騎士と信じ合おうとする仲間はいつであれ疑問を投げかける
この揺れ、この人?は多分……いや絶対に、
シャドウに呑まれた人。
「僕に何のようですか?」
「あぁ……偽りの少年トミノ、私は滑稽な騎士を終わらせたいのです」
「滑稽な騎士……ドン・キホーテさんのことですか?」
「滑稽で連想するだなんて酷いですね、彼は彼女は、作られた狂気、夢、幻想、それらに溺れているだけですから、本来なら鏡の騎士は私ではなく彼の役でした、いつかサンチョ……いえサンソン・カラスコと名乗るものがくるでしょう」
「サンチョ?」
「気にしなくて良いのです、役者の素性は」
「……それで、サンソンが来てどうなるの?」
「聞き分けがよろしいですね、それはまだ知るべきではないでしょう」
「じゃあ、何を言いに来たんですか?」
「劇が始まる前に貴方を知りたかっただけですよ、これからの私はサンチョ・パンサ、忘れないでくださいねこの事は」
「……?どう言う……!」
サンチョ・パンサと名乗った物は、
何かを飲ませてきた。
どこか知っている味、知っていて知らない感覚。
「レーテー……忘却の川この水を過去に飲んだことがあるのですね、忘れているようですけど、この程度なら今の事だけ忘却す……で……」
深い深い眠りに落ちる。
意識も感覚も全て朦朧となる。
「起きた、ネリー!トミノが起きたよ!」
ダンテの声が聞こえる。
さっきまで……何を、
疲れてから……何も覚えてない、
いや思い出せない。
口の中に初めてダンテ達と会った時と、
同じ味が残っている気がする。
「えっと……今何が?」
「公園で倒れてたんだってね、それであそこの人が運んできてくれたんだ」
指で刺された先には知らない人がいる。
胸の揺れが無い……違う思い出せない、
記憶できない、そんな感じ。
「俺はサンチョ・パンサ、トミノ君がシャドウを元に戻すところを見ていてねお節介かもしれないが危ないから運んだんだ」
「……ありがとうございます?」
何だか不思議な感じだ、
初めて会ったのに、さっきまで話してた、
そんな感覚で理解が難しい。
サンチョ・パンサ……どこかで、
聞いたことのある名前。
「我の仲間を助けてもらい感謝する!」
「そんなそんな、完全な善意でもありませんし……俺は俺で利益があるからですよ、
あんな化け物に立ち向かえるような、勇敢な人に恩を売るのは俺の悪い性分なので」
笑いながらそう答える。
サンチョ……パンサ、
サンチョ……あの――にいた人と同じ、
全て思い出せない……
まだ考えるべきではないと心が言う。
「騎士さんは何を目的冒険をしているのですか」
「ふむ!目的など自然とやってくるさ!!騎士ならな!!」
「そうですか……俺もついていって良いかな?」
「良い!」
「勝手に決めないでくださいドン・キホーテさん」
「僕もそう思うなぁ、自分勝手じゃないかな」
「……そうですね、僕もちゃんと話し合うべきだと思います」
「そうであるか……すまない早とちりした」
「いえいえ、俺もちゃんと話し合うべきだと思いますし」
「ぱんぱん」
ダンテが手を叩いた。
「それじゃあ、色々話したいこともあるし、話し合いにしようか」
ダンテが仕切り、話し合いが始まった。




