第参拾弐話【金狐】
大岩を投げ、智子を岩の下敷きにしようとした巨漢な妖狐が現れた。
「ちっ、外したか……野狐の奴邪魔しやがって……まぁいい。 俺がお前を殺せばそれで済む」
「そんな事させると思うか!?」
「そうだ! そうだ!」
「俺が相手になってやろうか?」
私を守るようにみんなが立ちはだかった。
「いいねえ! 願っても無い! 久しぶりの戦だ。 名乗らせてもらおう……。 我が名は金狐まとめてかかってこい!」
白君、十字さん、が飛びかかるもキンは近くの木を引き抜き丸太で二人を吹き飛ばす。
「てて……なんて力だ……」
「十字、力で負けるなんて情けないぞー」
「るせぇ! あいつの力が異常なんだよ!」
「はああああ!」
白君はすかさず蒼白い狐火を飛ばすもキンは野球のバッターのように丸太をスイングして狐火を蹴散らした。
「俺に任せな」
灰さんは指を鳴らすと白君が分身したように増えた。
「いまだ白!」
「はああああ!!」
キンに向かって四方八方から白君の狐火が襲いかかり、キンの体は蒼い炎で燃え上がる。
「よっしゃ!」
「さっすがあ!」
これで勝ち……と思っていたんだけど……。
「ふんぬううう!!」
キンはその巨漢の体を一度丸めてから大きく開くと、白君の炎は拡散してしまった。
「おい……マジかよ……」
「白の狐火が効かないなんて……凄い!」
「銀、感心してる場合じゃねえぞ……赤井、どう倒せばいい?」
「……銀の力なら……」
「それは却下だろ……仕方ねえ、当たって砕けろだ!」
十字は飛び出し、キンと相撲のような力比べが始まった。
「軽いな」
十字さんは簡単に投げ飛ばされてしまうが、すかさず白君が攻撃をしに行くが……攻撃は当たるがほとんど効いていない。
「銀、あれをやるぞ!」
「わかった」
十字さんは破れている上半身の服を脱ぐと体の色が黒く変わって行く。
「よし! 銀! いまだっ!」
「いっけーー!!」
銀君が十字さんを力で浮かせ、キンに十字さんをまるで大砲の玉のように飛ばす!
「ぐっ! ぶはああああああああ!!」
十字さんが丸いキンの腹に直撃すると、キンが初めて苦しそうに吹き飛んだ。
「イェーイ!」
「どうだ! これが銀と俺のコンビ技だ!」
銀君と十字さんはお互い手を打ち合って勝ちを確信しているけど……。
「……や、やるじゃねえか……」
「げっ!」
「まだおっちんでねぇのかよ……」
キンは立ち上がると、鎧を外し十字さんのように上半身裸になる。
「本気出してもかまわなそうだな……」
キンは体を丸め、全身で転がり始めた。
「そんな攻撃なら簡単に……あぶねぇ!」
丸まり転がっているキンの体から棘が飛んでくる。
キンは全員を囲うよう螺旋状に転がり、その円から出られないように棘を上手く飛ばしてくる。
「くそ、どうやって止めれば……」
「目でも回してその内止まらない?」
「無理だろ」
「灰の幻術でどうにかならないのか?」
「あの状態じゃ俺の幻術も効果ない」
「僕……何にもできない……」
「私も戦うのは苦手ですからね……棘が智子さんに当たらないように注意するのが精一杯です」
私に向かって飛んでくる棘は赤井さんが上手く私を誘導してくれて当たっていないけど、キンの転がる速度は変わらない。
地面には棘が沢山刺さっているが、キンは自分の棘だからなのかお構いなしに転がって来る。
「一か八か俺が受け止める!」
十字さんはみんなの前に立ち、転がるキンを受け止めようとするが……。
「なにっ!」
急に転がる進路を変えて私達を避けて大岩の後ろに行ってしまった。
そして直ぐに大岩が持ち上がると、一箇所に集まってしまった私達に向かって大岩を投げて来た。
ズズズン……。
私達は周りの棘のせいで逃げる暇なく大岩の下敷きに……なってない?
十字さんが一人で大岩を支えている。
「十字さん!」
白君、灰さん、赤井さんは私を庇うように重なって、銀君は黒君を守るように抱えていた。
「ぐっお……重てえ……早く……離れろ……」
白君達が手伝おうと立ち上がり大岩に手を伸ばすが……。
「あ、あれ!」
キンがまた丸くなり体から棘を出して転がって来ている。
「くそー!」
銀君がキンを止めようと力を使うがキンは止まらない。
白君は私を抱えて周りの棘だらけの場所を上手く避けて大岩から抜け出し、他のみんなも上手く抜け出せた。
「十字も早く来い!」
「僕が大岩を支えておくよ!」
大岩の下からまだ抜け出していない銀君を十字さんは赤井さんに向かって蹴飛ばした。
「……十字!」
「トモすけ! 銀を頼む! 銀……冷蔵庫のプリンはお前にやるよ……」
「十字!? 何言って……」
十字さんは力を振り絞って大岩を真上に少し投げ、丸まって突っ込んでくるキンをがっしりと掴むと、十字さんとキンは大岩の下に沈んだ……。
読んで頂きありがとうございます。
不定期連載ですが頑張って書いていきますので、モチベを上げてあげようと思っていただけるようでしたらブクマや★評価をつけていただけますと作者が喜んで踊りながら遅い執筆も早くなると思いますので、どうぞよろしくお願いします。




