蛇の賛歌
この章の終わりです
「キャサリン……俺は……俺もキャサリンを……愛してる……」
ヒースクリフは膝を着き涙を流す。
今度は悲しみじゃ無い。
でもまだ終わってない。
「ネリー……エドガー……リントンの邸宅はどこだ」
ヒースクリフは起き上がり、
罪を絡みついた糸を……
終わらせるようとしている。
そこにさっきまでの怒りも、
後悔も、全てない。
「隣に見える場所、昔ヒースクリフとキャサリンが野良襲われた場所の近くよ」
「お前ら……いやダンテとトミノ行くぞ」
ヒースクリフが初めて名前を呼んだ、
初めて自発的に話しかけられた。
その声には覚悟を感じた、
今回は本当にキャサリンのための行動。
「行こっか、最後に」
ダンテがやっといつもの調子に戻ったが、
確かな覚悟を感じる。
僕も覚悟を決めて進む。
「はい、行きましょう」
「私も着替えと武器を補修したら行くね、ヒースクリフ」
ネリーはそう言って、
折れたナイフを指差した。
「ああ、俺がやる」
――邸宅の中。
「意外と近かったね」
「やっとですか……」
「あそこ……うわ、挑発してんのか?」
ヒースクリフの指差す先には、
結婚式場と書かれた看板が、
ついている扉があった。
「前までだったら、怒ってたよね」
「さっきくら馴れ馴れしな、お前……まあそうだけどさ」
ダンテは多分緊張をほぐすために、
軽口を叩く。
「安心しろ俺は冷静だ、行くぞ」
「はい、行きましょう」
扉を開けた先には、
ヒンドリーと誰かがいた。
「キャサリンはどこだヒンドリー」
「俺が答えよう、キャサリンは眠っている、体調が悪く動けないのだ」
「エドガー・リントンか、変わったな昔は俺より小さかったのに」
「フルネームはやめてくれ、初めてじゃないだろ、ヒースクリフ」
淡々とした会話に、
ヒンドリーが叫ぶ。
「ヒースクリフ!!ここにキャサリンはいない、それにキャサリンの体調はお前のせいだヒースクリフ!!汚れて病を振り撒く害獣!!お前のせいだ!!」
「俺のせい……」
「間に受けない方がいいですよ、ヒースクリフさん」
「ヒースクリフ!!お前が逃げてから、キャサリンは悲しんで、弱っていった、キャサリンを弱らせたのはお前のせいだ!!ヒースクリフ!!汚れたお前がいなければ!!弱らなかった!!」
「お前は……孤独だなヒンドリー」
ヒースクリフは冷静にそう言う、
この中で今叫んでいるのは、
ヒンドリーだけ、
ヒースクリフを否定する者もいない、
ヒースクリフはもう自分自身を否定しない。
孤独なのはヒンドリーだけだ。
「お前の……全部お前のせいだぞヒースクリフ!!」
「俺は最初から盗んでない、キャサリンにしか興味はない、ヒンドリーお前は……どうでもいい」
「だってさヒンドリーさん」
「黙れエドガー!!誰のおかげでキャサリンと結婚できると!!」
「俺はキャサリンが好きだ、笑うキャサリンがだから、嫌なんだ俺が……ヒースクリフになれない俺が……もう辞めにしよう」
エドガーという者の胸の揺らぎは、
キャサリン?しか映っていない、
怖い、なんでこんなに……
「キャサリンしか映ってない……」
「そうだ少年、俺は……俺にはキャサリンしかいない!!あの時、犬に噛まれたキャサリンがきた時全て狂った!!俺はキャサリンしか見ていない!!だが……キャサリンはヒースクリフ……お前しか見ていない」
エドガーは泣きながら叫ぶ、
本当に怖い、知らなかった愛がこんなに、
恐ろしいだなんて。
たった一人にこれほど狂うなんて。
「エドガー、お前は救われないな……」
「ああ!!救われないない、キャサリンが向くまで……でも!!キャサリンはヒースクリフ君しか映さない!!だから救われない一生、だから聞かせてくれヒースクリフ!!キャサリンを愛しているか!!」
怖い、自分を偽らない彼が。
本心で愛し、本心で嫉妬し、本心で叫ぶ。
なぜ……自我をあれほど持ち、
無理だと知ってく崩壊しない、
いや……もう崩壊しているのか……
情緒が不安定で、泣き叫び、
すぐに落ち着く。
「怖……何あれ……」
ダンテが声を漏らす。
わかる、怖いが、
一周回って良くも思える。
自我を保ち、エゴで行動して、
愛する人のために泣き叫ぶ。
「黙れ、ここは俺の舞台だエドガー!!」
心臓が潰れるその感覚、まただ。
蛇が……来る。
