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異世界召喚されたけど家でだらだらする  作者: マスカット寿司
ミルクの幸せまで

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再戦

 律はマエスに光線を放ち、その視界を塞ぐ。


 そして自らの魔力を使い再び【魔法砲撃】を発動させる。


 だが今回はただ撃ち出すわけではなく、光線の軌道が曲がり何かを形どっていく。


「⋯⋯!」


 最初に放たれた光線を受けきり水銀の壁を解除したマエスの視界に映ったのは、巨大な機械兵士(ロボット)


 そしてバチバチと放電する、ロボットを遥かに超える大きさの人影だった。


「【魔法砲撃・屈曲(フィレキシオ)派生(ネルマディオン)


 電気属性の光線で形作られた人影は(ハンマー)を持ち、電気を纏いながらそれを振り下ろす。


「【雷神雷槌(トール・ハンマー)】」


 マエスに向かって振り下ろされた雷の槌は、間に入った水銀ごとマエスを叩き落とした。


 【雷神雷槌(トール・ハンマー)】の余波と土煙が舞う中、水銀を纏ったマエスが静かに現れた。


「いったぁ⋯⋯あの光線進化させてたかぁ〜」


 律が使った機能【魔法砲撃・屈曲(フィレキシオ)】は、【魔法砲撃】を進化(レベルアップ)させた事により手に入った機能。


 【魔法砲撃】によって撃ち出された光線の軌道を自在に操り、先ほどの雷神のような巨大なものも創り出せる。


 さらに属性も2つ与えられるようになっており、組み合わせ次第では強力な効果が期待できる。


(本体の分身なんて前座も前座)


 律は目の前のマエスをまっすぐ見据えて宣言する。


「すぐに本体のところに行ってやる。首洗って待ってな」








 マエスとの戦闘が始まって数分。


「〘AI〙!この家の操作は任せた!」


〘おっけー!〙


 律はロボの操作を〘AI〙に任せ複製(コピー)を召喚、そこに転移(テレポート)する。


 ちなみに複製(コピー)もレベルアップで最大250個までの召喚が可能だ。


「ちょっとだけ時間稼いでくれ!」


〘お任せ!〙


 〘AI〙は多方面から光線を放ち、マエスに対処を迫る。


 マエスが水銀で身体を覆ったところで持っている巨大な剣を振り下ろし、攻撃も忘れない。


(やっぱりいい動きだ)


