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妖狐そ!【飯綱荘へ】 〜引っ越し先は妖怪の住処なの?〜  作者: かなちょろ


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第肆拾話 【飯綱荘の住人達】

 私が去る予定だった飯綱荘。

 奏と二人のさよならパーティーの準備中、お爺ちゃんが一人の男性を連れて来た。

 名前は赤井さん。

 年は二十代後半って感じで奏が言うようにイケメンの部類だ。

 落ち着いていて、これは奏の好みど真ん中だろうな。


「ささ、こっちに来てください」


 奏は本当に赤井さんを引っ張って来た。


「ようこそ飯綱荘へ! こちらは飯綱荘の管理人のトモモ……智子ちゃんです!」

「えと……ど、どうぞよろしく……」

「こちらこそよろしくお願いします」


 挨拶を済ませて私と奏が作った料理で歓迎会となる。

 お爺ちゃんも加わり、楽しそうにしてくれてるなら……まぁ、いいか……。

 パーティーも終わると、お爺ちゃんが帰り際に「明日から新しい入居者が来るから対応を頼むよ。 手続きはもう済んでるからの」 とそれだけ言い残して帰って行った。

 奏は終始赤井さんとお喋りばかりしてたけど……お〜い、私の事忘れてないよね〜?

 そんな奏もパーティーが終わると名残惜しそうに帰って行った。

 そして……私と赤井さんの二人だけになる。


「えと……明日新しい入居者が来るようなので、部屋の準備をして来ます」

「ええ、わかりました。 お願いします」


 私は急いで空き部屋に入るが……なんで荷物があるの?

 私が入院中にお爺ちゃんが運び込んだのかしら?

 それにしても……。

 空き部屋を覗いてみると、綺麗な部屋もあれば原稿用紙が散らばっている部屋もある。

 前の人の置き忘れなのかしら? お婆ちゃん掃除してなかったのかな?

 とりあえず散らばっている原稿用紙を集め、散らばっている本を棚に戻したり、床を履いたりして掃除を始めた。


「ふ〜……こんなものかな……」


 一部屋一部屋掃除するのは大変だけど、この部屋が一番散らかってたし、他は荷物も少なくて軽く掃除すれば良さそうなので助かる。

 次の日、今日も新しい人が来る予定だから早く帰って準備しておかなきゃ。

 スーパーで軽く買い物を済ませて飯綱荘へ戻る。

 その時、知らないはずの男性とすれ違う。

 私は知らないはず……はずなのに目で追ってしまった。


「はくく……あれ?」


 何を言おうとしたんだろう……私がその男性を呼び止めようとして声を出すと、その男性は振り向いてしばらくお互いに見つめ合ってしまう。

 そしてその男性は会釈をすると走って行ってしまう。

 誰だろう……私……知ってる人だったかな? それだったら……ちょっと失礼だったかも……。

 う〜んと思い出しながら飯綱荘へ戻り、玄関周りの掃除を始めた。


「こんにちはー!」

「よう!」


 新しく来た人はなんと二人!?

 兄弟なのか二人とも親しげだ。


「今日からお世話になる十字ってもんだ。 よろしくな」

「僕は銀です! とも……管理人さんよろしくね!」

「こ、こちらこそよろしく……」


 お爺ちゃんから預かった入居者名簿にその名前はあった。


「それじゃ部屋に案内します」

「大丈夫大丈夫。 部屋の場所知ってるから。 とも……管理人さんは夕飯の支度お願いね」

「それじゃ」

「は、はい……」


 行っちゃった……。

 なんで部屋の場所を知ってるの?

 それに夕飯の支度って……私がするのーー!!?

