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明日も皆で笑うために  作者: みかんもち


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4/8

第四話 何事にも犠牲が必要

10/5の話です

 僕には、勇気がなかった

 ──だから、止められなかった


 ホームルーム、ざわつく教室内は、先日の事件の話題で溢れかえっている。

 「なぁなぁ、飯島が勇者像が掲げている剣に突き刺さって死んでたじゃん?」

 「う、うん」

 泉が急に話しかけてきた。いきなり物騒な話題に僕はたじろぐ。

 「あれってさ、はやにえにされているみたいだよな」

 「…はやにえ?」

 「あ、知らないのか。はやにえっていうのは、野生のモズが捕まえた獲物を、木とかのとんがってるところに突き刺しておくことだよ」

 「…モズって…漢字で書くと僕の苗字と一緒じゃない…?」

 「冗談冗談、それに、死亡推定時刻は夜中だぜ?お前、いつも家帰ったら勉強しなきゃって嘆いてるだろ、だから多分お前は犯人じゃないよ、それに、殺す動機もないだろ?」

 「いやまぁ…確かにそうだけど」

 やはり泉はデリカシーがない…

 「あ〜そうそう、俺は飯島の死体を見た瞬間、はやにえを想像したけど、それは直感的なものだし、苗字とその鳥の名前が同じだからって、疑われるわけじゃないさ」

 まぁそれはそうだ、そんな理由で疑われたら辟易する。

 「学校も意外と犯人探しは適当なんだよなぁ、証拠はどうせ無いからって動機だけ調べてふるいにかける。まぁ、俺はその探し方に反対だな。…何人も殺されてるから多少はしゃーない部分もあるけど。」

 だとしてもそれはあまりにも雑な気がする…。学校側は早期解決を目指しているけれど、本当にそれは正しいのだろうか。もし冤罪だとしたら──。

 「ああ、同感だ。」

 「動機だけで絞り込むと、犯人はあいつしかいなくなってしまうからな。」

 「あいつ?」

 「そう、柊 来須(ひいらぎ くりす)、あいつだけだ」

 ああ、なるほど。そういえば泉がこの前言っていた。「飯島と柊は学年1位を争ってる」って。

 「何となく分かるけど、理由を聞いても良い?」

 「飯島は、天才だったんだ。対して、柊は秀才。柊は飯島に嫉妬していたからな」

 「でもさ、いくら嫉妬しているとはいえ、殺すまではいかないんじゃない?」

 「俺は柊とまぁまぁ喋る仲だからわかるけど…柊の親は毒親だ。特に学習面が厳しいらしい。」

 「…でもそれなら、親を殺せば完結する話じゃない?わざわざ飯島を殺さなくても…」

 「確かにそうだな…柊は少し目先のことしか考えない、馬鹿正直なところもあるからな。」

 ああ、親をどうにかするという選択肢が思い浮かばなかったのか。もう少しすると、期末テストがあるから、動機は揃っている…。

 「ただ…あいつはそういう性格じゃないんだ、正義感が強く、優しかった。俺は柊が飯島を殺したとはとても思えない。」

 「…でも、このままだと、どうなるの?」

 「特に処罰とかはない。ただ…社会的に死ぬ。通知表も、教師からの評価も、人間関係も、何もかもが終わるんだ」

 処罰が…ない?これがどれほど異常なことか…わかって言っているのか…?

 「…え?警察には?」

 「…警察は来るさ。でも、話を通してあるんだ。この学園の理事長は政治家の家系でね、この市、この県に莫大な投資をしている。だから…警察が動いたって無駄なのさ。」

 僕は黙り込んでしまった。そんなの普通、フィクションの世界にしか無いじゃないか…。出来すぎている。


 昼休み

 購買に向かう者、友人と喋りながら弁当を食べているもの。各々の過ごし方をしている。

 その中に、異質な存在があった。

 柊だ。柊はキョロキョロと辺りを見回し、祈るように手を組んでいる。

 突然、教室の扉がガラッと開く。

 「柊、職員室に来なさい。」

 生活指導の中居先生はそれだけ言うと、戻っていった。

 僕は、それが何なのか気づいてしまった。犯人は…柊、ということにされたのだ。

 柊は組んでいた手をだらんと下ろし、ふらふらと職員室へ向かっていった。

 止めようと思った。だけど…駄目だった。

 この教室の、時が止まったような異様な雰囲気に対して、僕は怖気づいてしまったのだ。


 あーぁ、なんでだろうなぁ?

少しでも、面白い、や、続編を見たい!!という方はリアクションや感想を書いて欲しいです!!作者のモチベにつながります。



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