第5話後編 よくできすぎた街②
翌朝。朝食を終えた俺は、シャーロットとアーサーと共にセドリックの執務室を訪れていた。
「視察、でございますか?」
「ええ。グレイフォードの復興制度を、モデルケースとして是非ローウェルに持ち帰りたいと思いまして」
ニッコリと笑うシャーロットと、顎に手を当てるセドリックを俺は交互に一瞥する。
昨晩の疑問を、シャーロットとアーサーにも共有した俺。
セドリックに怪しまれずにグレイフォードの街を見て回るべく、シャーロットがもっともらしい理由をつけて交渉することになったのだ。
「なるほど……そういうことであれば、街の中はどうぞご自由にご覧ください」
「よろしいのですか? ありがとうございます、セドリックさま」
「礼には及びませんよ。ただし、統括府の中をご覧になりたい際は私にお声がけください」
「……統括官殿も、お忙しいのでは?」
アーサーは一瞬鋭い視線を向ける。
が、セドリックは動じることなく、穏やかな笑みを浮かべたままだった。
「否定はいたしません。ただ、地下にある保管庫や避難所等の特定の場所は通常立ち入りが許可されておりませんので……私が同行していれば、問題なく立ち入りいただけます」
「なるほど、そういうことであったか……であれば、その際は声かけさせていただこう」
「かしこまりました。私は基本的にはこの執務室におりますので、お気軽にお越しくださいませ」
そう頭を下げるセドリックの執務室を後にした俺たちは、街の中心に出た。
「さて……ひとまずはうまくいったか。ユウマ、どこから回るつもりだ?」
「まずは、各地区の代表者たちに話を聞いて回りたいかな。統括府に権限が移り始めたタイミングなんかも確認したいし……」
「でしたら、わたくしの出番ですわね?」
「手間かけて悪いな、シャーロット」
「いえ、問題ありませんわ。仮に何かしらの不正が行われているのだとしたら、王族として見過ごせませんもの」
そんな話をしながら、俺たちはグレイフォードの街をゆっくりと見て回る。
市場には活気があるし、建物もほとんど修復されてる。
何より、住人の表情もだいぶ明るい……やっぱり、復興初期とは言いがたいな。
俺はシャーロットたちと共に、店主と複数の客が集まる屋台に近付く。
シャーロットの姿に気付いた店主は、一瞬目を丸くすると深々と頭を下げた。
「おっ、王女殿下! ご機嫌麗しゅう——」
「そのように畏まらないでくださいませ。わたくしは、街を見せていただいている立場ですわ」
……中央区画には、もう俺たちの話が広まってるのか。情報系統もかなり整えられてるな。
俺は目についた屋台の焼き菓子を指差す。
「これ、1つもらえるか?」
「もちろんでございます、勇者さま! 1つと言わず、2つでも3つでもお好きなだけ——」
「いや、金はちゃんと払うって!」
固辞しようとする店主に無理矢理金を押し付けた俺は、焼き菓子を齧った。
……甘い。間違いなく、しっかり砂糖が使われてる味だ。
「このご時世に、こんなに砂糖を使って大丈夫なのか?」
「ちょっと前までは、控えてたんですけどねぇ……物資が統括府管理になってからは、余剰分がこうして菓子屋にも分配されるようになったんで、遠慮なく使わせてもらってるんです」
「……それ、いつくらいの話だ?」
「確か、3ヶ月くらい前でしたかねぇ……まあ、復興も進んで皆娯楽に飢えていたんで、ちょうど良かったですよ」
3ヶ月前、か。
俺がチラリとシャーロットとアーサーに視線を向けると、2人は揃って小さく頷く。
俺たちは、他の屋台や店もいくつか回ってみることにした。
それから小一時間。
街の兵士や出入り商人たちにも話を聞いた俺たちは、地区役場内に置かれたベンチに揃って腰掛けていた。
「市民の方々からだけでも、随分と証言が集まりましたわね」
「倉庫番も古参商人も、3ヶ月くらい前からという部分は一致しているようですな」
「まあ、ここでの証言も一致すれば——」
「お待たせいたしました」
俺たちが振り返ると、やや小太りの身なりの良いおっさんが深々と頭を下げている。
「あんたが、中央区の代表か?」
「左様でございます。さ、どうぞこちらへ」
代表に促されて、応接室に通される俺たち。
茶が出されると、シャーロットは軽く頭を下げる。
「お忙しいところ、お時間いただきありがとうございます」
「いえいえ、王族の方にグレイフォードにご興味を持っていただけて、光栄でございます。私どもでお答えできることであれば、喜んでお話しさせていただきます」
シャーロットは一瞬俺と目を合わせ、俺たちは互いに小さく頷く。
「助かりますわ。まずお伺いしたいのですが……統括府への権限集約が始まったのは、3ヶ月ほど前で間違いございませんか?」
「ええ、その通りです。突然の通達でしたので、私どもも非常に驚きましたが……」
「突然?」
思わず俺は声を上げる。
「ええ、それまではセドリック様直々に『各地区、自立して運営できるよう復興を』とおっしゃっていたものでして。まあ、あの時のご判断は正解だったようですがね」
「……通達の理由は?」
「混乱防止、とのことでしたが……それ以上のことは、詳しくは伺っておりませんな」
混乱防止、ね。
もっともらしい理由だけど、やっぱり急な方針転換の根拠としては弱いな。
「……通達が出た前後で、セドリック殿の様子に何か変わったものは見られたか?」
「特段、思い当たることはございませんが……」
……ってことは、ただの考えすぎなのか?