「最後の一工夫をしにきました」
先程と同じ。
揺れている、次元が。
「蛇!!良いところにきた!!こいつを追い出せ!!」
「愛を奪われた」
「そうだ!!ヒースクリフに!!奪われた!!」
「全てら知っている私から言いましょう、最初から愛なんてないですよ、ヒンドリー」
蛇はヒンドリーの耳元で囁く、
聞こえないがよからぬことかも知れない。
「奪われたたんだ……違う……奪われたたんだ!!ヒースクリフに!!」
「薄々気がついているでしょう、最初から愛なんてないだから、ヒースクリフを拾ったって」
「違う!違う!!違う……」
ヒンドリーの姿が変わる。
罪が揺れる、変わるシャドウに。
「違いません、ヒースクリフがきた時に自覚しただけですよ、可哀想ですね、存在しない愛のために泣き叫ぶのは」
ヒンドリーはその言葉で全て呑まれた。
頭がメガホンのようになり、
体は破けて綿が出ている。
埃の匂いがする、
孤独感、忘れられて愛されなくなった、
人形のように、壊れて泣き叫ぶ。
「……お父様!――を買って!……ヒースクリフお前のせいだ!!……黙れ……俺はカポだぞ!!……」
オルゴールの音が鳴る。
「このオルゴール、旦那様がヒンドリーにあげたやつ……」
圧迫感が無くなり周りを見渡したら、
いつのまにか蛇は消えていた。
「ヒンドリー、シャドウに呑まれたか、もう長くない俺の最後に……キャサリンといさせてくれたことは、感謝するよ、ありがとう」
エドガーはそう言うとふらつく足で、
咳をしながらどこかへ逃げた。
「ヒンドリーお前は、俺が殺す、だからお前らは見てろ」
ヒースクリフは最後の、
覚悟を決めて前に出た。
♪〜♪〜
「お父様!……お父様!……俺はカポだぞ!!……オルゴールありがとうございます!お父様!……ネリーお化けがいるよ……助けてよネリー、キャサリン、お父様……ヒースクリフ……」
「悲しいな、お前がここまで落ちるなんて……」
ヒースクリフ拳銃と赤い袋を持っている、
あれはペルソナというのだろうか?
反響するメガホンの中、
弾丸が響く。
「……お父様!……お父様!……ネリー……お化け……人形はもういらない!……人形はもういらない!……」
綿が線を書く、
ヒースクリフ当たる瞬間に避ける。
「あっ……ぶねぇ……」
「……オルゴールありがとうございます!お父様!……オルゴールありがとうございます!お父様!……」
同じことを泣き叫び続ける、
ヒンドリーを完全な悪に思えなかった。
少しずつ壊れていく、綿がさらに毀れる。
「……人形はもういらない!……人形はもういらない!……」
ヒンドリーがそう叫ぶたび、
綿が槍のように高速で線を作る、
全てヒースクリフに向かって。
最初から、僕達は眼中に無い、そんな動き。
「これで最後だヒンドリー……」
最後に放たれた弾丸は胴体のつなぎめを、
全て切り離た、綿が全て毀れる。
メガホンが転がり落ちる。
「……お父様!……ネリー……キャサリン……」
「……蛇!!……蛇!!……」
呼ばれたと同時に聞いていたように現れた。
何かを持って。
「やっと終わりましたか、ヒースクリフ、これが何かわかりますか?」
蛇の手には生首がぶら下がっていた。
「……キャサリン?」
ヒースクリフの呼吸が止まっているのか、
僕の心臓の跳ねる音で聞こえていないのか、
わからない。
「貴方が遅かったから、殺しました」
淡々と変わらず話す。
キャサリンの頭を、
ヒースクリフに投げつける。
「……お前!!殺……」
ヒースクリフ簡単に突き飛ばされた。
ヒースクリフ震える、
恐怖か絶望かわからないけど、
今は目を開けたくない、確認したくない。
「勝てませんよ、救えませんよ、貴方には」
「ヒースクリフ!!」
震えて黙っていたネリーが叫ぶ。
「キャサリン……俺は……」
「良い事を教えましょう、キャサリンさんが死んだのはヒースクリフ貴方のせいです、貴方が最初から諦めればよかった、中途半端に前を向いたのが駄目でした、リントン……彼なら良かったヒースクリフ貴方じゃなければ、キャサリンさんは救われてましたよ本当にね」
「お前が殺したんでしょ、キャサリン様を……ヒースクリフのせいにするな!!」
「待って勝てないよ、ネリーさん」
僕は声が出せない、
恐ろしい、怖い、死にたく無い。
ヒースクリフの姿が変わる、
