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第80話 集結する数千の刃、黄昏に染まる平原と『魔人』の少女


 絶望的な圧倒的暴力を体現する〈神獣〉の姿と、それに対抗するために全世界のプレイヤーへ発令された『突発グローバルレイドクエスト』。


 未曾有の事態に直面した俺たちは、一時撤退の判断を下し、魔導戦艦のフルスピードで王国のギルドホームへと帰還を果たした。


 緊張の糸が張り詰めた潜入任務から一転、ようやく安全圏へと戻ってきたことで、仲間たちの顔にも安堵の色が浮かんでいた。


 そして、その日は戦艦のドックで簡単なミーティングと次なる作戦の骨組みだけを話し合い、俺たちは夜遅くに一旦ログアウトすることになった。



   §



 翌日。

 現実世界に戻ってきた俺の身体は、深い睡眠をとったにもかかわらず、どこか熱を帯びているように火照っている。


 登校して朝の教室に入ると、すでにクラスの空気は異様なまでの熱狂に包まれていた。


「おい、見たか昨日のレイド告知! トップギルド連中も続々とアエテルニタス平原に集結してるらしいぞ!」


「マジかよ、あの〈神獣〉って化け物、HPゲージがバグってんじゃないかってくらい長いらしいじゃねえか。どんだけ火力叩き込めば倒せるんだよ……」


「俺らも放課後ソッコーでログインして前線に立とうぜ! あんなお祭り騒ぎ、参加しなきゃ一生後悔する!」


 ハルマやクラスメイトたちが興奮冷めやらぬ様子で、スマホに表示されたゲームの公式フォーラムやSNSのトレンド画面を見せ合いながら熱弁を振るっている。


 世界中のありとあらゆるSNSトレンドを、現在進行形で『神獣討伐』『グローバルレイド』という単語が独占していた。プレイヤーだけでなく、ゲームをプレイしていない層までもが、この前代未聞の大規模イベントに注目し、配信サイトの視聴者数は桁外れの数値を叩き出しているという。