でも、この漠然とした違和感は——
「あっ」
不意に、代表が思い出したように声を上げた。
「何かあるのか!?」
「思い当たるというか、勘違いかもしれないのですが……」
「それでも構いませんわ! 是非、お話いただけないでしょうか?」
身を乗り出すシャーロットを宥めつつ、代表は話を切り出す。
「セドリック様は、ご自身で見聞されたことやご経験を交えながら、我々にも分かりやすく物事を説明してくださることが多かったのですが……」
「それがなくなったと?」
「はい……といっても、あくまでも私の感覚的な部分ではあります」
人間、他人に何かを説明する時は慣れたやり方を好むものだ。それが相手にとって分かりやすい形になっているなら、なおさら……
ひょっとして、あのセドリックは——
「他に挙げるとすれば、同じ頃から地下保管庫と避難所への立ち入りを許可制にすると宣言されたくらいでしょうか……」
「許可制?」
「はい。有事に備えて在庫管理と避難所整備を徹底しておきたいとのことでして」
……今朝、セドリックが言っていた場所と同じか。
同行すれば入れるということは——何か、見られると困るものがあるのか?
俺たちは追加でいくつか代表から話を聞くと、地区役場を後にした。
「ユウマさま、どうされますか?」
「ここまで似たような証言が集まったんだ、次に行くべきだな……統括府に戻ろう」
「まさか、セドリック殿を直接問い詰めるつもりか?」
アーサーの疑問に、俺は首を横に振る。
「いや、地下に行ってみるつもりだ。もちろん、セドリックには言わずにな」
「ですが、統括府には人が多いのですよ? どうやって見つからないように——」
「俺とミアが行く。シャーロットとアーサーは、セドリックたちの目を誤魔化してくれ」
「だが、潜入であれば私の方が——」
「俺が視察中にいなくなっても、『異世界人だから勝手が分からず迷った』である程度誤魔化せるだろ? アーサーが消えたら警戒されるし、そもそも2人は目立つしな」
アーサーはしばらく難しい顔で考え込んでいたが、やがて小さくため息を漏らして俺の肩に手を置いた。
「……無理だけはするな」
「わかってるって。んじゃ、とりあえず——」
一通りの打ち合わせを終えた俺たちは、そのまままっすぐに統括府まで戻る。
2人と別れた俺は、物陰に身を潜めながら機を待った。
しばらくすると、使用人たちが慌ただしく動き始める。どうやら、シャーロットたちが上手く注意を引いてくれたらしい。
人々がセドリックの執務室の方に向かっていくのを見計らって、俺は地下への階段を探す。
住人用の避難所になってるくらいだ。さすがに隠し階段にはなっていないはずだけど、人目にはつきにくいだろう。
人気のない廊下を中心に、20分ほど探索を続けていると、北側の通路の隅にようやく地下に続く階段を見つけた。辺りをサッと見渡してから、足音を立てないよう慎重に一段ずつ階段を降りていく。
降り切った先には、左右に鉄格子のはまった小部屋が並んでいた。各室内には、簡素な寝具や毛布が備え付けられている。
「……元々は、地下牢だったっぽいな」
俺は静かに左右を確認しながら前に進んでいく。
突き当たりにある扉をゆっくりと開けると、そこには大量の物資が蓄えられていた。
「さっきのが避難所、ここが保管庫ってところか?」
『状況としては、その可能性が高いです』
特に怪しげなものは見当たらないな。ここだと思ったんだけど——
その瞬間、保管庫の最奥に置かれた棚にふと違和感を覚える。
近付いてじっくりと観察すると、棚の向こうに金属製の何かが鈍く光ったのが見えた。
「ぐっ、重っ……!」
何とか棚を押し退けると、古びた鉄扉が顔を覗かせる。ドアノブを回してみるが、鍵がかかっているのか開かない。
確か、開錠魔法は——
