29. 説明
よろしくお願いします。
村長達と一緒にクックパ村に帰ると、当然のこととして大騒ぎになっていた。
先に逃げて来た人達からアインクル湖で起きた事を伝えられたのだろう、荷車に家財道具を積み込んでいる人や家に立てこもろうとしている人など、村人達も大混乱の状態だ。
そんな状況を見た村長は前に進み出て、そして声を張り上げた。
「皆、落ち着くんじゃ!!」
「……村長?」
「村長だ!」
「無事だったのか!」
その声に、近くにいた数人が気づき、そこから伝播するようにして村人達の視線が村長に集まった。
「タマ!!」
そんな村人達の中から、オレを認めたミズキが駆け寄って来た。
そのミズキの後ろにはマルクスや、両親のクンツさんやナディヤさんの姿もある。
どうやら皆無事だったようだ。
「タマ大丈夫!?」
すがりつくようにしてオレの前に来るミズキ。
「ああ、大丈夫だ。なんとか勝て……じゃない、湖の主に助けてもらった」
今は周りに人がいるので、オレがプラントドラゴンを倒したなどと言うわけにはいかない。
そんなオレの返事にミズキはホッと胸を撫で下ろすも、オレの姿を見て怪訝な顔になる。
「あれ?その服……、それに村長さんが、もう1匹ドラゴンがって……?」
「後で話す」
周りの人にオレが倒しただの何だの聞かれても困るのでそう言うと、ミズキは一歩離れて、そして頭を下げてきた。
「あの、タマ……さっきは、ごめんなさい!」
「何がだ」
「さっき、ドラゴンと戦えとか、無茶なことお願いしちゃって……」
そのことか。
「まあ、勝てたから良い。ただ、オレにも勝てない相手はいるというのだけわかっててくれれば」
なにせこちらは、1度人間に負けて死んでいる身だ。
そんなオレが、この世で1番強いと自惚れてなどいない。
オレがそう伝えると、それでも少しきまり悪そうにしているミズキだった。
「村長、本当なのか?もう1匹ドラゴンが出てきて、主様と一緒にあの緑のドラゴンを退治してくれたって……」
「うむ。とても信じられんとは思うが証拠もあるぞ。これは倒したあの緑のドラゴンの爪じゃ。死骸は後から現れたドラゴンが持って行ってしまったが、これだけは同族が迷惑をかけた詫びということで残していったのじゃ」
「ドラゴンの爪!?」
「これはとても値打ちなど付けられん物じゃから、領主様に献上して代わりにアインクル湖の復興の援助をお願いしようと思う。今日この村は、アインクル湖の主様に救われたのじゃ。そのお礼として、皆主様にしっかりと感謝の心をお伝えして、いつもよりもたくさんの捧げ物をお供えしなければならんぞ!」
「オオ!」
オレとミズキが話している横では、村長が村人達にアインクル湖で起きた事を説明し、もう安心と知った人達が歓声を上げている。
後のことは、村長に任せれば大丈夫だろう。
皆で村長の説明を聞いているのが見えたので、エルナやミックの両親もどうやら無事のようだ。
オレも、ドラゴンと戦うのはさすがに疲れた。今は休みたい。
そういうわけで、オレは広場の喧騒を後に、ミズキに先ほどの戦いの顛末を説明しながら、宿屋へと足を向けたのだった。
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