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Donor・World  作者: 嘘愚龍
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第4話 薬も薬草も正しく使用しましょう

〜山奥の小屋〜



「チィ…全く訳がわかんないぜ…調整とかよ…」


レオルドは、あの戦闘からしばらくして体がなんとか動くようになり、手当ての為に小屋へ戻った

小屋へ戻った時には日がのぼり、朝を迎えていた


「しかし、俺の力を持ってしても負けるとはな…まぁ、俺のあの時使った力自体が、殺傷に直に結び付きはしないから、この場合は攻撃が足りなかったのか…」


レオルドは体に薬草を当て、包帯を巻き付けながら敗因を考える


「けど動きは良かったと思うし攻撃も命中してたし、俺に原因は無いよな〜…やっぱりアイツの重力球か?」


そうこう考えてる内に、手当ては一通り終えた


「やっぱ、アレを使ってもっと強くなるしかないのかねぇ…」


レオルドはそう言い、本棚から一冊の古びた薄い本を取り出す、表紙には何やらよくわからない紋様と人のような姿をした絵が描かれている


「俺が能力を得るきっかけとなった、絆贄の秘術…これはホント便利だったなぁ〜」


レオルドは、本を開く

開いたページには何かの儀式のやり方を説明するような絵が書かれてあった


「自身を信頼する人と絆を贄として捧げる事により、新たな力を得る技術…その力は人との絆が大きければ大きい程増す…大魔王討伐の時は仲間は一杯いたから沢山やれたが、今は一人もいなくなったし、人間達は俺を怖がるから絆とか友情なんて出来んし…やっぱダメだな〜クソ…」


レオルドはそう言い、古びた薄い本を本棚に戻し、今度は別の薄い本を取り出す、表紙には先ほどの本とは違い女性の絵が描かれている


(明日だっけ?アイツが人間を殺し始めるの、それまでにはどうにかしたいな〜…そう言えば、別世界がここの他に8つあるんだっけ…?もしその話が本当ならその別世界に逃げるのもアリだな…)


