第貳拾弍話【海】
奏とみんなで旅行に行く事にした。
赤井さんに運転を頼み、旅館の手配もしてくれてさすが赤井さん。
奏は車の中でずっと赤井さんと喋って、私達はトランプをやったりして移動も楽しんで海に到着した。
「それじゃ私達は先に場所をとって来ます。 奏さん達はごゆっくり着替えて来てくださいね」
「ありがとうございます」
「ほら兄さん達、荷物運ぶの手伝ってください。 黒豆さんもですよ」
「なんで俺が……」
黒君に手伝わされてブツブツ言いながらも荷物を運ぶのを手伝ってくれていた。
「ねえ奏、私やっぱり普通のにするよ……」
「なに言ってるのよ、せっかく新しい水着買ったんだから着ないと勿体無いじゃない」
「だけど……」
「新しい水着見せなきゃ損じゃない。 ほらみんなが待ってるから早く着替えて行こ」
「わ、わかったわよ……」
仕方なく奏が選んだ新しい水着に着替えてみんなの元へ向かった。
海の潮の匂い、夏の日差し、海の風、焼けた砂浜……人もそれなりに多く、夏の海って感じがして海に来たんだな〜って感じる。
「いたいた、あそこね……お待たせ〜!」
みんなが場所を取ってパラソルを広げていてくれたので直ぐにわかった。
「あれ? 赤井さん一人ですか?」
「みなさんはもう海に遊びに行きましたよ」
赤井さんはアロハシャツのような服と短パンに着替えていた。
そして騒がしい海に目をやると……なんか注目を浴びてない?
「あれは何やってるの?」
「どうやら黒豆さんと十字が泳ぎの勝負しているらしいですね」
銀君、灰さんが十字さんの応援をしている。
黒君は砂浜で何かを作っていて、白君も黒君と一緒に何か作ってる。
白君意外と子供っぽい所あるんだよね。
「トモモ、私達も行こ」
「う、うん」
日焼け止めをお互いに塗り終えたら奏に手を引かれて奏は競争してる銀君達の所に、私は白君と黒君の所に行ってみる事にした。
「何作ってるの?」
「あ、智子お姉ちゃん。 見て見て、白兄さんに手伝ってもらって砂のお城を作ってるんだ!」
「へ〜、よく出来てるね」
「そうでしょ? 智子お姉ちゃんをお姫様にしてあげるね」
「ありがとう、それじゃ王子様はだれかな? 黒君?」
「僕は城を守る騎士、王子様は……白兄さんかな」
「そう言うことらしいよ、お姫様」
「! な、なに言ってるの!」
「黒に付き合ってやってるだけだが?」
「……そ、そうよね……」
あーびっくりした……面倒見の良い白君だもんね……。
「白兄さん、次は波に負けない城壁を作りましょう!」
「よし、任せておけ」
二人はまた何か作り始めた……。
楽しそうでなにより……奏の方はどうかな?
「黒豆ー! 負けたら承知しないわよー!」
「十字ー! 勝ったら灰がプリン分けてくれるってよー!」
「俺はそんな事一言も言ってねー!」
黒豆君と十字さんの二人はライフセーバーかと思うくらい泳ぐのも早く力強い。
「そろそろバテたんじゃねーか?」
「俺が? そんな訳ねーだろ! そっちこそバテたんじゃないか?」
「そんな訳あるか! この直線で決めてやる!」
冲から浜辺まで泳いでほぼ同着でゴールした。
「やるじゃねーか」
「お前もな、次は負けねぇからな」
二人は海から上がってくると、黒豆君は競技用でよく見る水着に対して、十字さんは……。
「ちょ、ちょっと十字さん!」
「なんだどもスケ」
「その水着はなんですか!?」
「これか? かっこいいだろ?」
十字さんが履いている水着はブーメランパンツと言われているかなりきわどい水着だ。
「……十字さんには似合ってるよねトモモ」
「そ、そうだね……」
まったく……十字さんはマッチョの部類に入るくらいの筋肉があるから似合ってはいるけど……。
「そ、そろそろお昼だよね。 赤井さんの所に戻りましょ」
本を読んでいる赤井さんの所に戻ると既に黒君と白君も戻って来ていた。
「それじゃそこの海の家で何か買って来ますね」
「俺達は飲み物でも買ってくる」
赤井さん、銀君、灰さん、黒君は海の家にお昼ご飯を買いに向かい、白君、十字さん、黒豆君は飲み物を買いに別の海の家に行ってくれた。
「久しぶりの海も楽しいね」
「そうね〜……みんな面白いし」
買い物を待っていると、三人の男性が近づいて来た。
「お姉さん達、暇してる?」
「俺らと遊ばない?」
「海辺をドライブなんてのはどうよ?」
こ、これはナンパと言う奴? な、なんて言えば……。
私がどうしようと思っていたら……。
「私達は連れがいるのでパス」
奏がキッパリ断ってくれて助かる! ありがとう!
「俺達と来た方が楽しいぜ」
「いい思いさせてあげるからさ〜」
なかなかにしつこい!