「ユウ! お前らも当然、今日の放課後は一番槍としてあの平原に乗り込むんだろ?」


 ハルマが俺の肩をバンと叩き、期待に満ちた目を向けてきた。


「ああ。俺たちのギルド〈アストライア・ドーン〉は、戦艦の主砲による先制攻撃を任う。他のプレイヤーたちが向かっていく前に、〈神獣〉に最大火力をぶち込む手筈だ」


「っしゃあ! 頼んだぜ。俺たち『電脳遊戯部』のメンバーも、前衛の防衛ライン構築に全力を注ぐからな。あの絶望的な巨獣、絶対に俺たちの手でぶっ倒してやろうぜ!」


「もちろんさ」


 ハルマと拳をコツンと合わせ、俺は力強く頷いた。


 現実世界での授業中も、頭の中ではずっと〈神獣〉の圧倒的な巨躯と力、それをどう攻略するかのシミュレーションが駆け巡っていた。


 そして待ちに待った放課後のチャイムが鳴り響くと、俺は他のメンバーとともに部室にいき、フルダイブ・ギアを装着した。


「ダイブ・イン──」



   §



「マスター、お待ちしておりました! 魔導戦艦のメインエンジン、主砲のエネルギー充填率ともに120%、完璧な状態に仕上がっています!」


 タブレット端末を抱えたライムが、敬礼のポーズを取りながら誇らしげに報告してくれた。


「ありがとう、ライム。昨日の今日でこれだけの調整を間に合わせてくれるなんて、本当に助かるよ」


「ふふっ、マスターのためならこれくらい当然です! それに、今回は世界中のプレイヤーの皆さんと共闘する大舞台ですからね。気合も入ります!」


 広大な地下ドックに鎮座する我が魔導戦艦は、周囲の空間マナを限界まで吸い上げ、青白い魔力の輝きをその重厚な船体から脈動させるように放っていた。


「私のガントレットも、魔力回路の微調整は完璧に終わってるよ! あのでっかい的、思いっきり殴り飛ばしてやるんだから!」


 ニベアが両拳を激しくぶつけ合わせ、火花を散らして豪快に笑う。


「ボクの魔導銃も、装甲を貫通する特殊弾頭を大量に作り置きしておいたよ。あの神獣の分厚い皮、ハチの巣にしてあげる」


 セラが二丁の銃をクルリと器用に回し、自信に満ちた笑みを浮かべる。


「私たちも、後方支援と広域デバフ解除の準備は万全です。ユウさん、いつでも指示を出してくださいね」


「星辰の魔力も、今までにないほど澄み切っています。空からの支援は私にお任せください」


 ティアナとシュリも、それぞれ清らかな聖杖と美しい魔導書を抱きしめながら、静かに、しかし熱い闘志を宿した瞳で頷いた。


「私も! 昨日めちゃくちゃ美味しいご飯食べてバフもモリモリだし、皆の背中、しっかり守るからね!」


 シグレさんが少し緊張した面持ちながらも、両手でガッツポーズを作ってアピールする。


 そして、俺の隣にすっと並び立ったのは、金色の美しい髪を揺らし、愛用の複合剣の柄にそっと手を添えたシオンだった。


「準備はいいわね、ユウ。昨日みたいな無様な撤退はもうご免よ。私たちの全力を、世界中に見せつけてやりましょう」


「ああ、行くぞ。目標は再びのアエテルニタス平原──〈神獣〉の進撃ルートだ!」


 俺の号令と共に、魔導戦艦の重厚なハッチが閉じられ、メインエンジンの咆哮がドックを揺るがした。


 浮遊感と共に空へと舞い上がった戦艦は、眼下に広がる美しい王国の景色を置き去りにしながら、決戦の地へと一直線に進路を取った。



   §



 魔導戦艦がアエテルニタス平原の上空に到達した時、ブリッジのガラス越しに眼下に広がる光景を見て、俺たちは思わず息を呑んだ。


「これは……すごい数ね……」


 シオンが目を細め、静かに感嘆の息を漏らす。


 そこには、先日の王国軍対帝国軍の戦争すらも凌駕するほどの、万単位の数のプレイヤーたちが、地平線を埋め尽くすようにしてひしめき合っていた。


 色とりどりの防具、無数のギルドフラッグが風にはためき、あちこちで篝火が焚かれ、まるで世界規模の巨大な祭りのような異様な熱気と喧騒が平原全体を包み込んでいる。


「作戦としては、俺たちが上空から魔導戦艦の主砲による先制の超弩級一撃を浴びせ、それを合図に全プレイヤーが一斉に突撃する手筈になっている。だけど、その前に、前衛で戦ってくれる他のギルドの連中や指揮官たちと、直接顔合わせをしておきたい。地上に降りるぞ」


 俺の言葉に皆が頷き、戦艦は平原の後方、安全な小高い丘の上へと静かに着陸した。


 タラップを下りて平原へと足を踏み入れると、周囲のプレイヤーたちが一斉にこちらに気づき、どよめきと大歓声が巻き起こった。


「おい、見ろ! 〈アストライア・ドーン〉だ!」


「アストラ・ヒューマンのユウに、剣姫のシオンだぞ!」


「すっげえ……あの空飛ぶデカい戦艦、マジでプレイヤーの持ち物なのかよ!」


「昨日の帝国軍を一撃で蒸発させたビーム、今日も頼むぜ英雄!」


 熱狂的な歓声と拍手に迎えられながら、俺たちは前線指揮所となっている巨大なテントの集落へと歩を進めた。


 その道中、平原に集結した数多のプレイヤーたちの多種多様な姿が目に飛び込んでくる。


「おおぉぉぉーッ! 我が筋肉こそが世界を救う! マッスル・プロテクトォォォーッ!!」


「「「マッスル! マッスル!!」」」


 一際目を引いたのは、上半身裸で鋼のような肉体をテカテカに光らせた大男たちが、円陣を組んでひたすら暑苦しいポージングを繰り返している集団だった。彼らの頭上には〈筋肉賛歌隊〉という、あまりにも直球すぎるギルド名が浮かんでいる。