また呑まれる。
カビと少し爽やかな梅の匂い、
嵐の音、枯れた花の崩れる音、
鼠は病に倒れウジのように這いずり回る。
最初からそうだったように諦めて、
もう泣きはしない、希望がないから。
「やっと完成しました、ヒースクリフ、完璧な絶望、嫉妬その怪物、最初からそうだったらキャサリンさんは死ななかったのにね」
「まて、まだ終わってない」
ウェルギリウスの声が聞こえる、
助かる、こいつ……蛇から。
「しつこいですね、貴方は、まだやることがあるのに」
「天叢雲剣」
「――竜巻の目」
部屋が完全に空間から断絶される、
耳鳴りがする、暑くも冷たくも無い、
そんな場所になったんだここは。
「長い時間はできないので、少し話しましょうダンテ」
「何だよ……化け物……あの時の奴の仲間か……」
「はい、イカロス、林冲、フェンリル、の仲間ですよ。……そちらの方は?」
ボロボロだけど……威圧感は変わらない。
僕を見てそう言う、答えなきゃ死ぬ。
痛い心臓の動きが、視界が暗くなる。
「トミ……ノ……トミノです」
「なぜ、そちらにいるのでしょう?わかりませ、どうして偽っている?どうして忘れている?なんでダンテ達といるのでしょう?私はわかりません、気になります、嫉妬します、教えてください、偽る理由を!」
僕を見るや否や、矢継ぎ早に質問してきた。
「わかりません……それをわかるために旅をしています……」
「そうですか、私よりも自分自身を理解しているのに?わからない気になりますね、好きかも知れませんね!トミノ君のこと」
怖い、嫌なのに執着された。
蛇は確かに死にかけのはずなのに、
変わらず余裕があるように見えた。
「時間です、さようなら、また会いましょう、虚飾の罪人トミノ」
蛇とヒンドリーとヒースクリフは、
空間に消えた。
「……みんな死んじゃった……」
ネリーは泣き出した。
「僕のせい……あのいつらの仲間……」
ダンテは頭を抱えて、
ぶつぶつと言っている。
空間の壁が消えて、
ボロボロのウェルギリウスが入ってきた。
「私のミスだ、責めるなら自分ではなく、私を責めろ」
「……そんな姿の人を非難できませんよ、私は……」
ネリーは泣きながら、呟く。
「ウェル、あいつ……獅子、豹、狼の仲間だってさ……全部僕のせいかな?」
ダンテ初めて暗く話した、
僕は、どうすれば良いのか、わからない。
ただ怖い。
「今は戻ろう、そして休んだ後話し合おう」
ウェルギリウスはボロボロだった、
明らかにこの場の誰よりも死にかけで、
それでも落ち着いていた。
宿に戻り、眠る。
何も忘れない、忘れたいのに。
朝日が昇る昨日のことが夢では無いと、
証明する。
「話し合おうか……みんなで」
ダンテも変わらず暗い、
みんな変わらない昨日から。
「そうね、あの蛇はなんなのか教えて」
ネリーは落ち着いたフリを、
しているのがわかる、
胸の揺らぎが、泣いているから。
「疑問と罪悪の獣、恐ろしく強よく厄介で頭のおかしい思想家どもだ、今わかっているので、蛇メフィストフェレス、獅子イカロス、豹林冲、狼フェンリル、の4人だ」
「あんなのが四人も……僕はどうすれば」
「知らん、だが蛇に気に入られたらしいな、ダンテに聴いた、それなら動くべきだろう」
ウェルギリウスは冷静にそう言う、
わかるけど、わからないなぜ、
落ち着いているのかが。
「ウェルギリウスさん、私も連れて行ってください、ヒースクリフはまだ死んで無いから……」
ネリーは泣くことを我慢しながら言った、
強い人だ本当に、みんな死んで、
ヒースクリフも、
どこにいるのかわかないのに。
「いいだろう、獣が来るなら戦力が必要だ」
「ありがとうございます」
「ネリーさんはかっこいいね、僕は怯えてた名前を呼ばれたときイカロス……初めて落ちた 時を思い出したよ」
ダンテはそう言った。
イカロス、蛇の仲間。
初めて落ちた時にあったんだ、
よく生きれてるね、そう思う。
「こんな時だが、次の依頼に行かないといけない」
ウェルギリウスは少し申し訳なさそうに、
そう言うが、誰も文句を言わなかった。
「次は何を?」
「騎士の夢を覚ましにいく」
嵐のように始まり、
嵐のように消えない傷を残して消えた。
嵐に救いはないと思います
なんで初っ端からこれにしたんだろうね?自分は