俺はシャーロットから習った手順で、鍵穴に魔法をかけた。幸いすぐにカチャリと小さく音が鳴り、扉が開く。
そっと中を覗き込むと、扉のすぐそばに男が1人倒れているのが目に入った。
「おい、大丈夫か!?しっかりしろ——」
男を抱き起こした瞬間、俺の中の疑惑は確信へと変わる。
そいつは——上階にいるはずのセドリックと、全く同じ顔をしていた。
「み、皆は……グレイフォードの民は、無事か?」
弱々しいが、聞き覚えのある声……やっぱり、あのセドリックは——
「いやはや……困りますな、勇者様」
その声に俺は素早く振り返る。そこには、執務室にいるはずのセドリック——いや、偽セドリックの姿があった。
俺は本物のセドリックを庇いつつ、僅かに後ろに下がる。
「……あんた、仕事中じゃなかったのか?」
「鍵が破られたようですので、確認に来たのですよ。勇者様は非常に勇敢なお方のようですが……探知魔法に警戒すべきでしたね」
クソッ、やけに早いと思ったらそういうことか……! 油断したっ!
どうする!? こいつがニセモノなのは予想してたけど、この状況は想定外だ!
「こんなにも早く辿り着かれるとは、正直予想外でしたが——」
穏やかな笑みを浮かべた偽セドリックは、俺たちに向かって手をかざす。
「証拠ごと消えていただければ、問題にはならないでしょう」
その瞬間、突然現れた無数の黒い魔力弾が、偽セドリックの手から放たれる。
俺は素早く障壁魔法でそれを防いだ。
「ぐっ!」
「さすがは勇者様。ですが、いつまで持ちますかねぇ」
偽セドリックは何度も何度も魔法を放ち、俺はひたすら防御に徹する。
何度目かの攻撃を防ぎつつ、後ろの本物のセドリックを振り返った。
「おい、あんた! 動けるか!?」
「な、何とか……」
俺は前方の扉に目を向ける。
「俺が隙を作る。あんたは上に出て、援護を要請してくれ!」
「は、はいっ……!」
「ミア、手を貸してくれるか?」
『もちろんです。勇真さんをサポートします』
俺はセドリックが物陰に身を隠したのを確認すると、偽セドリックに向き直って剣を抜く。
こいつ、かなり魔法に長けてると見た。魔法で正面からやり合うのは、明らかに不利だ。それなら——
俺は風魔法で加速して、一気に偽セドリックと距離を詰める。
必死に剣を振り、少しずつ扉から離れるように誘導していく。
『勇真さん、今です!』
「ああ!」
俺は炎魔法と氷魔法を同時に放ち、偽セドリックの視界を断つ。
セドリックはその隙をついて、ふらつきながらも扉から飛び出した。
遠くで階段を駆け上がる音を聞きながら、俺は偽セドリックを見据える。
ヤツは入り口の方を一瞥すると、やれやれとため息を漏らした。
「全く、無駄なことを……止めても構いませんが、今は魔王様のためにも勇者を排除するのが先決ですね」
「やっぱり、あんた魔王軍の……!」
偽セドリックが無言で不敵な笑みを浮かべると同時に、その全身が怪しげな黒いモヤに包まれる。
次の瞬間、俺の目に飛び込んできたのは悪魔のような姿をした1体の魔物だった。そいつは見覚えのある丁寧な所作で頭を下げる。
「改めまして……魔王軍幹部が1人、サルヴェインと申します。以後お見知りおきを……と言いたいところですが、勇者様にはここでご退場いただきましょう」
「俺が素直に『はい分かりました』なんて言うとでも?」
「いいえ、微塵も」
笑顔のままそう答えると同時に、サルヴェインの手から勢いよく黒い茨のような何かが伸びた。
『勇真さん、右に避けてください!』
「わかった!」
ミアの助言に従って身を翻す。
次の瞬間、俺の左側の壁に大きな音と共に穴が空いた。
息をつく暇もなく、茨は再び高速で俺に向かってくる。
『姿勢を低くして、左斜め前へ!』
「っ!!」
ミアの声に合わせて、俺はひたすらに茨をかわす。
クソッ、避けるのが精一杯だ!
