第参拾壱話【麗しの妖狐】
キコ、ヤコ対みんなと多勢に無勢なはずなのにキコ、ヤコの二人は笑っている。
「オラァ!」
十字さんがキコを黒く変わった拳で殴りに行くも幻のように当たらない。
「はっ!」
白君が狐火をヤコに向かって飛ばすがすり抜けてしまう。
そして二人の姿が消え、どこからとも無く声が響く。
「ふふふ……どう? 私を見つけられるかしら?」
「出てこい! 卑怯だぞ!」
「そうだそうだ! 十字もっと言ってやれ!」
「灰、わかりますか?」
「ああ……所詮は俺のモノマネだ。 白! そこの木を狙え!」
灰さんに示された木に向かって白君は狐火を放つ!
「残念、ハズレだ」
狐火は木に当たるがそこにはいないみたいだけど……。
すると何処からか岩がその木の後ろに飛んで行く。
「きゃ! ちょっと危ないじゃない!」
「ちぇー、避けられちゃった」
あの岩を飛ばしたのは銀君!?
灰さんに指示されたようで、狐火はオトリ?
「惜しかったが、もう隠れても無駄だ。 俺にはその幻惑は効かん」
「へ〜、やるじゃ無い。 ならこれはどうかしら?」
突然キコが分身したように増え、みんなに襲いかかった。
「くっ! 銀は黒を守ってください! 私は智子さんを守ります!」
「厄介な幻だ! 灰! 何とかならないのか!?」
「途中途中で本体が混ざる! 指示の方が遅くなる! 自分でどうにかしろ!」
みんなが攻撃すればすり抜けるけど、キコの爪はみんなに当たる。
直撃は十字さん以外してないけど、避けて攻撃は中々に難しいみたい……。
「私も何か出来れば……」
私を守っている二人の後ろで、お婆ちゃんに祈る。
「お婆ちゃん……私に力を貸して……」
すると紅い指輪が光り閃光を放つと銀君と黒君も弾き飛ばし、キコの分身も消えてしまった。
「うわっ!」
「あーー!」
「二人とも! 大丈夫!?」
「だ、大丈夫」
「まさか僕達まで吹っ飛ばされるなんて……」
「ちょっとずるいじゃない! そんな力聞いてないわよ!」
「あの指輪……やっぱり……」
キコとヤコは皆んなから離れ、様子を伺っている。
「ねえ二人とも……争いはもう辞めて戻って来ない?」
突然の私の提案に二人は顔を見合わせて笑い出した。
「面白い事を言うわね……やっぱり貴女面白いわ。 そんな事出来る訳ないじゃ無い」
「そう、僕らはもう戻れないのさ」
「そんな事はないよ! みんなだって許してくれるはずだよ! ね、みんな!?」
みんなは黙ったままだ。
「……この沈黙が答えよ。 とは言ってもその指輪があるんじゃ私達に勝ち目無いから、ここは逃げさせてもらうわよ」
「わるいな」
「え!? ちょっと二人とも! 待って!」
二人が消えて逃げようとした時、銀君が使った岩よりも更に大きな大岩が私の頭上に影を落とした。
「智子!」
いち早く気がついた白だが、大岩の落ちる方が早い。
ズズズンッと大岩は落ちた。
「トモすけーー!!」
「トモちゃん!!」
「智子さん!!」
「お姉ちゃん!!」
「おいおいおい……」
全員が動けずにいたが、その大岩の後ろから私が声を出す。
「イタタ……私は大丈夫〜」
「ふ〜……」
「良く避けたな」
「よかったぁ!」
みんなが安心してくれるが、私は動いていない……動けなかった……、……何かに弾き飛ばされ……。
「!!! ヤコちゃん!!」
大岩の下敷きになっていたのはさっきまで私を殺すと言ってみんなと戦っていたヤコちゃん……。
「カハッ……つ……強くなったけど……まだどん臭いわ……ね……」
「ヤコちゃん! どうして!? みんな早く岩をどかして!」
「う〜ん……もうやってるけど重いよ〜」
「俺がそっちを持つ、白は反対側を! 赤井と灰も急げ!」
みんなが大岩を動かそうとしてくれるが中々動かない。
「……まったく……、……こんな、岩くらい……持ち上げられないなんて……な、情け無い連中……ね……」
「キコちゃん! 喋っちゃだめ! 助けてくれたお礼と訳は後で聞くから今は頑張って!」
みんなが何とか隙間を作り私と黒君でヤコちゃんを引きずり出したけど……。
「ヤ……ヤコちゃん……」
ヤコちゃんの体は大岩に潰されて半身が無い状態だ……。
「ふふ……もう少し遊びたかったけど……残念ね……」
「ヤコちゃん! しっかりして! 赤井さん!助けて! ヤコちゃんを助けて!!」
赤井さんは首を振るだけだ……他のみんなも口を開かない……。
私がヤコちゃんの手を握りしめていると、反対側の手で私の頬を撫でて来た。
「智子、無茶を……言うものじゃ無いわ……、……私は……これでよかったと思ってるもの……死ぬ訳じゃ無い……一つに戻るのよ……、……でも、私の為に涙を流してくれてありがとう……」
ヤコは消えた……その消える直前、ヤコの妖力が空に昇って行くのが見え、そして……この大岩を投げた本人が現れた。
読んで頂きありがとうございます。
不定期連載ですが頑張って書いていきますので、モチベを上げてあげようと思っていただけるようでしたらブクマや★評価をつけていただけますと作者が喜んで踊りながら遅い執筆も早くなると思いますので、どうぞよろしくお願いします。




