第36話 光の視線
俺達は四人で集まった。
そして、今までのことを整理することにした。
まず、高木が口を開く。
「あのさ……俺達を仲間割れさせて、一人にしたところを狙う可能性もあるんじゃないかって考えたんだ」
「美咲さんって、昔からかなりモテただろ?」
「それで、二人で話して怪しいと思ったのが何人かいる」
「小野田、小林、和田。それと竹中かな」
「心当たりあるか?」
高木が尋ねる。
「小野田君には何回か話しかけられたことがあるかも」
美咲が少し考えながら答えた。
「それと……和田君なら見たことがあるかも」
「スーパーの帰りだったかな。たまたま見かけた気がする」
「もちろん偶然かもしれないけど」
「あ……ちょっと待って」
詩織も何かを思い出したように言った。
「私も和田君を見たかも」
「たまたまだと思ってたけど……」
「あのさ……竹中ってどんなやつだ?」
直哉が聞いた。
「お前、知らないのか?」
高木が少し驚いたように言う。
「眼鏡かけた、俺達より一つ下のやつだよ」
「花束返しに行った時もいたじゃん」
「覚えてないのか?」
「いや……」
直哉は困ったように頭をかいた。
「あの時、いっぱいいたし」
「正直、誰が誰だかわからなかった」
「お前、本当に興味なかったんだな」
「美咲しか見てなかったからな」
「それ言うと格好いいけど、単に覚えてないだけだろ」
「うるさい」
「俺、和田ってやつも覚えてない」
「小野田は……ちょっとイケメンだったやつか?」
直哉は必死に記憶を掘り返していた。
「……お兄ちゃん、本当に覚えてないの?」
詩織が呆れたように言う。
「ああ」
直哉は素直に頷いた。
「何かよくわからないんだよな」
「顔を見れば思い出すかもしれないけど」
「えっと……小野田君って坊主の人でしょ?」
美咲が言った。
「それ青木君」
高木が即答する。
「あれ?」
「じゃあ、小野田君に話しかけられてないかも」
美咲が首を傾げた。
「和田君はインパクトあるでしょう」
美咲が言った。
「だって、よくひっそり見てたじゃない」
部屋が静かになる。
「言われてみれば」
高木が小さく頷いた。
「話しかけてくるわけじゃないんだよな」
「そうそう」
美咲も頷く。
「ただ、いるの」
「気づくと見てるのよ」
「でも、竹中君もなかなかだったわ」
「あの人も地味にいるの」
「地味にいるって何だよ」
直哉が突っ込む。
「だから……説明しにくいんだけど」
「気づくといるのよ」
「教室の近くとか、廊下とか」
「別に話しかけてくるわけじゃないんだけど」
「いるの」
「和田君とは違う感じだけど」
「ああ……」
高木が微妙な顔をした。
「わかる」
「……俺、あとをつけられたかもしれない」
直哉が言った。
「変なやつがついてきたことがあってさ」
「俺、女じゃないし、身長もあるのに何で?って思ったんだよ」
「それで走って逃げた」
「ちょっと怖かった時があったんだ」
「……お兄ちゃん」
詩織が額に手を当てた。
「何で今まで言わなかったの?」
「いや、男だし」
「だから何?」
「気のせいかと思った」
「気のせいじゃないでしょう」
詩織が即答した。
「でも、男だったんだって」
「眼鏡のやつ」
「眼鏡?」
高木が反応した。
「うん」
「後ろ振り返ったら、慌てて隠れたんだよ」
「だから余計に気になって」
「でも知らないやつだったし」
「気のせいかなって」
「いや、気のせいじゃないだろ」
高木が即答した。
「そうすると、和田か竹中か……別人が濃厚だな」
高木が腕を組む。
「そうかもしれん」
直哉も頷いた。
「悪いな」
「誰が誰だか覚えてなくて」
「お前、本当に覚えてないんだな」
高木が呆れたように言う。
「美咲しか見てなかったんじゃない?」
詩織が小さく笑った。
「それなら格好いいんだけどな」
直哉が言った。
「お兄ちゃんの場合、実際は記憶力の問題だと思うよ」
詩織が言う。
「否定できない」
直哉が頷いた。




