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12.合流?(3)

「あれ? どこだ、ここ……たしか誰かに首を絞められて……。くそっ、どこのどいつだ……」女は半身を起こしたもののフラフラと頭を揺らしていて、記憶も曖昧なようだ。


「この階に隠れていたテロ犯だ。そいつは上に逃げた」タチバナが面倒そうにいった。


せっかくタチバナが機転をきかせてくれたので、「そのとおりだ」と便乗しておいた。


それにしてもこの白人女は何者なのだろうか? どの程度の腕前かはわからないが、緊張感なく銃を手にしていたので素人というわけではなさそうだが……。


「時間はあまりないが、自己紹介に二分取ろう」そう京子は提案し、まずは自分の説明をさっとすませた。


リクレンジャーの総帥などというふざけた現状はふせて、テロ制圧部隊の准尉という元の経歴を使用した。


その方が説明が短くすむし、なによりこのよせ集めの素人たちを率いるのに、そういった権威があったほうが纏まりやすいと考えたのだ。


翠の自己紹介では、リクレンジャーに一切言及せず、星川財閥の一員であることを再度告げ、京子への情報提供者というポジションにおさまった。


タチバナの自己紹介は先にほとんど済んでいたので、『立花』だということがわかったぐらいだ。


謎だった少女と白人女だが、自己紹介を聞いても正直よくわからなかった。自己紹介の時間が短いせいもあるだろうが、そもそもややこしい立場にいるのだろう。


それでも簡単に纏めてみると、山野由紀はマフィアの情婦で、真理亜はギャングあがりの一匹狼、といったところだろうか。


「時間がないので、続けて現状について一分で説明する」京子がいうと、立花は神妙な表情で頷いたが、由紀と真理亜はどこ吹く風といった態度だ。


かまわず京子は、一条からの情報を要約して説明した。


まずはこのビルの状態。テロ犯によってエレベーターは破壊、非常階段の多くも爆破されて逃げられないようになっている。京子と翠は、まだ生きていた非常階段と清掃用のゴンドラを駆使して最上階に近いここまで上がってきた。


テロ犯の人数は二十人ほどで、すでに爆弾設置作業が終了して、ヘリで逃走するために待機中だ。


待機場所は作戦本部を兼ねた七十八、七十九階の倉庫階だ。ヘリが到着次第、今京子たちがいる七十七階までいったん降りてから、直通エレベーターで屋上に向かうことになる。屋上に上がるには、そのルートしかないからだ。


「じゃあ、この階で待ちうけるということだな」立花は考え込む仕草をした。「テロ犯はさっき一人減らしたから……銃を持っている三人で割ると一人あたま六人、ってところか」


「テロ犯の殲滅には、立花さんや真理亜さんに手伝ってもらうつもりはない。私が一人で上の階に打ってでる」


「三上さん一人で二十人ほどを相手にするというのか⁉」立花は眉を上げた。


「そうなる」


「じゃあ俺はなにをすりゃいいんだ?」


「一足先に屋上へいって、エレベーターを足止め。さらにヘリが来ても追い払ってもらいたい」


「エレベーターの足止めはともかく、武装ヘリがきたら太刀打ちできないぞ」


「もちろんそのときは逃げてくれてかまわない」


「ここには俺も残ろう。エレベーターの足止めだけなら、お嬢さんたちでもできる」


「立花さんの提案には感謝する。また、その勇気にも敬意をしめしたい。だが、援護は不要だ。警察は捜査や逮捕、もしくは警護のプロであって、戦闘のプロではない」


「とはいえ、警察も銃を扱うし、柔道や空手の黒帯はわんさかいる」立花は目を細めた。「援護ぐらいならできるさ」


「気を悪くされるかもしれないが、はっきりいおう。生半可なスキルの援護は、かえって邪魔となる」京子は首をふってから、翠と由紀に視線をやった。「今回は間接的なサポートと、警察として市民を守ることに尽力してもらいたい」


「わかった。ただ、三上さんの敗北が、お嬢さんたちの命に直結することを覚えておいてくれ」


「肝に命じよう」


京子が力強くいい、立花はややあってから頷いた。


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