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義妹は、私だけを見ていた。―妹に愛されすぎた女の話―  作者: 桐原悠真
第2章 光のズレ

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第18話 光のズレ

俺は、まだ終われない。


湊はそう思っていた。


きっと――美咲さんは、俺のことを想ってる。


あの時、笑ってくれた。

あの時、少しだけ寂しそうだった。


……あれは、俺にだけ見せた顔だ。


俺と一緒にいたいに違いない。

言えないだけなんだ。


スマホが震えた。

友達からの電話だった。


「湊、ちゃんと諦めたか?」


「いや……でもさ、美咲さん、俺のこと好きだと思う?」


「本気で言ってるのか?」


「でも、結婚してるんだろ? やめたほうがいいって」


「ご主人いるんだしな」


「それはそうなんだけどさ……」


少しだけ、間。


「運命、感じちゃってさ……」


「お前な……」


――運命なら。


諦める理由にはならない。


明日……会いに行こう。

それがいい。


どうせ、美咲さんは店に来る。

偶然を装えばいいだけだ。


大丈夫だ。

何も、おかしくない。


――運命なんだから。


湊は、そう思っていた。


***


その頃、陽菜は考えていた。


進めないと……。


このままじゃ、つまらない。


少しだけ、間。


「……そろそろ、いいよね」


誰に言うでもなく、呟く。


ゆっくりと、笑った。


「高木さんのことも進めて、もっと美咲と一緒にいないと」


少しだけ、考える。


「……まずは、理由を作らないと」


「美咲。待っててね」


陽菜は、小さく笑った。


何となく、身震いがした。


嫌な感じだ。


何なんだ。


――まさか……陽菜が、変なこと考えてないだろうな。


胸の奥が、少しだけざわつく。


でも――


俺は、美咲との毎日を取り戻すんだ。


ああ……マジでかわいい。


なんで、今までわからなかったんだよ。


……悔やまれる。


***


会社で、同期と話していた。


「お前どうしたんだ?」


「さっきからニヤニヤしてるぞ」


「家内が……かわいいんだ」


「は?」


「いや。俺、今度デートしようと思ってて」


「奥さんと?」


「そうだけど」


「毎日一緒にいるだろ……」


「うるさい。デートは別だ」


少しだけ、間。


「俺、旅行も二人でしたことがあまりなくて……」


「どこに行けばいいんだろう」


「温泉とか行ってきたら?」


「いいね、それ」


「言ってみよう」


――ちゃんと、取り戻す。


今度こそ。


今日は、美咲は家で寝ていた。


「……疲れちゃった」


体が重い。


「直哉に連絡してみようかな……」


仕事中だけど。


少しだけ迷ってから、メッセージを送る。


美咲

『今日、疲れて、ご飯できないかも』


すぐに返信が来た。


直哉

『え?大丈夫?』

『俺が作るよ』

『早く帰るから待ってて』

『ちゃんと寝ててね』


美咲

『ありがとう』


ああ……多分、あれだからだ。


少しだけ、息をつく。


美咲

『でも、心配しないで』

『あの日だから』


直哉

『でも、無理しちゃ駄目だ』

『家のことは何もしなくていいから、寝てて』


美咲

『ありがとう』


スマホを置く。


赤い血が、ゆっくりと流れていく。


この時だけは――

いつも、直哉に頼ってしまう。


そして、美咲は、ノイズを切った。


ベッドに潜り込む。

スマホの電源を落とした。


音が、消える。


……いや。


時計の音だけが、残っている。


カチ。

カチ。

カチ。


静かだ。


「ああ……早く帰ってこないかな」


そう思いながら――

美咲は、目を閉じた。

次回からの更新についてです。


義理妹は、火・金の19時更新で進めていきます。


できるだけ安定して読める形にしていくので、

引き続きよろしくお願いします。

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