 自分の分しか買って来てなかったけど、赤井さんが仕事帰りに車で買って来てくれて助かった。


「いやー美味かったぜ」

「やっぱりとも……管理人さんの手料理は美味しいや」

「そうですね」

「あ、ありがとうございます……」


 私が作ったのはオムライス……どこにでもよくある味だと思うんだけど……。


「お、プリン残ってるじゃん!」

「あ、それは……」


 冷蔵庫を開けた十字さんが見つけたのは私も知らない内に入っていたプリン。


「あー! 十字ずるい! 赤井、僕の分は!?」

「ごめん、買ってこなかったよ」

「それじゃいただきま〜す!」

「十字! 僕にくれるって約束だろー!」

「そんな覚えは無い」

「まてー!」


 銀君と十字さんはテーブルを囲んでバタバタと追いかけっこを始めてしまった。


「二人ともやめなさい。 智子さんが困ってるでしょう」

「あ……すまん」

「は〜い。 十字怒られてやんの〜」

「お前もだろ!」


 な、なに!? この人達全員顔見知り?


「あの赤井さん」

「なんでしょう?」

「皆さんお知り合いですか?」

「そうですね、ちょっとした顔見知りって感じです」

「な、なるほど……もしかしてこれから入って来る人も顔見知りだったり?」

「ええ、そうですね。 少し騒がしくなりますがよろしくお願いします」

「りょ、了解です……」


 これから入って来る人みんな赤井さん達の顔見知りなのか……でもその方がいいか……。

 顔見知りならお隣同士で挨拶とかいらないだろうし……。

 その次の日も新しく入居者がやって来た。


「灰ってんだ。 よろしくなお嬢ちゃん」

「お嬢ちゃ……、……よろしくお願いします」


 この灰さんもみんなの知り合いのようだし、勝手に部屋に行っちゃうし……。


「あ、灰さん! その部屋は……」

「うおっ! ……片付いてやがる……これを片付けたのはお嬢ちゃんか?」

「は、はい……」


 灰さんは本や原稿用紙やらが散らかってなんとか片付けた部屋に入って中を見て驚いたようだ。

 勝手に行くからだよ……。


「俺はこの部屋で構わない……が! もう片付けたりするなよ。 資料が何処にいったかわからなくなるからな」

「資料?」

「俺は物書きでな。 この辺に本が落ちてただろ? 新しく書くために必要なんだよ」

「な、なんで本が落ちてた事を……」

「俺はエスパーだから」


 灰さんは悪戯な笑顔を見せ、私をからかっているのが見て取れる。


「もう! からかわないでください!」

「悪かったよ。 それじゃ俺のサインやるからこれで許してくれや」


 灰さんはサラサラ〜と原稿用紙にサインを書いて私に渡すと部屋から追い出された……。

 なんなのよもう!


 そしてまた翌日、弥栄子と吉良馬と名乗る姉弟がやって来た。


「これからよろしくね〜、管理人さん」

「姉共々よろしくお願いします」

「こちらこそよろしくお願いします」

「かたいわよ。 もっとリラックスして。 明日から同じ学校なんだから」

「そうなんですか?」

「そうよ、同じクラスになると良いわね」


 弥栄子ちゃんと吉良馬君も自分の部屋がわかってるように行ってしまった……。

 二人とも可愛い感じで明日の学校は騒がしくなりそうだな……。


 そして……また翌日。


「今日から世話になる。 よろしく頼む」

「僕もよろしくお願いします」


 一人はこの間すれ違った人に似てる……もう一人はまだ小学生のような男の子。


「白君と黒君ね。 よろしく」


 まるでオセロのような名前の二人も、兄弟かと思えば別々の部屋に入っていく。

 黒君は夕飯の時お手伝いに来てくれる良い子で可愛い。

 頭を撫でたくてウズウズしてしまう。


 そして最後の入居者がやって来た。


「これからお世話になります。 私が天、こちらは金と言います」

「天さんと金さんですね。 私は智子って言います。 よろしくお願いします」


 妙に礼儀正しい二人。

 大きな体の金さんと、赤井さんくらいの年齢の天さん。

 二人が飯綱荘に入った時、私の脳裏に何かの影が浮かび、私は目眩で倒れてしまった。

 読んで頂きありがとうございます。

 不定期連載ですが頑張って書いていきますので、モチベを上げてあげようと思っていただけるようでしたらブクマや★評価をつけていただけますと作者が喜んで踊りながら遅い執筆も早くなると思いますので、どうぞよろしくお願いします。

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