第参拾参話【妖狐の力】
金狐との戦いの最中、キンが投げた大岩に十字はキン共々押し潰された……。
「十字ぃぃぃ!!」
銀君は叫び、大岩を動かそうと力を使うが、その前に大岩が持ち上がり投げ飛ばされた。
みんなが十字さんかと安堵の声を出すも、穴から上がって来た手は十字さんのものではなかった。
「ふぅ〜やれやれ……やってくれる……」
穴から這い上がって来たのはキン……しかも片手に十字さんの首を掴み持ち上げて見せた。
「残念だったな、あの大岩で潰れなくてよ! 潰れたのはこいつだけだったぜ!」
キンは十字さんをポイっと捨てるように投げた。
「十字さん!」
「「十字!!」」
動かない十字さんの元に駆け寄るも、十字さんの体が……手足が霧のように消えて行く……。
「十字! 何やってるんだよ! 目を覚ませよ! プリンなんていらない! 十字!!」
銀君の言葉も虚しく……十字さんは消えた……。
「まずは一人、次は誰だ?」
キンは余裕そうにこちらを向き近づいて来る。
その時、森の中に旋風……ううん、台風のような強風が吹き始めた。
「……くも……よくも……よくも十字を……」
「だめだ銀! 力を抑えろ!」
銀君には届いておらず、瞳の色が変わり風はどんどん強くなり始めてキンと銀君を竜巻が包み込んだ。
「声が届いていない……、……智子さん! ここにいては危険です! 離れますよ! 黒も早く!」
赤井さんと白君を引かれて場を離れる。
竜巻は周りの木々を薙ぎ倒し、巨大な竜巻へと変わる。
「残念だが、俺の体にこんな竜巻ごときでは効かぬよ」
「……それがなんだ……効く効かないそんな事は関係無い……僕がお前を殺す!」
「殺すときたか……残念だがさっきの奴のようにお前をさっさと殺さんと逃げられちまうからな」
「……そんな事はさせないしやらせない! 僕が……僕があああああああ!!」
銀は力でキンの動きを止めようとするも、キンは止まらずに体を丸めて銀に向かって転がって行く。
「十字……僕に力を貸して!」
銀はキンの棘が付いた体を両手で受け止めた……。
「ほう、止めたのは褒めてやる」
受け止めたが、棘は銀の両手を貫通し、血が流れていた。
「こんな傷何にも感じやしない! お前に僕の全力の力を叩き込んでやるっ!!」
「な、なにいいいぃぃぃ!!」
轟音が鳴り響くと天まで届いていた竜巻は消えた。
「見て来る」
白君は急いで銀君の様子を見に行くと、そこには銀君もキンも倒れていた。
「銀!」
「……はく……僕……」
「喋らなくていい! 俺の妖力を分けてやるからしっかりしろ!」
「僕ね……十字のかたき取れた……かな?」
「もちろんだ! キンもそこで倒れてる。 お前が倒したんだ! だから早く俺の妖力を吸収しろ!」
「……へ……へへ……やった……、……これで十字にいばれる……ね……」
銀君は白君の腕の中で霧のように消えて行った……。
「くっ……そ……銀……」
白君が戻って来た時にその事を聞いた。
「そんな……十字さんに銀君……、……私? 私が全部悪いの?」
「智子さんのせいではありません……我々が少し甘かったようです……」
赤井さんの瞳が紅く変わって行く……。
「白、智子さんと黒を頼みますよ。 私は後片付けをして来ます」
森の木々は薙ぎ倒されてしまっている……それの後片付けなんだろうか?
赤井さんは後片付けをしに戦いのあった場所へと向かい、私達は山を下りていた。
「赤井さん大丈夫なの?」
「ああ、赤井に任せておけば大丈夫だ」
白君にそう言われて私と黒君は飯綱荘で帰って来るのを待つ事にした。
「……ここから先には行かせませんよ」
赤井さんの前には誰もいない……しかし地面が盛り上がり地中からキンが飛び出して来た。
「ちっ……良くわかったな……」
キンの全身からは血が流れている。
「私は予知が出来るんですよ。 あなたが地中から奇襲をしようとしていた事もわかってます」
「……なかなか面倒くさそうな能力だ……だがキサマの力だけで俺を倒せるか?」
「やるだけの事はやりますよ」
「それなら俺も参加させてくれよ」
「灰!? どうして? 智子さんと戻ったのでは無いのですか?」
木の影から顔を出したのは灰。
「赤井が何かしようとしてるのがわかったからな。 わかりやすいんだよお前は」
「しかし……」
「なに、ちょっと手伝うだけだ。 戦うのは俺の趣味じゃねえからな」
赤井さんと灰さんの二人はキンの前に並ぶ。
「一人増えた所で……と言いたいがこちらもダメージが大きいからな……さっさとやらせてもらう!」
「それはこっちも同じ事だ!」
灰の力で二人の姿は何人にも増えた。
そして赤井の紅く燃え上がる狐火がキンを襲う。
「ぐおっ! だがこんな炎!」
キンは地中に潜り炎を消した。
「火なんて簡単に消せ……ぐおおおおお!!」
完全に消えたはずの炎が再度燃え上がった。
「ばかな! なんだこの炎は!?」
「その炎は私の妖力で燃え上がる狐火。 土だろうが水だろうが消えません! 私の妖力を受けたあなたが死ぬまで燃え続けます!」
「そうか……それならキサマらも燃えてもらおう!」
キンは丸くなり転がり始めた。
しかも炎を纏って燃えながらなので火の玉が転がってきている。
「お前が燃え尽きるまで当たらなければいいんだろ?」
灰は更に力で二人の姿を増やしてキンの攻撃から回避している。
当たらないと見るとキンは無造作に燃えているトゲを撃ち飛ばし始めた。
「しまっ!」
幻影で増やしていても無造作に飛ばされた棘を避けるのは難しく赤井に棘が直撃……。
「ぐっ……」
「灰! なにやって……」
赤井に棘が当たる瞬間、灰が赤井の前に飛び出して棘は灰の腹を貫いた。
そして棘に付いた炎は灰の腹を焼く。
「灰! 今炎を消します!」
すると灰は赤井の襟を掴み引き寄せた。
「なにバカな事を言ってんだ! 今炎を消してみろ! あの野郎は智子を襲うぞ! 十字と銀のやった事を無駄にする気かっ!」
「しかし……」
「今はもっと力を上げて野郎を燃やしつくせ! 俺なんかを心配してる暇はないんだよ!」
灰は赤井をつけ離すと、赤井はキンに向かって力を上げる。
キンは更に燃え上がり動かなくなった。
「それでいい……」
丸くなっていたキンは立ち上がり、天に向かって叫び消えた……。
「ハァハァ……灰……やりましたよ……灰? 灰何処です? 灰ーー!?」
赤井の呼ぶ声は山の中にこだまするだけだで灰の姿は見えなくなっていた。
「ふぅ〜……ここら辺でいいか……ったく、赤井もデカい声出るじゃねえか……。 俺もここまでか……小説書き終えておいてよかったぜ……、……新しい作品書けないのは残念だけどな……、……上手く由香里に伝えておいてくれよ……、……楽しかったぜ……なぁ……十字、銀……」
地面に倒れて横になった灰はそのまま霧のように消えた……。
読んで頂きありがとうございます。
不定期連載ですが頑張って書いていきますので、モチベを上げてあげようと思っていただけるようでしたらブクマや★評価をつけていただけますと作者が喜んで踊りながら遅い執筆も早くなると思いますので、どうぞよろしくお願いします。