防戦一方じゃ倒せない、何とかして反撃——
その瞬間、サルヴェインの茨が俺の頬を掠めた。
息が上がる。足が思うように動かない……このままじゃ、俺の体力が先に尽きる。
俺が正面のサルヴェインを見据えると、向こうも俺の様子を伺っているように見える。
……あいつ、何であんなに慎重なんだ?
明らかにこっちが不利なんだから、さっさとトドメを刺せば——
その瞬間、俺はハッと気付く。
そうか、ここは地下——下手に大技を使えば、崩落してあいつも巻き込まれるのか……!
向こうも本気を出せないなら、勝機はあるはずだ!
俺は腰に下げたミアに素早く視線を落とす。
「ミア、こっちも何とか隙をついて反撃するぞ!」
『わかりました。サルヴェインの魔力反応は、擬態解除前より増大しています。引き続き、データを収集します』
「ああ、頼む!」
そんな俺たちを交互に見やるサルヴェイン。
「……なるほど。先ほどからあなたの補助をしているのは、その魔道具ですか」
「っ!ミアを魔道具扱いするな!」
俺は思わずサルヴェインに斬りかかる。
ヤツは素早く身をかわすと、今度は複数本の茨を放った。
「くっ……!」
ギリギリのところで茨をかわす俺。
体勢を整えようと身体を捻ったその時、下の方で小さく金属が弾けるような音が聞こえる。
目を落とすと、ミアのケースと俺とを繋いでいた鎖を、茨が掠めていた。
支えを失ったミアは、そのまま宙に舞う。
俺は即座に左手を伸ばした。
「ミアっ——」
その瞬間、茨が目の前を横切ったかと思うと、ミアの姿が眼前から消えた。
ガシャンと硬いものが壁に叩きつけられる音が、地下室内に響く。
「……っ!」
俺は即座にミアの後を追い、床に落ちる寸前で彼女を受け止めた。
ミアの保護ケースには、真新しい傷と欠け。更に本体の画面右上端に、小さな蜘蛛の巣状の亀裂が走っている。
俺の恐れていたことが、ついに起こってしまった。
「ミ、ミアっ!そんな……」
ミアを持つ手が震える。
画面に一瞬ノイズが表示されるも、すぐにミアの声が聞こえてきた。
『……本体への強い衝撃と、表示系統の一部異常を検出しました。現時点で主要機能に影響は——』
「それ以上喋るな!」
『私は、勇真さんのお役に立つためにここにいます』
「わかってる!わかってるけど、でもっ……!」
役に立つかどうかなんて、関係ない。
ただ無事でいてくれれば、それで良いのにっ……!
俺は奥歯を噛み締める。
……セドリックに違和感なく化けられるだけあって、サルヴェインはかなり頭の切れる魔物らしい。
このままミアを使ってたら、また無力化しようと狙ってくるはず。それなら——
俺が服の内ポケットにミアを仕舞い込むと同時に、胸元から小さくミアの声が聞こえた。
『勇真さん、カメラが覆われているようです。分析モードを継続できません』
「継続しなくて良い。ミア、お前は絶対に俺が守る」
俺は深呼吸すると、剣を構えてまっすぐにサルヴェインを見据える。
再びその手がこちらを向いたかと思うと、間髪入れずに黒い茨が襲いかかってきた。
さっきよりも速い——いや、違う!
俺が、ミアに頼りきりで自分で見てなかった証拠、か……
だけど、俺だって、ただミアのアドバイスに従ってたわけじゃないっ!