「うわぁ……すごい圧ですね……」


 ティアナが圧倒されて少し後ずさる。


「我が愛しき魔獣たちよ! 神獣の足に噛みついてでも隙を作るのだぞ!」


 その隣の陣地では、ローブを深く被ったプレイヤーたちが複雑な召喚陣を展開し、ケルベロスやワイバーン、巨大なゴーレムといった多種多様な召喚獣を次々と呼び出していた。彼らは召喚士だけで構成された有力ギルド〈サモナーズ〉の面々らしい。


 他にも、巨大な盾を並べて巨大な鉄壁の陣形を構築する重装騎士のギルドや、バフ魔法の詠唱を繰り返す魔法使いのギルドなど、普段のプレイでは決して交わることのない者たちが、打倒神獣というただ一つの目的のために結束している姿があった。


「なんだか、本当に世界が一つになってるって感じがして、ちょっと感動しちゃうね……」


 シグレさんが周囲を見渡しながら、目をキラキラさせて呟いた。


【安倍ノ家:ふむ、見事な壮観だな。これだけの数のプレイヤーが同じフィールドに集結してもサーバーが落ちないとは、運営のシステム構築力には脱帽する。格闘家特化や召喚特化など、各ギルドの特色を活かしたロールプレイが噛み合えば、神獣の異常なステータスにも対抗できるかもしれない。まさにMMOの集大成とも言える熱い展開だ。実に興味深い】


 そんな賑やかな陣地の中央付近で、見覚えのある長身の男が、幾人ものギルドマスターたちを相手に的確な指示を飛ばしている姿があった。


「各ギルドのタンク部隊は、絶対にヘイトを分散させるな。一撃でも貰えば即死だと思え。ヒーラーはMPの温存よりも、前衛が崩れないことを最優先にバフを回せ!」


 声を張り上げているのは、先日の戦いで絶望的なピンチを救ってくれた英雄、レオンハルトだった。

 彼の背後には、白と金を基調とした壮麗なエンブレム──彼が率いるトップギルド〈ヘラルド・オブ・ライト〉の旗が堂々と風に揺れている。


「レオンハルト!」


 俺が声をかけると、彼は指示を中断してこちらを振り向き、フッと精悍な笑みをこぼした。


「遅かったじゃないか、ユウ。それにしても、お前たちの戦艦はいつ見ても非常識な代物だな。あんなデカ物を空に浮かべるなんて、どんな魔力効率をしているのやら」


「ライムの技術と古代竜の魔石の賜物さ。そっちの指揮系統は順調か?」


「ああ。戦争の次は理不尽な巨獣との戦いだ。まったく、息つく暇もないな。だが、これだけのお膳立てが揃っているんだ。絶対に沈めてやるさ」


 レオンハルトが頼もしく頷き、俺と固い握手を交わしたその時だった。


「──あなたが、アストラ・ヒューマンのユウね」


 背後から、不意に凛とした涼やかな女性の声がかけられた。


 振り返ると、そこに一人のプレイヤーが立っていた。


 アバターの見た目は俺たちと同じか、少し上くらいだろうか。透き通るような白い肌に、ミステリアスな紫がかった黒髪を長く伸ばしている。身に纏っているのは、装飾を極力削ぎ落とした漆黒の軽鎧だ。


