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なんでお前は婚約者の顔が分かっていないんだ!?  作者: 重原水鳥


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【番外編02】カルロス・アルヘンタ 後編

※重複ミスにより、当初投稿した前編とお話の大部分が被っています。今回は取り急ぎ確認したので、コピペミスはない……と思います。

 カルロスの生活は素晴らしいものであった。

 美しい妻。

 立派に育っていく子供たち。


 そんな生活に少しの変化があったのは、義母――アルヘンタ公爵夫人が亡くなった時であった。

 アルヘンタ公爵夫人が亡くなった後、父であるアルヘンタ公爵は一気に弱ってしまったようであった。そして、妻を弔って生きたいと言い、カルロスに当主の座を譲ったのである。


 本来であればもう少し先の未来であった爵位の譲渡が、予定より早く行われた。


 こうしてカルロスは小公爵から、正式なアルヘンタ公爵となった。

 ミュールプフォルテも、アルヘンタ公爵夫人となった。


 若い公爵というのは、なかなかいない。貴族家の当主などは、問題などなければ亡くなる直前まで爵位を持っている事が多いからだ。簡単に子に譲ってしまうと、子に冷遇される可能性もある。貴族の親子というのは、それぐらい、冷めた部分があるのだ。

 カルロスはそんな事はしない。ミュールプフォルテとも、子供たちとも、一般的な貴族家よりも深い付き合いをしている。

 子供たちはカルロスを尊敬し、父として慕ってくれている。

 ミュールプフォルテもいつも、夫としてカルロスを立ててくれる。


(なんて幸せなのだろう)


 上がる口角を下げる時などない、幸せな時間だった。


 第一子である跡取りの嫡男は、この国にもう一つある公爵家の令嬢を婚約者として得た。


 第二子である長女は、王太子の子――あと数年で王太子となるだろう王子と婚約した。


 第三子の次男はまだ幼いので婚約者はいないが、国内の令嬢を抱える家から婚約の話が止まない。


(なんて、人生がうまくいくのだろう)


 カルロスは国王や、父方の従兄弟にあたる王太子からも様々に頼りにされ、ジュラエル王国への顔として動いた。


 国内にいる敵対派閥の者たちも、力を得ていくアルヘンタ公爵家に恐れをなして、表向きにあきらかな態度はしなくなった。


(将来的に娘が王太子妃になれば――いつか王妃になれば――僕は外戚として、権威を振るえる!)


 もっともっと、アルヘンタ公爵家の力を強くできる。上を目指す事が出来る。


 異母兄(バルトロメ)には、公爵家の――カルロスの栄華を、何度も、いくつも、見せてやった。声は相変わらず聞こえたりはしないが、きっと異母兄(バルトロメ)は石の中で、悔しさに歯ぎしりし、恨み言を吐いている事だろう。それは最高の愉悦だった。


 まだまだ上を。まだまだ先を。

 カルロスの先に広がっていた輝かしい道は――ある日、パタリと止まってしまうことになる。


 ある日、日中、カルロスは倒れた。

 公爵家に運び込まれ、王宮に勤める医師が診察した。


 病気であった。


「残念ながら……随分と進行しておられます」


(なぜ、何故だ……)


 まだカルロスは年寄りなんて言えない年齢だ。隠居している父親(前アルヘンタ公爵)だって、存命である。

 なのになぜ、カルロスなのか。


 子供たちはまだ幼い。

 跡取りの息子は結婚はしたが、まだまだ未熟だ。

 娘は王太子に嫁ぐ日程は決まっているが、再来年の事で、まだ嫁いでいない。

 末の息子に関しては婚約者も決めきれていない。


「なんとか……しろ……! 金はいくらでも使っていい、高い薬でもなんでもいいから、治せ!」


 カルロスは王宮の医師にそう訴えた。医師が様々な薬を用意したが、症状を軽くする事はあっても、治すには至らない。


「手を尽くせ、何でもいい!」


 様々なものを呼んだ。占い師、自称聖女、自称魔法使い、さまざまなものに手を伸ばしたが、カルロスの症状がなくなる事はなかった。


「カルロス様。本日の薬ですわ」


 ミュールプフォルテは精神的に弱るカルロスに寄り添い、さまざまな薬などを、言われた通りにカルロスの元に持ってきた。機嫌が悪くてミュールプフォルテが持っていた盆ごと振り払ってしまう日もあったが、ミュールプフォルテは怒る事なく、カルロスに寄り沿い続けた。


 その時、ふと、カルロスは思い出した。


「ミュールプフォルテ……あの者は」

「あの者?」


 病気によって容貌に陰りを見せ始めるカルロスと違い、ミュールプフォルテは三人も子を産んだのに、美しい。そんな美しい妻の細い両腕を掴んで、カルロスは叫んだ。


「ジュラエル王国の、魔法使いだ! 呪いについてハッキリ言って見せたあの魔法使いだ! あれを呼んでくれ、自称魔法使いではない、本物ならば僕を助けられるだろう!?」


 ゲホゴホとせき込みながら、カルロスは訴えた。


 ミュールプフォルテは実家に連絡を取ってくれた。しかし、なかなか魔法使いはこない。


「ミュールプフォルテ……いつだ、魔法使いはいつ来る……?」

「カルロス様……きっともうすぐですわ……ジュラエル王国は、遠いですから……」

「早く、早くこの病を……」


 カルロスの病状は悪く、最近では寝台(ベッド)から起きれなくなっていた。


「ああ……死にたくない……死にたくない……」


 それが、カルロスの最期の言葉であった。

 近日中に、ちょっとだけ、別人から見た話を更新予定です。

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