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Donor・World  作者: 嘘愚龍
5/7

第5話 調整の始まり

今回はレオルドは登場せず

提供者と言う怪物視点ですハイ

〜とある港町の空〜


レオルドが薬草のちゃんとした処方の仕方を知った日の翌日…レオルドの住む場所の町とは違う、別の町で異変が起ころうとしていた


「んっん〜…まずはこの町で良いかな…」


貿易船や旅行者が行き交う港町を平然と見下ろす様に、エグェ・ルォが浮かんでいた


「手始めにこの町を潰し、大胆に世界の人口を減らし調整する…んっん〜、単純で其処らの小悪党とやる事は変わらんように思えるが、この世界に対してはその程度で十分だろう…しかし、個人的にはもっとエレガントかつエクセレェントな手段を用いて調整したいが…んっん〜」


エグェ・ルォはそう言い、何の儀式なのか、腕を広げ一回転する

すると、エグェ・ルォの不意を付くように声が聞こえた


「いやぁ〜…物理的に叩き潰すのも俺様的には好きだぜ?」

「んっん〜!?」


エグェ・ルォが声のした方向を向く

しかし、そこには声の主はいなかった


「俺様はココだ、エグ…エグゥエぇ…ルオ」


エグェ・ルォが頭を前を向けると、今度は声の主がちゃんといた

どうやらエグェ・ルォの名を上手く発言出来ないらしい


「んっん〜、誰かと思ったら…貴方でしたか…」


エグェ・ルォは腕を組み、声の主を見る


「なんか?したっぱ提供者のキミが第2階層で人口調整を行うと聞いてね〜、俺様心配で来ちゃった〜」


エグェ・ルォを見下ろす様に喋るのは、彼とは対称的に黒く、龍を模した様な頭部をし、そこに悪魔のような角を生やし、全身に無数の棘の様な逆鱗を纏った怪物だった

エグェ・ルォは不満げに黒い怪物の赤い目を睨む


「んっん〜、したっぱであろうと何であろうと提供者としての本能はしっかりと果たすつもりですよ、アルヴァトールさん?」


アルヴァトールと呼ばれる黒い怪物はため息をもらす


「そうでしょうな…提供者ならば…まぁ、俺様もこう見えて第3階層をしっかりと管理してますからな!…アンタも上手く行けば、この第2階層の管理を任されるかも知れないぞ?」


そう言い不敵に微笑みながらエグェ・ルォを見る黒い怪物アルヴァトール

しかし、エグェ・ルォはやれやれと言う様な顔をする


「貴方の管理は管理ではない…ただ単に魔族やら人間やらの女を侍らせて、女遊びをしてるだけじゃないですか、気まぐれに破壊し、気まぐれに女を弄び貪る…んっん〜これの何処が管理なのやら…クラルス様も貴方のずさんな管理に、ほとほと頭を抱えてるみたいですよ?」


エグェ・ルォは軽蔑する目でアルヴァトールを見る

しかしアルヴァトールはそれを微塵も気にせず、不敵な笑みを止めず喋る


「なぁに、ずさんに見えてちゃーんと…管理は出来てるんだぜ?可愛い子猫ちゃん達が俺様に協力してくれてますからねぇ…?」


そう言いながら無造作に生えた牙を剥き出しにする

その姿は悪魔と言っても差し控えなかった


「ふぅ…さて…ワタクシはそろそろ本題に戻らなければ…」


エグェ・ルォはため息を付き、港町の方に目線を向ける


「おっ…どうやって潰す?シンプルに重力を集中させて町もろとも押し潰す?それとも…」


アルヴァトールがエグェ・ルォの方を見る

エグェ・ルォはしばらく考えるような素振りをし、喋る


「んっん〜、それが一番手っ取り早いんですが…」

「早くしろよ、殺しにカッコ良さなんざ必要無いからさ?それに他にも町なんて沢山あるじゃないか、無数のゴミの処理の仕方に拘ってちゃキリが無いぜ?潰すなら早めに…な?」