 けれど、何よりも目を引いたのは、彼女の額の両側から上方へ向かって、滑らかな曲線を描いて生えている『漆黒の二本の角』だった。

 彼女が放つ魔力の波長は、周囲のプレイヤーたちとは明らかに異質で、どこか底知れぬ深淵のような気配を漂わせている。


「あなたは……?」


 俺が警戒と興味を入り交じらせて問いかけると、彼女はふっと薄い唇を綻ばせて笑った。


「私はリネア。見ての通り、普通の人間じゃないわ。『魔人』という特殊種族のプレイヤーなの」


「魔人……!」


 俺の隣で、シオンがわずかに目を見開いた。


「魔人か。俺やシュリのアストラ・ヒューマン、シオンのアーク・エルフ以外にも、特殊な種族を引き当てたプレイヤーがいたんだな」


「ええ。なんで私がこんなマイナーで扱いづらい種族に選ばれたのかはわからないけどね。おかげでステータスの成長率がピーキーすぎて、最初は苦労したわ。ちなみに、先日の武闘大会はリアルの用事があって参加できなかったんだけどね。ギルドには所属せずに、ずっとソロでやってるよ」


 ソロプレイヤー。

 この過酷な世界で、しかも隠し種族を引いておきながら、どこの巨大ギルドにも属さずにここまで生き抜いてきたというのか。

 俺は彼女の瞳の奥に宿る、鋭く研ぎ澄まされた刃のような意志を感じ取った。


「君、そうとうやるな。その魔力の練度……ただのレベリングで身につくものじゃない。固有スキルもすでに発現しているんじゃないか?」


 レオンハルトが、リネアの纏う気配を値踏みするように目を細めながら口を開いた。


「あら、わかるの? さすがは世界トップクラスの剣士様ね」


 リネアは悪びれる様子もなく、角の先端を指先で軽く撫でながら答えた。


「ええ、いちおうね。まだ完全に使いこなせているわけじゃないけど、この力なら、あのバカでかい化け物の足を少しは止める役に立つと思うわ」


 彼女の口ぶりからは、強者特有の余裕と、確かな実力が裏付けされた自信がひしひしと伝わってくる。


「頼もしいな。それじゃあ、リネア」


 俺は彼女に向かって、真っ直ぐに手を差し出した。


「共に、あの〈神獣〉を討とう。君の力、貸してほしい」


 リネアは差し出された俺の手を少し驚いたように見つめ、それからクスリと柔らかく笑って、その白い手でしっかりと握り返してくれた。


「ええ、よろしく頼むわ、英雄さん。私の『魔人』の力、存分に見せてあげる」


【安倍ノ家:ほう……ここで新キャラクターの登場か。しかも第三の特殊種族『魔人』。アストラ・ヒューマンが創造、アーク・エルフが自然や魔法に特化しているとすれば、魔人は恐らく『闇属性』や『自己強化・反動ダメージ』などのダークファンタジー的なピーキーな能力を持っていると推測できる。武闘大会に参加していなかった隠れた実力者が、このグローバルレイドで満を持して参戦する。群像劇としてのシナリオの厚みが一気に増してきたな。実に興味深い】


【灰かぶりうさぎ:ちょっと待って!! リネアちゃんめちゃくちゃ美人でミステリアスでクールで最高なんだけど!? 角っ娘属性まであるとか属性の暴力!! でもでも、ユウくんが他の女の子と握手してるのを見て、シオンちゃんがほんのちょーーーーーっとだけピクッて眉を動かしたの、私の動体視力は絶対に見逃さなかったからね!? ヤキモチ!? ヤキモチ焼いてるのシオンママ!? ああああ尊い尊い尊い!! そのままユウくんの腕に抱きついて「私のよ」って独占欲アピールしていいのよ!!(大興奮の台パンからの床ローリング)】