 律も〘AI〙の働きを見て安心し、ロボの構築を始めた。




〘AI〙サイド。


〘まだまだだよー!〙


 振り下ろした剣を避けたマエスに向かって、いくつもの光線を放つ。


 マエスはそれを避けつつ飛ぶが、先読みして軌道を変えた光線に着弾してしまった。


 瞬間、マエスの動きが止まる。


 光線に付与された電気の効果だ。


〘今だ!〙


 〘AI〙はここぞとばかりに光線と剣で畳みかけ、一気にマエスを仕留めにかかる。


 当たる直前でマエスも動けるようになるが、もはや回避は不可能。


 強度を高めた水銀の壁を何層にも重ね合わせ、少しでも威力を軽減する。


 直後剣と光線が命中し、マエスは地面に思いっきりめりこむ。


 そこに〘AI〙が攻撃しようとするが、マエスは大量の水銀を一気に生み出す事で隠れると同時に移動した。


〘どこいった⋯⋯?〙


 〘AI〙が探していると、後ろの方から声が聞こえてくる。


「やっぱ今操作してるのリツクンじゃないでしょ。動きが違うよ」


 マエスは〘AI〙の存在を看破し、顔に苦笑いを浮かべた。


「で、リツクン本人はどこに行ったのかな。先に1人でボク本体のところにでも――――――――」


 マエスがそこまで言ったところで、彼に剣が振り下ろされた。


 ロボが持つような、巨大な剣だ。


「おや、1人で先に行ってたわけじゃなかったのか」


「ああ。分身(お前)はここで倒す」


 マエスは楽しそうに笑い、水銀を大量に生み出す。


「【(シルバー・)(ヴォルテクス)】」


 マエスはかつて律に放った(銀渦)をいくつも召喚し、さらにそれを変化させる。


「【錬金・創造】」


 銀の渦が避けきれなかった律の家を巻き込み、その中に閉じ込める。


「【銀渦世界(ムンド・デスポリー)】」


 渦が家を覆いつくし、外の世界と完全に遮断する。


 比喩ではなく、本当に遮断したのだ。


 つまり、律の【転移引っ越し(コピー・ワープ)】を使った脱出は封じられた。


「さぁ、どうする?」


 マエスが心底楽しそうな笑みを浮かべ、律に言葉を投げかけた。


「こうする」


 直後、銀渦に飲み込まれたはずの律の声が聞こえ、銀渦が切断される。


「おっとぉ?」


 マエスが楽しそうな声を上げ、銀渦から出てきた家を見つめた。


 律は既に【時空切断(ゴルカ)】と同等の時空切断能力を手にしている。


 それは【魔法砲撃】への【属性付与】。


 【魔法砲撃】のレベルアップにより付与できる属性が増え、その中に【時空切断(ゴルカ)】も追加されたのだ。


 その属性が付与された光線は、銀渦の世界まで切断した。


「また随分と」


 マエスが心底楽しそうに笑い、負ける心配などないといった表情で律を見据える。


「面白そうな能力だね!」


 瞬間マエスを中心として水銀が渦巻く。


 その水銀は辺り一帯を埋め尽くし、巨大な湖を作り出した。


「【水銀湖(ラボ・フェルモニ)】」


 形成された湖の中に、〘AI〙操作のロボは突っ込んでいく。


 だが湖に入る飛直前【飛行】を使用し、水銀に直接は触れない。


 律は代わりに海賊船型の複製(コピー)を召喚し、【飛行】にて突っ込ませた。


 先に到着した〘AI〙が、マエスに向かって剣を振り下ろす。


〘!〙


 すると水銀から巨大な腕が飛び出し、〘AI〙の剣を受け止める。


 その隙に複製(コピー)を接近させようと、律は複製(コピー)のスピードを上げる。


 次の瞬間、水銀の湖から巨大な竜の上半身が飛び出し、複製(コピー)を飲み込み沈んでいった。


 そこに〘AI〙が【魔法砲撃】を放ち、マエスを攻撃する。


 着弾する直前水銀が割りこみ、崩れ落ちる水銀の奥からマエスが挑戦的な笑みを浮かべる。


 そんなマエスに影が差すのと、斬撃状の光線が飛んできたのは同時だった。


 マエスが上を見上げると同時に水銀で防ぎ、その結果防いだ水銀はボロボロと散り果てる。



ドォォォォォォォォン!!!!!



 そこに律操るロボが剣を振り下ろしながら着陸し、辺りには轟音が響き渡る。


「【銀帳(コルキナ・デヘラ)】」


 律の耳にマエスの声が届くと同時、水銀湖の範囲が銀の帳に覆われる。


 律がロボを操作しながら辺りを見回す。


 〘AI〙も状況を把握しようとキョロキョロとしている。


 とりあえずマエスのいた位置に光線を撃ち込むが、マエスは既に別の場所へと移動しており彼の姿はなくなっていた。


〘どこいったのかな?〙


「ここだよ」


 律と〘AI〙が同時に声の方向を見る。


 マエスがいたのは銀帳の天井付近。


 水銀で作られた足場に立っていた。


「ここはボクの水銀で作られた、ドームの中。もちろん外の世界と遮断してあるよ」


 そこまで言ったところでマエスは視線をそらし、気の抜けた声を出す。


「ま、ボクも外には出れないけどね」


〘僕らの時空切断があれば壊せるみたいだけど?〙


 〘AI〙が挑発気味にマエスに話しかける。


「もちろん対策はしてあるさ。やってみたら?」


 マエスも挑発するように返し⋯⋯というか挑発する。


〘それじゃ〙


 〘AI〙は時空切断効果を付与した光線を斬撃状に変え、銀帳を切断しにかかる。


 銀帳と斬撃はぶつかり合い、少しづつお互いを破壊していく。


 やがて斬撃が消滅するも、銀帳だけはそこに残っていた。


〘へぇ〙


 〘AI〙が驚きと興味を混ぜたような声を出す。


「ほら、言ったろ?破壊は出来ないって」


 マエスが煽るようにいい、自慢の銀帳をちらりと見る。


 銀帳の時空遮断の層は全部で100層あり、その全ての層を一撃で切断するほどの力は今の律にはなかったのだ。


 もっと時空切断を極めた者―――――――例えばウステならば一撃で破壊することも可能だったかも知れない。


〘じゃ、普通に倒そう〙


 そう言うと同時、〘AI〙が仕掛ける。


 変則的な軌道を描く光線が多方面から飛び、正面からは巨大なロボが迫る。


「【(シルバー・)(ヴォルテクス)】」


「【魔法砲撃】【屈曲(フィレキシオ)】」


 律&〘AI〙、マエス・デマリオ。


 両者の戦いは新たな領域に到達し、激しさを増していくことになる。

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