「キモいしウザイ! さっさと消えて」
「なんだこのアマ!」
「まぁまぁ、そんな事言わずに楽しもうよ」
三人の目つきがいやらしい……気持ち悪いし……誰か早く戻って来て〜!
「うちの連れに何か用か?」
「あん? 誰……だ……」
ナンパ男の肩をポンと叩いた人、十字さんだ!
「我が姫に手を出すとは良い度胸だ。 今日を貴様の命日にしてやろうか!?」
黒豆君は指をポキポキ鳴らしながら睨みつけている。
白君は三人を無視して買って来た飲み物を置いている。
「な、なんだお前ら……俺達とやろってのか?」
ナンパ男の一人が威勢よく白君に手をかけようとした時、白君はしゃがんだままひと睨みすると、そのナンパ男は腰を抜かして倒れてしまった。
「な、何しやがった!」
「何も……」
白君は平然と飲み物を並べている。
「さて……そちらのお二人は俺達とやるかい?」
「……あ! あっちにいい女がいるじゃねーか! こんなガキより良いぜ! 行こう!」
「そ、そうだな! い、行こうぜ! ほら早く起きて行くぞ!」
倒れた男を起こして三人は離れて行った。
「三人共ありがとうございます!」
「このくらいかまわんさ」
「アイツら……後でぶっ殺してやる……」
「黒豆、やりすぎはやめてよ。 今日は遊びに来てるんだから」
「ちっ! 仕方ねぇ……」
お昼ご飯を買って戻って来た三人にも私達がナンパされたことを告げられると、黒君と黒豆君はまた声をかけられないように私達二人に何処行くにもピッタリと着いてくる……おかげでナンパはされないけど。
「そうそう智子さん」
「はい?」
「さっきご飯を買いに行った海の家で弥栄子さんと吉良馬君が働いてましたよ」
「え!? 二人共ここにいるの?」
「そのようです。 後でこちらに顔を出すと言ってました」
「そ、そうなんだ……」
あの二人何やってんだろ……?
お昼ご飯も食べ終わりひと休憩してると、十字さん、銀君、白君、赤井さんがビーチバレーを始めた。
私達も仲間に入り、黒豆君、黒君もビーチバレーを楽しみ、スイカ割り(スイカは勿体ないのでビーチボールで代用)も楽しんだ。
銀君と黒豆君が十字さんを砂に埋めたり、黒君と白君が作っていた砂のお城がとんでもない大きさになっていたり、銀君、黒君意外が逆ナンパにあったりとしていたようだけど、みんなかっこいいからしょうがないよねと思っていると、銀君が「なんで僕には声かからないんだ!」 と怒ってた。
十字さんに「お子ちゃまだからだろ」 と言われて銀君は十字さんを海に突き落としてだけど……でも同い年くらいの女の子達がチラチラ見てたのを私は知っている……銀君も黒君も可愛いからね。
そして男性を何人も連れて来る女性が近づいて来た。
「お待たせ、忙しくてやになっちゃうわ……ほらほら、邪魔だから散って散って」
かなり露出のある水着を着ているセクシーな弥栄子ちゃんはナンパして来ていた男性達を手で追い払って私に抱きついて来た。
「ヤコ……弥栄子ちゃん!?」
「まったく人間のオスはちょろいんだから……あ、ジュースもらうわね」
「どうしてここに?」
「ぷは〜……私はバイトよバイト。 海の家で働いてるんだけどもうオスどもがウザくて……まぁ、過去一の売り上げだったらしくてボーナスもらったからいいけどさ」
「なんで働いてるの?」
「あら? 飯綱荘に住んでいるんだもの、働かないとダメでしょ?」
「……確かに……」
そう言われるとそうかも……いつも赤井さんがみんなの分として家賃と言うか維持費を払ってくれてたから……。
「なぁに、ここの男どもは家賃も払わないの?」
「そ、そんな事はないぞ。 ちゃんと払ってる」
「そこの赤井と灰はそうでしょうね。 銀と黒はまだ働けないから良いとして……十字と白は?」
「ぐっ……」
「俺はたまに家庭教師をやってる……」
「そうなのっ!?」
知らなかったー! だからあんなに教えるのが上手だったの?
「働いてないのは十字だけね」
「ぐっ……お、俺だって金くらい稼いでやる!」
「そ、まぁいいわ。 それで、今日は旅行なんでしょ? 何処に泊まるの?」
「私達は赤井さんの知り合いの所に……」
「ふ〜ん……もしかしてあそこかしら? あ、そろそろ休憩も終わりね、それじゃバイバ〜イ」
弥栄子ちゃんは戻って行くとまた取り巻きのように男性が増えて行く……。
ひとしきり海を楽しむと地平線に太陽がかかり始めたので撤収して旅館に向かう事にした。
読んで頂きありがとうございます。
不定期連載ですが頑張って書いていきますので、モチベを上げてあげようと思っていただけるようでしたらブクマや★評価をつけていただけますと作者が喜んで踊りながら遅い執筆も早くなると思いますので、どうぞよろしくお願いします。




