第2話〜仇討ち用具店と不穏なチョーク粉末
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第2話は、主人公が生き残るために怪しげな「仇討ち道具店」へと向かうお話です。
数学教師に対抗するためのトンデモ兵器とは……?
どうぞ気楽にお楽しみください!
「いらっしゃい! 親の仇か? 師匠の仇か? それとも浮気した元カノの仇か!?」
カラリンと涼やかな風鈴の音を響かせて『世田谷仇討ち道具店』の暖簾をくぐるやいなや、店奥のカウンターから甲高い声が飛んできた。店内に所狭しと並べられているのは、ギザギザのついた日本刀、巨大な鉄球、あからさまに毒が塗られた吹き矢など、物騒極まりない兵器の数々だ。
店主らしき小柄な老人は、僕の身なりを一瞥すると、鼻で笑うように息を吐いた。
「なんだ、ヒョロヒョロのガキじゃねえか。そんな細腕で討てる仇なら、警察に突き出せば終わりだろうに」
「いや、僕も討ちたくて討つわけじゃなくて……区役所の人に『何か買わないと練習台にされる』って言われて……」
「あー、例の『とりあえず誰でも討ちたい派』の獲物候補か。まあ、この街で丸腰は suicide(自殺行為)だからな。で、誰を討つんだ?」
僕はため息をつきながら、胸元に下げた『暫定仇討ち免許証』を差し出した。そこには燦然と『標的・田中先生(数学B)』の文字が刻まれている。
「ふむ……都立高校の数学教師か。理数系の仇は厄介だぞ。計算された間合いで三角関数的に攻撃を仕掛けてくるからな」
「絶対にそんな攻撃してきませんよ! ただ黒板消しをパンパン叩いてチョークの粉を撒き散らすだけです!」
「なるほど、広範囲化学兵器(チョーク粉末)の使い手か。なら、お前にぴったりの武器はこれだな」
店主が奥の棚から重々しく取り出したのは、一見するとただの黒板消し……の形をした、やたらと刺々しい金属製の塊だった。
「これは『超高圧圧縮チョーク散弾・黒板消し型投擲兵器』だ。握り潰すと濃縮されたチョーク粉末が全方位に爆発し、相手の視界と気管を同時に奪う。喘息の患者が使えば、まさに目には目を、チョークにはチョークをだ」
「僕が使ったら僕自身が喘息発作で即死するでしょうが!!」
「何を言ってるんだ。仇討ちとは命懸けのものだろ?」
理不尽な精神論に頭を抱えていると、突然、店の引き戸が勢いよく開け放たれた。
「おい親父! 『世田谷の鬼講師・田中』の情報をよこせ! やつを討って俺の『仇討ちポイント』を稼いでやる!」
入ってきたのは、背中に『数学なんて人生に必要ない!』と書かれた大きな幟を担いだ、身の丈2メートルはあろうかという巨漢の男だった。
男の目線が、僕の首から下げられた免許証に止まる。
「……ほう? お前、いま『標的・田中先生』の免許証を持ってるな? 仇討ち猶予期間中か?」
「えっ、あ、はい……」
「くそっ、先越されてんじゃねえか! 仕方ねえ、こうなったら『仇討ち横取り決闘』を申し込む! 今すぐ表へ出ろ!」
「横取り決闘!? ちょっと待ってください、僕はこの人を倒すつもりなんて――」
「問答無用! 喰らいやがれ、俺の『サイン・コサイン・タンジェント斬り』をーー!!」
巨漢が巨大な木刀を振り上げ、僕に向かって一直線に突進してくる。
「ヒッ……!? 助けて田中先生ーーー!!!」
僕は悲鳴を上げながら、とっさにカウンターにあった『黒板消し型投擲兵器』を握りつぶしてしまった。
パンッ!! という派手な音と共に、店内が一瞬で真っ白なチョークの粉で満たされる。
「ゴホッ! ゲホッ! な、なんだこの煙はぁぁ!?」
「ゲホッ、ゲホッ……だから言ったじゃないですかぁぁぁ!!」
白い煙の中で全員が激しく咳き込む中、僕の仇討ちサバイバル生活は、早くも絶体絶命の危機を迎えていたのだった――。
【第3話へ続く】
お読みいただきありがとうございます!
武器を探しに来たはずが、まさかの黒板消し兵器で自爆するという大惨事になってしまいました。
煙まみれの店内で、主人公は無事に切り抜けることができるのか……!?
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次回もぜひお楽しみに!