レオルドはこの世界の人間を助ける気は無く、色々考えてながら薄い本を読み続けていた…



〜山のふもとの町〜



一方その頃、町の方では昨晩、山の方で大規模な土砂崩れがあったと話題になっていた


「結構な土砂崩れだったみたいだな〜」

「現場を見に行った奴が言ってたけど普通の土砂崩れじゃないみたいらしいぞ」


人々は、井戸の周りに集まりそんな会話を交わす


「なんでも、地面が円状に崩れていたみたいザマスザマスよ、何かが落ちてきたんじゃないザマスザマスか?」

「ワシは山に住む、あの青年が何かしたんじゃないかと思うが…」


老人の一言で周囲の空気が若干張り付く


「まっまさか…勇者様がそんな事する訳…ないよなぁ?」

「でも、大魔王がいなくなったこの世界で、あんな事が出来る魔物はいないはずだし…」


周囲の人々は、戸惑いながらも周りの者と目を合わせる


「けっけど、町の方には全く被害もなかったし怪我人も出なかったから取り合えず安心だよなぁ!!さぁて、仕事仕事っと!!」

「そっそうね、わっ私もお洗濯があるから行かなくちゃ」


人々はそう言い、急ぐようにその場から離れ、各々の仕事にかかり始める




「レオルドさん…大丈夫でしょうか…」


教会の中、レオルドを心配していたのは、マリエラだった


「うぬ…?マリエラや…どうかしたんかぇ?」


教会の老神父が、マリエラの様子がおかしいのに気付き声をかける


「あ…ハイ、実はレオルドさんの事なんですけど…」


マリエラは、昨晩の土砂崩れでレオルドが怪我をしてないか、土砂崩れの原因は町の者達が言う通りレオルドがやったのかどうか、それが心配だと言う事を老神父に話した

老神父は静かに微笑みながら、語りかける


「お前さんは…本当に心優しいのぅ…町の者達がレオルド君を怖がっているのに、お前さんは全く気にせず心配してくれている…」

「はい、レオルドさんは世界を救った勇者ですが、同時に普通の人間でもあるんです、怖がる必要なんて全くありませんし、人間が人間に怯えるなんておかしい話です」


マリエラも微笑む


「して…土砂崩れの原因なんじゃが…コレに関してはレオルド君本人に聞いてみんとわからんぞぇ?…おぉ…そう言えば、マリエラや、そろそろ山登りの時間ではないかぇ?」


老神父が、そう言うとマリエラは、はいと返事をする


「どれ…ちょっと待っておれ…弁当を用意するでな…」


老神父は扉を開け、パンや果物の入ったちょっと大きめバスケットを渡す

その量はいつも通り、マリエラ一人では食べきれない量であった


「…いつもありがとうございます、それでは…行ってきます」


マリエラは深々とお辞儀をし、教会の扉を開け出掛けていく


「フフォフォ…やはり恋はえぇのぅ…」


先ほどマリエラが開けた扉を見つめ、老神父はそう呟くのであった




〜再び山奥の小屋〜


「ふぅ…」


本を読み終えたレオルドは本を本棚に戻し、鼻をかんだであろう、ティッシュをゴミ箱へと捨てる


「やべ…鼻紙切らしちまった…今日は出る量が多かったからな…明日、町に降りて買わなきゃな…」


レオルドは財布を取りだし、所持金を確認する


「金あるかなぁ…あらら…39マネしかねぇや…何も買えねぇじゃん、こりゃ町に行ったら何か売らないとな…」


レオルドはそう呟くと売る物が無いか探しだす


「前は魔物からかっぱらってたけど、魔物が少なくなったご時世だし、魔物からかっぱらうか町の人に恵んで貰うかでしか生計を立てれない勇者は、このご時世やっていけるのかね…そう考えると勇者って大魔王あっての商売だよな〜…ケッ…」


そう愚痴をこぼしながらも棚から宝石やら金属器を取り出し、それを袋にしまう、大魔王討伐の際に得た物である


「後は、明日、町に行くだけ…まぁ、アイツに壊されなきゃいいが、せめて買い物を終えてから壊してほしいぜ…さて、釣りにでも行こうかね…」


レオルドがそう言い、釣竿を持った時だった


「あっあの〜…レオルドさん…いますか…?」


玄関の方から声がする、マリエラだ

レオルドは、釣竿を手放し、空になったバスケットを持ち玄関へと向かった


「あ、いますよ〜ちょっと待ってて下さい〜」


レオルドは先ほどとは違う優しげな声を出し、玄関を開ける


「こんにちは、いつもいつもありがとうございます、マリエラさん」


レオルドは笑顔を作り、マリエラの顔を見る


「あっいえ…その、今日もコレ…」


マリエラは恥ずかしげに目をそらし、頬を赤くし、レオルドにバスケットを渡す


「ありがとうございます…あっコレ、返しておきますね」


レオルドはマリエラからバスケットを受け取り、もう片手に持ってた空のバスケットを渡す


「あっ…はい、ありがとうございます…?」


マリエラは空のバスケットを受け取った後、レオルドの頭に包帯が巻かれてるのに気付く


「レオルドさん…?その包帯…もしかしたら…?」


レオルドは包帯の事を聞かれ、これですかと指を指す


「えっとですね…昨日の夜、怪我をしてしまって…ハハハ…」


レオルドが気楽そうに笑いながら頭を掻く

しかし、マリエラの方は青ざめた顔をする


「ということは…レオルドさん、昨晩の土砂崩れに巻き込まれたんですか!?」


レオルドは、土砂崩れと言われ一瞬戸惑う

しかし、すぐに昨晩の戦闘の事だと理解し話を合わせる


「えぇ…実はですね、昨晩、パトロールをしていたら…魔物に出くわしてですね、戦っていたのは良いのですが、敵が大地変動呪文ルレ・ズークを使って来て…巻き込まれちゃいました…ハハハ、何とか魔物は倒せましたから安心してください」