そういい、アルヴァトールはエグェ・ルォを急かす


「んっん〜…確かにそうですね…ここはシンプルに押し潰しましょう、他にも人間の集まる場所は沢山ありますし…」


アルヴァトールの意見に従い、エグェ・ルォは指をパチンと鳴らす

その瞬間だった

宙に浮いてるエグェ・ルォ達の足元にある町が、一瞬にして何かに押し潰される様に沈んで行った

そして、崩れていき没落した大地に、海水が流れ込む

しばらくすると、瓦礫が浮かび上がった

エグェ・ルォの指パッチンで、交易が栄えていた港町は一瞬で瓦礫が浮かぶ海へと姿を変えた


「んっん〜、こんな物でしょう、美しさにはかけていますが…」


エグェ・ルォは満足そうに腕を組み直す

しかし、アルヴァトールがエグェ・ルォの重力から逃れた船が何隻か逃げようとし、町から出ていた人が逃げる様に走るのを見つける


「エグエエェ…エグゥ…ルオ、撃ち漏らしがいるぞ〜」


アルヴァトールがエグェ・ルォを見る


「んっん〜…巣から逃げ出すネズミですか…放って起きましょう」


しかし、アルヴァトールはえ〜、と声を上げ不満げに喋る


「殺すなら普通、皆殺しでしょ〜たく〜…もういい!俺様がネズミを処理してくる!!」


そう言い、アルヴァトールは、背中と腰からコウモリの様な巨大な翼を4枚広げ、潰れた港町から逃げる人間達の方へと飛んで行った


「んっん〜、あんなのが…初代…」


エグェ・ルォは呆れる様な顔で呟きながら飛んでいくアルヴァトールを見て、そのまま何処かへと飛んで行くのだった…




〜沈んだ港町周辺〜



「ひぃっ…!!なっ何があったんだよぉ!大魔王は倒されたんじゃないのかよぉ!!」


そう叫びながら、走り続ける若い男性


「ワテは知らないぞ!!大魔王は確かに勇者が倒したんだ!!」


その隣を走る中年の男性、身なりや背中に背負っている一際大きな鞄からして恐らく商人だと思われる

その後ろから何人かの男性や女性が走ってくる


「ハァ…ハァ…ダメだ、もう走れねぇ…」


先頭を走っていた商人が足を止め、その場に座り込む

それに続く様に何人かが座り込み、何人かが走り去る


「じゃあ、アレは何なんだよ!?俺達が町を離れたら町が…潰れたんだぞ!?俺は何も知らねぇぞ!!やってねぇぞ!!」


突然の出来事にパニックに陥る若い男性


「落ち着いて下さい!!今はこの事を周囲の町や城に知らせるべきです!!もしかしたら大魔王アビスが復活したのかも…」


そう言い男性をなだめる若い女性

商人が葉巻のタバコを取りだし、口に加える


「しかし、大魔王は確実にやられたはずだ…ワテはあの時、勇者レオルドが大魔王アビスの首を剣に突き刺し高々と天に掲げながら、城へと向かう姿を見たんだからな…」


マッチを取りだし、何とか葉巻に火を着けて吸う商人


「じゃああれは誰の仕業なの…あんなの魔族にしか…」


若い女性が出来ないはず、と言いかけた時だった


「ギャ゛ア゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛!!!」


突如、金切り声の様な断末魔が周囲に轟く


「!!!」


休んでいた一同が一斉に一ヶ所を見る

先ほど、休まずに走り去って行った者達が向かった方向から断末魔が聞こえた


「いっ…一体何が…」


先ほどの断末魔で酷くビビる若い男性


「まさか、本当に大魔王が…」


そう言い、断末魔の聞こえた方向から遠ざかろうとする若い女性、しかし先ほどの断末魔で腰を抜かしてしまったのか、立ち上がる事が出来ない

そしてその女性の顔の横に悪魔の様な顔が突然現れる


「ん〜、大魔王じゃなくて俺様の仕業なんだな、町を潰したのは俺様じゃないけど」


何も前兆も無く、現れた黒い怪物に周りの人間達が悲鳴をあげた

しかし若い女性は声をあげる事すら出来なかった


「あっ…ああ…あ…」


今度は黒い怪物から遠ざかろうとする女性、しかし、完全に怯えてしまい動けなかった


「フッフのフッ…俺様は可愛い子ちゃんを驚かすのが好きなんでね…」


