出発
朝
勝也は、五時に目を覚ました。
すぐさま布団を出て、リビングに向かう。
当たり前だが、リビングには、誰もいない。
勝也は、ちゃちゃっと簡単な朝食を作り、モソモソと食べていると、
「ご主人様、ご朝食をおつく、ああ!もうお作りになられたのですか!?」
シャロロが、入ってきて、悲鳴をあげた。
「(モシャモシャ)ゴクン。ああ、そうだが。何か悪かったのか?」
「いえ、何でもございません」
シャロロは、うなだれ込んだ。
「勝也様。我々もついていってもよろしいでしょうか?」
心配そうな声で、シャロロの後ろから入ってきた、ナミットが聞いてきた。
「ごちそうさまでした。あと、別についてきたいんだったら、ついてきていいぞ」
食べ終わった勝也は、食器を片付けるついでに、ナミットの問に答えた。
「ありがとうございます」
そのあと、いつまでもうなだれているシャロロを、冷水をかけて正気に戻し、シャロロを乾かしながら(風の魔法で)玄関を出た。
朝靄のせいで、視界が極端に悪い。
普通の人なら、三メートル先も見えないほどだ。
しかし、ここにいる三人は、いづれも普通にはほど遠い。
この世界には、気配感知というスキルがある。
そのスキルは、自分を中心とした、魔力の膜を、薄く張って、その魔力の揺れで、生物を感知するスキルだ。
しかも、魔力を放出するので、建物の中にいても、そのスキルを高レベルで獲得している人には、あまり意味がない。
ちなみに、勝也、シャロロ、ナミットの気配感知のスキルレベルは、十那由多、十×百、十×十だ。
左から順番に、勝也、シャロロ、ナミットの順番になっている。
つまり、朝靄などは、この三人にとって、視界では確認しずらいというだけなのだ。
三人は、門番のおっちゃんに挨拶をして、門をくぐり、森に入った。
森を出ると、少し進んだところに、細い一本道がある。
その道を、まーっすぐ行くと、いつかは、王都につく。
走って一日、歩いて五日といったところだ。
「お前ら、どうする?歩く?それとも走る?」
勝也の、一歩後ろを歩く二人に聞いた。
「ご主人様、歩きましょう」
すると、意外なことに、シャロロが、即座に提案してきた。
「意外だな、お前が積極的に意見を言うなんて」
「はい、理由を申し上げてもよろしいでしょうか?」
「ああ、いいぞ」
こほん、と一つ、シャロロがせきをして、喋り出した。
「まず、走って行くとしても、そもそも急ぐ理由が見つかりません」
「確かにな、それで?」
「私が、力の調整が、あまりできていない気がするので、魔物で調整をしたいからです。すみません」
最後に、シャロロが謝ったことを完全にスルーして、んー、と勝也は考えていた。
ちらり、とナミットを見ると、特に不満は無さそうだった。
「よし、歩いていくか。あと、出てくる魔物は全部シャロロが倒してくれ」
という結論になり、ゆっくりと、喋りながら、王都を目指して、歩き出した。