レオルドはある意味事実を言って、微笑んだ

パトロール(と言う名の好奇心による探索)を行い

魔物(エグェ・ルォ)にも出会い

敵は大地変動呪文ルレ・ズーク(黒い重力球)も使って来た

唯一、魔物を倒したと言うのは嘘である


「あっ安心出来ません!!」


レオルドが微笑む中、マリエラは声を上げる


「…え?」


レオルドは驚いた顔でマリエラを見る、マリエラは、思わず声を上げた事に戸惑いながらレオルドの顔を一瞬見て、すぐに視線をずらす


「えっえと…もしその…レオルドさんにももももしもしの事があったら…私っ…じゃなかったっ…まま町の皆さんが心配しみゃしゅ!!」

盛大に噛んだマリエラであった

レオルドはマリエラが噛んだ事ではなく、自分の安否をそこまで心配していたのかと驚き、同時に町の住民が俺のを心配する訳がないと思ったのだった


「マリエラさん…そこまで僕を心配してくれていたんですか…ありがとうございます」


レオルドは若干戸惑いながらも礼をする

レオルドは内心、マリエラがどうして自分の事を思うのが不思議でしかなかった


(教会のシスターという職業だから誰にでも平等に優しく接するのか、それとも単にお人好しなのか…あるいは本当に俺に気があるのか…)

レオルドは色々考える

マリエラは顔全体を真っ赤にしながらレオルドの体のあちこちにある包帯を見る


「いっいぇ…そっそれよりもレオルドさん…包帯の巻き方が少しおかしいです…その巻き方だと血液の流れを悪くして、逆に回復が遅くなります…」


マリエラはレオルドの包帯の巻き方が間違っている事を指摘する

レオルドはそうなの?と言う様な顔をし、巻いてある包帯を見る


「あら、そうですか…僕、こう言うのには慣れてなくて…(マジかよ…これが一番良いと思ったんだが…)」


心の中で本音を呟きながら、再び頭を掻きながら苦笑いをするレオルド


「あっあの、ちょっとそこに座って下さい…」


マリエラは、レオルドの家の中にある椅子を指差す

レオルドはまぁいいかと思いながらマリエラの言う通りに座る


「一応、シスター見習いとして手当ての仕方は心得ていますので…」


マリエラはそう言い、レオルドの腕の包帯をほどく、包帯がほどけると傷口に当てていた薬草が床に落ちる


「あぁ…レオルドさん、処方する薬草も間違ってますよ…この薬草は解毒用の薬草ですから打ち身には全く効果がありませんよ」

「あちゃぁ…そうでしたか…(薬草ってどれも同じと思ってたぞ…)」


マリエラはそう言い、辺りを見渡す


「あっ…レオルドさん、キッチンの隣にあるアレが打ち身や打撲に効く薬草です…そして隣にあるのが擦り傷、切り傷に効く薬草です、」


マリエラはそこへ行き、二つの薬草を持ち出しレオルドの元へ戻る


「この打ち身に使う薬草を丸めて、水分を出させて…打ち身した部分に貼り付けて…」


マリエラは、手慣れた感じでレオルドの腕に薬草を貼り、包帯を丁寧に強すぎずに巻いて薬草を固定する


「で…出来ましたよ」


レオルドは腕に巻かれた包帯を見る

レオルドは、マリエラが処方した薬草がスースーする何かを出し、打ち身に効く様な感じがした


「おお、ホントにありがとうございます…あっ後は自分でやれますので…」


レオルドは立ち上がり礼をする


「いっいえ…その…私は人として当然の事をしただけですから…」


マリエラは再び頬を赤くする


「では、私はそろそろ行きますねっ…」


マリエラはペコリとお辞儀をし早々とレオルドの家を出るのであった


「へぇ〜これが打ち身や打撲に効く奴でこれが傷に効く奴…俺、全部解毒用ので手当てしてたのか…」


レオルドはマリエラに軽くお辞儀をした後、姿が見えなくなるのを確認し先ほどの薬草を見比べる


「しかし…マリエラちゃんか…」


レオルドはマリエラが出ていった扉を見つめ、ある事を思い付く


「…アイツを使えば…絆贄の秘術を使う事が出来るかもな…けど、それにはまだ早いな…フフ…」


レオルドは不敵に微笑むのだった…

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