   §



 各ギルドや重要プレイヤーたちとの打ち合わせを終え、俺たちは再び魔導戦艦へと戻った。


 いよいよ、決戦の時が近づいている。


 戦艦の甲板で冷たい金属の床の上に立ち、俺は平原の遥か彼方を見つめていた。


 少し前まで青かった空は、いつの間にか太陽が西に傾き、血のように濃いオレンジと赤紫色が混ざり合った、鮮烈な黄昏の色に染まり始めていた。


「いよいよね」


 静かな声と共に、隣にシオンが並び立つ。

 その横顔は、これから訪れる死闘を前にして驚くほど穏やかで、しかし瞳の奥には決して揺らぐことのない強い意志の炎が燃えている。


「ああ。……怖いか、シオン?」


 俺が静かに問いかけると、彼女はフッと優しく微笑み、首を横に振った。


「いいえ。少しだけ緊張しているけれど、恐怖はないわ。だって、私の隣にはいつもあなたがいてくれるもの。これまでもどんな絶望的な状況でも、あなたは決して諦めずに前を向いていた。その背中を見ているだけで、私はいくらでも強くなれるのよ」


 シオンの言葉が、胸の奥にじんわりと温かい熱を広げていく。


 俺は彼女の細く、けれど誰よりも剣を振るい続けてきた強い手をそっと握った。


「俺も同じだ。シオンが隣にいてくれるから、俺はどんな敵が相手でも迷わずに武器を構えられる。絶対に勝とう。この世界を、みんなの居場所を守り抜くんだ」


「ええ、もちろんよ。……絶対に勝てるわよ、私たちなら」


 シオンが俺の言葉に応えるように、握られた手を優しく、けれど力強く握り返してくれた。


【灰かぶりうさぎ:うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!(号泣)もうダメ、私ここで死ぬかもしれない!! 黄昏の甲板で二人きりの誓いとか、これ完全に最終回のクライマックスのやつじゃん!! シオンちゃんの「あなたの背中を見ているだけで強くなれる」って、それもう愛の告白以外の何物でもないよね!? 手を握り合って見つめ合う二人、美しすぎて画面が直視できない……神様、この尊い二人にどうか勝利と永遠の幸せを与えたまえーーーッ!!(血の涙を流しながらのスタンディングオベーション)】


 その時だった。


 ──ズズン…………ッ!!!


 静寂に包まれようとしていた黄昏の平原を、大地の底から湧き上がるような重低音が激しく揺さぶった。


 握り合っていた手を離し、俺とシオンは弾かれたように視線を前方へと向ける。


「来たぞ……!」


 地平線の彼方。


 太陽が沈みかけ、長く伸びた影の向こうから、周囲の空気を禍々しい黒に変色させながら、『それ』は姿を現した。


 山と見紛うほどの圧倒的な巨躯。

 異様に発達した黒い装甲板のような外殻と、爛々と不気味な光を放つ無数の複眼。

 一歩足を踏み出すたびに、アエテルニタス平原の大地が悲鳴を上げてひび割れ、強烈な魔力の暴風が吹き荒れる。


「ガァアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!」


 〈神獣〉が天に向かって、世界の終わりを告げるような絶望の咆哮を轟かせた。


 そのあまりの威圧感に、平原に集結していた数万のプレイヤーたちの間にも、一瞬、息を呑むような静寂と戦慄が走る。


 だが、怯む者は誰もいなかった。


「マスター! 主砲エネルギー充填率、限界突破! いつでもいけます!!」


 ブリッジからライムの鋭い声が通信機越しに響く。


「よしっ!」


 極光の錬金杖を高く掲げて叫んだ。


「作戦開始だ!! 目標、平原中央の厄災・〈神獣〉! 魔導戦艦主砲、全出力開放……発射ッ!!」


 黄昏の空を引き裂いて、魔導戦艦の砲口から目を眩ませるほどの巨大な光の奔流が解き放たれる。


 それを合図に、平原を埋め尽くした数万のプレイヤーたちから、天を揺るがすような怒号と勝鬨が巻き起こった。


 世界を喰らう巨獣と、世界を守る無数の刃。


 全サーバーを巻き込んだかつてない規模の最終決戦が、今、アエテルニタス平原を舞台に幕を開けたのだった。


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