第参拾漆話【想いの力】
天狐と白君を残してみんな消えてしまった……。
私を守るために……。
私を守ってなんになるの? みんなが消えてしまっても守られる程なの?
私にはなんだか分からない……わかる事は一つ……天狐をどうにかしないと白君も危ないと言うこと……。
「どうしました白……来ないならこちらからいきますよ!」
天狐と白君は私の目では追うことの出来ない速さで戦い始めている。
突然木々を薙ぎ倒し天狐が吹き飛ばされた。
「どうだ!」
天狐は口から流れ出る血を拭い、ヨロヨロと起き上がる。
「やるじゃないか……腐っても九尾の……私の一尾と言うわけですね……それなら……」
天狐の姿が消えた!?
辺りには薄い霧がかかり始め、白君も辺りを確認している。
「智子! 俺から離れるなよ! あいつが何をして来るかわからねえ……」
突然空中に天狐の姿が浮かび上がる。
白君は飛び上がり一人、また一人と倒していくもその姿は消えてはまた別に浮かび上がる。
そして私の前に……。
「お姉ちゃん……」
「黒君!?」
黒君が血まみれになって現れた。
「お姉ちゃん苦しいよ……痛いよ……」
「黒君! しっかりして!」
「僕……死にたく無い! 消えたく無い! ……だからお姉ちゃん……僕にお姉ちゃんの力をちょうだい……そうしたら消える事もない! 死ぬ事もない! また一緒に暮らせるんだ!」
私の前に黒君が現れたことに気がついた白君は私の元に向かうも邪魔をされてしまう。
「智子! そいつは……」
白君が叫ぶ! でも私にはわかってる。
「あなたは黒君じゃない……黒君は私や白君のために消えた……黒君を……ううん……みんなを侮辱するなんて許さない!」
私の体から紅い光りが瞬くと、黒君の幻影は苦しみながら消え周りの霧も消えて行く。
そしてその光りは白君を包み込んだ。
「この力……」
白君の尻尾が増え六本となる。
その白君の背後にはみんなの影が見えるようだ。
「ばかな! 六本だとっ!」
「どうやら黒もヤコも力を貸してくれるらしいな……天狐! お前の負けだ!」
「……ククク……カカカ!」
「おかしくなったか?」
「尻尾が増えた所で私の敵では無い。 私が力を取り戻せばいいだけのことだ!」
天狐は白君の隙をついて私に向かって鋭い爪を叩き込んだ……。
「智子避けろー!!」
咄嗟になんて避ける事は私には出来ない……。
「キサマら……」
私の前に立ち、天狐の爪を受け止めているみんなの姿がハッキリと見えた……そのみんなの姿が消えると、前に立って受け止めていたのは黒豆君!?
「間に合ったな……」
「黒豆君!? どうしてここに!?」
「ああ、せっかく倒れて休んでいたのに耳元でうるさく怒鳴る声が聞こえてな……無理やりここまで連れてこられたんだよ……あいつらの躾くらいしっかりしとけ……、……ったく……白! 俺がこいつを守る! お前はさっさと片付けろ!」
黒豆君はボロボロの体で天狐の攻撃を捌いている。
「お前の相手は俺だろ!」
白君は天狐を殴り飛ばし、ついに天狐を追い詰めた。
「ぐ……私がこんな……」
地面に倒れそれを見下ろす白君。
「私を見下ろすとは……ぐうううう! 屈辱だ……」
「これでお前も終わりだ……消えろ!」
白君の青白い炎が膨れ上がる。
これで天狐も消えてしまうのだろうか……。
白君が炎を投げつける瞬間、天狐から言葉が発せられた……。
「いやだ……死にたく……消えたく無い! 私は……元に戻りたかっただけなのに……」
その言葉……さっきの黒君と同じ……、……私はその言葉を聞いた時、天狐に走り寄り抱きしめていた……。
「そうだよね……誰だって死にたく無い……消えたく無いよね……ただ一人に戻りたかっただけなんだよね……」
「おい、智子! 早くそこをどけっ!」
「白君……それにみんな……傷つけ合わないで一人に戻る事は出来ないの?」
「何を言ってる!? そいつが元の九尾に戻ったらこの国を滅ぼすかもしれないんだぞ!?」
「……そんな事はしないよ……だって私から顕現した子だもん……」
「智子……おまえ……」
その瞬間、私のお腹が熱くなるのを感じる。
「……カカカ……とても優しい……いい子は嫌いでは無いですよ……」
私のお腹は天狐の爪で貫かれていた……。
「智子!!」
「さぁ! これで私は元に……き、キサマ! 何を!?」
私は私は天狐を力強く抱きしめた。
「大丈夫……もう大丈夫だよ……そんなに怖がらなくても大丈夫……。 またみんな……と……一緒に……」
私は意識を無くした……。
そして私は病院のベッドの上で目を覚ました。
読んで頂きありがとうございます。
不定期連載ですが頑張って書いていきますので、モチベを上げてあげようと思っていただけるようでしたらブクマや★評価をつけていただけますと作者が喜んで踊りながら遅い執筆も早くなると思いますので、どうぞよろしくお願いします。