その黒い怪物、アルヴァトールは不敵な笑みを浮かべる

そして、体には先ほどの断末魔の主であろう男性がアルヴァトールの刺々しい右肩に刺さっていた


「うっうわぁぁぁ!!」


声を上げ、鞄を起き逃げようとする商人

しかし、アルヴァトールは商人の方に目線を向ける


「フフッ…」


アルヴァトールが紅い目を見開き妖しく光らせる


「ウギャァッ!!」


すると、商人の体はみるみる内に膨れて行きボンッと音を立て破裂し、周囲に臓器と血と骨をばら蒔いた

アルヴァトールは、ばら蒔かれた臓器や骨を踏みつけると今度は若い男性の方に目を向ける


「ヒィィ!!」


若い男性は恐怖で蛇に睨まれた蛙の様に硬直してしまい動けなくなる


「いっ命だけは…命だけはお助けを…」


若い男性は涙を流し、アルヴァトールに命乞いをする

するとアルヴァトールは、気さくな声で喋った


「命だけ?あぁ、良いよ♪」


アルヴァトールは笑顔を浮かべ、若い男性から視線を外す


「あっありがとうございまっ…」


若い男性が安心し礼を言おうとした時だった


「ギャァァァ!!痛イィィィ!!」


突然、若い男性の四肢が切り落とされた様に地面に落ちる


「ァァァァ!!ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!!!」


四肢を切り落とされ、達磨状態で激痛にのたうち回る若い男性

アルヴァトールはそれを見ながら笑顔で喋る


「言われた通り、命だけは助けてやったぞ、俺様優しい〜♪」


アルヴァトールはそう言い、若い男性に向かってピースをする


「ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!!」


若い男性は激しくのたうち回った後、激痛に耐えれなくなくなり気絶したのかバッタリと動かなくなった


「あらら…」


アルヴァトールは凶悪そうな爪を生やした足で動かなくなった男性をつつくと、腰が抜けて動けなくなった若い女性に視線を向ける


「ぃ…ゃ…」


女性は恐怖で怯えきった顔をしアルヴァトールから逃げようとするが、やはりまともに動けなかった


「フンフフ〜ン…」


アルヴァトールはゆっくりと女性の元へと近寄る


「嫌…ぃ…や…!!」


地面に這いつくばり、ほふく前進で逃げようとする

しかし、無情にもアルヴァトールの腕が女性の胴体を掴む


「ふーむ…金髪…ねぇ君何歳?」

「嫌!!嫌ァ!!…へっ…?」


思いもしない質問に戸惑う女性


「年齢だよ年齢、何歳?」


何が目的なのかわからないが変な質問をするアルヴァトール


「えっ…えっと…17…」


一応、質問には答えながらも必死で腕を振りほどこうとする女性


「へぇ〜やっぱり?じゃあ丁度いいや」


アルヴァトールはそう言うと自身の刺々しい胴体に、女性を押し付ける


「…ッ!!!」


女性は刺が刺されたと思い死を覚悟した

しかし、刺は女性には刺さっていなかった、その代わり女性は、アルヴァトールの体の中に埋め込まれるのを感じた


「ッ!?」

「ククク…そろそろ腹が減ってたのよ…」


アルヴァトールは女性を自身の胴体に押し込む

彼女を体内に取り込もうとしているのだ


「〜ッ!!〜ッ!!」


必死に助けを呼び、もがこうとする女性

しかし、顔の半分は既に取り込まれ声を出す事が出来ず、体も麻痺したかのように動かせなかった、そして徐々に意識が薄れていった


「ハハハ…俺様の一部になれるんだ、感謝したまえ…」


薄れ行く意識の中で、最後に聞こえた言葉

そして最後に見えた光景は、ただ何も無い暗闇だった…


「ふぅ、取り合えず此処等のネズミは殲滅っと…次は船だな…どんな女の子がいるかねぇ…まぁ、船壊したらルオの所に行くか…」


女性を体内へと取り込んだアルヴァトールは、他にも逃げ回る人間を惨殺した後、船のいる方向へと飛んで行くのだった…

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