第4話〜資格保持者の憂鬱
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第4話は、漆黒のホルダーに輝く『特級仇討ち執行官免許』を持ったプロの登場です。
チート能力も必殺技もない主人公が、世田谷の住宅街で身近なものを駆使してどう切り抜けるのか、ぜひお楽しみください!
チョークの粉煙で真っ白になった制服を払う間もなく、僕は世田谷の住宅街を全速力で駆け抜けていた。
「ハァ、ハァ……! なんだってんだよ、どいつもこいつも! 人の命をなんだと思ってるんだ!」
角を曲がると、電柱の陰から今度はスーツ姿の男がヌッと現れ、恭しく一礼してきた。
「失礼。君が今、巷で噂の『初心者マークつきターゲット』かね?」
男がポケットから取り出したのは、漆黒の革製ホルダーに入った煌びやかなカード——『特級仇討ち執行官免許』だった。
「待て待て待て! なんだそのゴールドカードみたいなやつは! 僕の『暫定免許』と輝きが違いすぎるだろ!」
「ふっ、職人の世界と同じさ。私の仇討ちは素早さと美しさが売りでね。君の首を狩れば、ちょうど今月のノルマ達成なんだ」
男が懐から取り出したのは、見るからに特注と思われる折りたたみ式のボウガン。弦がキリキリと引き絞られる嫌な音が、静かな住宅街に響き渡る。
「冗談じゃない! 僕はノルマ達成の歩くインセンティブじゃない!」
僕は瞬時に周囲の地形に目を走らせた。右手に住宅街特有の狭い側溝、左手にゴミ収集用の網、そして目の前には敷地からはみ出した見事な枝ぶりの柿の木。
(ボウガンの初速、男の視線、手首の角度……狙いは僕の胸元!)
「喰らいやがれ! 『赤点回避のための底力・落ち葉フェイント』!!」
僕は足元に落ちていた大量の枯れ葉を泥ごと男の顔面へ向けて蹴り上げた。
「なにっ!?」
視界を遮られた男が思わず引き金を引く。バシュッと鋭い風切り音を立てて放たれた矢は、僕の頭上数センチをかすめ、背後の電柱に深く突き刺さった。
「目には目を、無法者には世田谷のルールをだ!」
僕はひるんだ男の隙を逃さず、ゴミ収集網を頭から被せると、そのまま側溝へと全力で押し倒した。
「グハッ!? き、君……これは公務執行妨害——」
「公務じゃなくてただのハンティングでしょうが!」
網の中でもがく特級保持者を置き去りにし、僕は再び路地裏へと走り出した。
狂気の街・世田谷。チート能力も優雅な必殺技もないけれど、僕にはまだ、生き延びるための悪知恵が残っている。
【第4話・完】
お読みいただきありがとうございました!
漆黒のホルダーに輝く『特級仇討ち執行官免許』を持ったプロの刺客に対し、落ち葉とゴミ収集網で立ち向かう世田谷のローカルバトル(?)はいかがでしたでしょうか。
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