって。
指パッチンだよ。右手を高く掲げたと思ったらパチンって指パッチンしたんだよ。
『よし、成功。』
ふーと息を吐くティアの背中は、僕にツッコミキック...つまるとこドロップキック...をかまされてぶっ飛んでいってしまう。
なぜドロップキックって思ったよね、簡単だ。指パッチンで能力覚醒とかふざけんな。いくら何でも適当すぎんだろ。なんか、もっと仰々しい儀式とか想像してわくわくしてた、男心返せよ...って事。
『ぐふぇ...』
ヒキガエルみたいな声をあげてるけどさぁ...君。一応女神だよね...女の子だよね。そんな声あげるってどうなのさぁ?
『君の所為じゃないか!いきなりなにしてくんのさ。』
イテテ...と腰を擦りながら立ち上がり、文句を言ってくるけど、どうせ、心詠んで理由はわかってるだろうから、これは無視かな。
『ヒド!?でも、これが一番簡単で早い方法だったんだよ。』
「あー、一応覚醒はしてんのね。しかも、簡単な方法って理解していると。」
なら、事前に説明してほしい物だ。そうすれば、ドロップキックなんてしなかったのに。
『はぁー、もういいよ。』
疲れた顔してため息をつかないでくれない。まるで、僕が疲れさせたみたいじゃないか。
『君のせいだから...それと、彼女から君に伝言だよ』
伝言?
『『お兄ちゃん...がんばっ...て』だって。』
そっか、なら彼女の期待に応えられるようにさらに頑張ってみますか。
知らぬ間に僕は笑みを浮かべていた。うん、頑張れる、彼女達の為にも、頑張らないとね。
「それじゃ、ティア。「行ってきます」。」
『「ゎ...行ってらっしゃい」。』
『行っちゃった。』
私は彼が消えた空間に独り取り残される。
誰もいない空間のなか、私は力尽きるように仰向けで倒れてしまう。
元々、生きてる彼の魂を無理矢理引っ張って来てたからかな。私への負担が、思ってたより大きいや。
『ふふ...さっきのやり取り、懐かしかったなぁ。』
本当に懐かしい。余りに自然に言ってくるから、思わず『私も行くから待って』って言いそうになっちゃった。
だって、あの人が行ってしまう。それだけでも辛いのに、さらに戦いに行くのだ。本当は側であの人を守りたかった...けど、世界がそれを許してくれない。
『本当に身勝手だな。』
私が、あの人を魔王にしたのにね。
私に出来る事は、ここからあの人の無事を祈る事だけしかない。
『どうか、ご無事で......お兄様。』
次回、ついにクロの能力が登場。