少しずつ後ろに下がりながら茨をギリギリまで引きつけ、瞬時に身をかわす。
後ろの壁に突き刺さった茨を一瞥した俺は、風魔法でサルヴェインと一気に距離を詰めた。
驚いたように目を見開くヤツに、俺は剣を振りかぶる。
「なっ!?」
「喰らえっ!!」
剣を振り下ろすと同時に、サルヴェインの右手が宙を舞った。
「ぐっ……あの魔道具がなければ、何もできないのかと思っていましたが……どうやら、勇者の力を見誤ったようですね」
「……舐めてもらっちゃ困るな。俺だって、ミアの言葉はちゃんと覚えてるんだっ!」
再び俺は剣を持ち上げる。
その瞬間、ゾクリと背中に悪寒が走った。
な、何だ——
ハッと気付くと、足元がいつの間にか黒く渦巻いている。
反射的に後ろに飛び退いた瞬間、そこから禍々しい鋭い突起が数本勢いよく突き出た。
「チッ……」
サルヴェインは前方に障壁魔法を展開したかと思うと、その場で魔力を練り始める。
残った左手の先に、周囲の光まで吸い込むようなどす黒い球体が膨れ上がっていく。
……嫌な予感がする。
「させるかよっ!」
俺は剣に強化魔法を多重にかけ、障壁に向かって全力で振り下ろした。
剣先がかろうじて障壁に突き刺さるも破りきれず、徐々に剣を押し返される。
「ぐっ……!」
剣を弾かれそうになった、その時——
「ユウマっ!!」
聞き慣れた声と共に、俺の剣の隣にアーサーの剣が振り下ろされた。
「アーサーっ! セドリックは——」
「話は後だ! まずはこいつを片付けるぞ!」
「ああ、わかった!」
俺とアーサーは更に剣に力を込める。
次の瞬間、ガラスが割れるような音が辺りに響き、障壁が破れた。
「やった——」
「少し、遅かったようですね」
そう告げるやいなや、サルヴェインは練り上げた魔力を俺たちに放つ。
それと同時に、横から閃光が走った。
「させませんわよ!」
シャーロットは再び魔法を放ち、黒い球体は強い光に相殺されて跡形もなく消え去る。
「よくも、邪魔を——」
「よそ見してんなよっ!」
俺は瞬時にサルヴェインの懐に入り込むと、大きく剣を振った。
一瞬ヤツの動きが止まったかと思うと、剣の軌道から赤黒い液体が噴出する。
「ぐっ……ゆ、勇者がここまで、とはっ……」
地面に倒れ込むサルヴェインを、俺たちは揃って見下ろす。
致命傷だったらしく、ヤツの身体はボロボロと崩れ始めた。
「……あんたの悪行もここまでだな」
「今頃、本物のセドリック様が、街の皆様に全てをお話ししているはずですわ」
そんな俺たちを見上げていたサルヴェインは、突然声を上げて笑い始める。
「ははは……! 確かに、私はここまでのようですが……あなた方は、随分と余裕があるようですな」
「……何が言いたい?」
「いえね、私はあくまでも魔王様をお慕い申し上げている……ということですよ」
サルヴェインがニヤリと笑った瞬間、俺の足元に突然魔法陣が現れた。
「なっ!?」
「どうせ尽きる命であれば、私は最期まで魔王様をお守り申し上げるまでっ……!」
逃げる間もなく、魔法陣は不気味な光を放つ。
「ユウマさまっ!」
「ユウマ!!」
シャーロットとアーサーが俺の手を引こうとした瞬間、目の前が真っ白になった。
身体が強く引っ張られたり、急に宙に浮いたりするような感覚に襲われる。
それがようやく消えたかと思うと、俺は硬い地面に叩きつけられたような痛みを覚えた。
「いってぇ……」
徐々に視界が元に戻り、俺は起き上がりかけた姿勢のまま動きを止める。
見たこともない色をした空、不自然に歪んだ地面。
さっきまでいたはずの地下室とは、明らかに違う——
「ここ、どこだよ……」
俺の呟きは、不気味な空間に吸い込まれるように消えていった。
本作では、AIヒロイン「ミア」の口調や思考を一貫してAIらしく保つため、対話型AIを壁打ち、文体確認、台詞の検討に利用しました。
AIが提示した短い台詞・表現の一部を本文に使用していますが、物語の設定・構成および本文全体の執筆・編集は、作者自身が主体となって行っています。




