27. 新服
よろしくお願いします。
とりあえず害が無いのはわかったのでしばらくそのまま待っていると、やがてオレを覆っていた光球がゆっくりと消える。
光が無くなると、さっきの戦いでボロボロになっていた服は消え、代わりにプラントドラゴンと同じ色の、真新しい服がオレの身体を包んでいた。
服はオレが戦いの前まで着ていたものと同じで、タンクトップにカーゴパンツにブーツ、それから上着としてジャンパーが付く。
これは……プラントドラゴンの革の服ということか?
よくわからないが、きっと凄い品物なんじゃないだろうか。
「?」
ふと、俺の手のひらが何かを握っているのに気がつく。
それは、握りこぶしぐらいの大きさで深緑色をした、三角錐の形をした物だった。
数は3つ。
握っているだけでも、非常に硬いのがわかる。
そしてこれが何なのかというのもわかる。
ついさっきまで、間近に見ていたもの。
これに切られまいとして、必死に注意を払っていたもの。
これは……プラントドラゴンの爪だ。
3つという数も、ちぎれたプラントドラゴンの片腕の指の数。
さらに爪の表面には、何やら紋章のようなものが刻まれているのが見える。
これは何だと思ってクンツァイトドラゴンを見上げてみると「カッコいいだろ?」とでも言いたげな視線が返ってきた。
さっきの光の球体の中で、目の前のドラゴンの言いたいことは伝わってきた。
どうやら、同族が暴れたことに対するお詫びのつもりらしい。
気性の荒いプラントドラゴンが人を襲おうとしているのを止めようと追いかけて来て、そしてオレとアインクル湖の主がプラントドラゴンを倒すのを目撃したというところだ。
「どうもありがとう。大事にする」
とにかく服と爪をもらったのは間違いないのでお礼を言うと、クンツァイトドラゴンは湖の水面から顔を出してこちらを見ていた主に顔を向けた。
と、ドラゴンの眼が輝いたかと思うと、主の身体がさっきオレを包んだのと同じ薄紫色の光球に覆われる。
光球はすぐに消えたが、その光の中から現れた主の姿は、さっきまでの満身創痍の身体とはうって変わって、傷一つ無いきれいなものだった。
これは……回復魔法というやつなのだろうか?
目を丸くしているオレと主を見てクンツァイトドラゴンは微笑んだかのように軽く頷くと、背中の大きな翼を広げて、ゆっくりと空中に浮かび上がる。
広場に倒れていたプラントドラゴンの死骸を巨大な後ろ脚で掴むと、最後にオレと主を一瞥して、そのまま翼を大きく羽ばたかせて、空の彼方へと飛び去って行った。
「……」
「……」
後に取り残されて、なんとなく顔を見合わせるオレと主。
「もう一度言うが、本当にありがとう!助かった!」
オレがもう一度主に呼びかけると、主はゆっくりと顔を背けて、そのまま水の中へと消えて行った。
帰ったか。
それじゃあオレも帰るか。
最後にオレはもう一度湖畔の広場を見渡す。
周囲には、さっきプラントドラゴンに殺された人達の死体がいくつも散らばっている。
今この辺りには、生き残った人はいなさそうだ。
多分生き延びた人は、全員クックパ村に逃げたんだろう。
「お、おぬし……」
そんなことを思っていたら、不意に声がかかった。
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