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人演狐  作者: 幸人
第三章 不吉な幕開け

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第十九話 再会の音

(信じられねえ……これ現実かよ)


広々とした空間を呆然と見渡す。丸い天井、ほの暗い空気、壁に掛かる幾つものランプの明り。

目線を下げると、稽古を受ける門下生たちの姿が映る。そして彼らの先には……俺たちが入った扉以外の五つの扉が佇んでいる。―――あれ、一番右側の扉だけ、他と違って()()()ような気がする。


「お前ら驚いたか? ここが正真正銘、悪退の眼の本部兼、稽古場だ。全員思ってるだろうが、無駄に広いよな? 流石は()()()()()って感じの組織だ! あはははは!」


(政府裏公認……?)


政府って、あれだよな。よく分かんねえけど、国に関する重要なことを決める人たちの集まり……だったよな? え、てことはなんだ、俺たち政府から認められてるってことか? 人演狐を殺す組織を政府が承認してるってことなのか―――? 

裏公認の意味は理解できねえが……とにかく俺が想像する以上に巨大な組織であることに違いない。そうじゃなきゃ地下にこんな凄い施設なんか作れないわけだし。

改めて考えると、俺みたいなやつが足踏み入れていいような場所じゃないよな……。


「ってこんなこと言ったら怒られちまうな! 冗談はさておいて、あっちまで移動してから始めるぞ!」


鬼勢豪明が指さす方―――入った扉から左側にある壁沿いには、墨色の衣服をまとった人たちがすでに集合していた。手ぬぐいを頭に被った変な奴も一人いる。


(あの人らも入門生なんだろうな……)


大男を先頭にその場所まで歩き着き、俺は伏し目がちに立ちすくんだ。口を一文字に結び、鬼勢豪明から次の指示があるまでは微動だにできない。次第に、緊張から手先が震えてきた。


(怖え、どうしよう)


異質な場所で、年齢の近い、よく知りもしない男女と上手くやっていけるのか。そんな気持ちが膨らむばかりだ。俺……やっぱり自信なくなってき―――。


「パキ……パ……キ」


―――ん……この()は?

何だか、繊細で……壊れかけた器が割れてしまいそうな———そんな()()()()に響いてきた。

瞬時に後ろを振り向く。

その時、俺は目を見開いた。

見覚えのある男が立っているからだ。


(な、なんでお前が―――)


「なんでお前が()()にいるんだよ」


目の先には、()()()()()が、確かに立っていた。

最後まで読んでいただきありがとうございます!


なんと音在暗之助が赤茶髪の男と再会してしまいました。

人演狐だと思っていた彼がなぜ悪退の眼の稽古場にいるのか……謎ですね。

ぜひ彼の動向にも関心を持っていただけると嬉しいです!


次話も気長にお待ちください!

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