07話
どれ位経ったのだろう…
「よう!皐月!気がついたか!?」
その声にゆっくり目を開く。
目の前に女性と見間違う様な容姿をした天使が6枚の羽を広げ立っている。
「お前…サタンか!?」
何故かその名前が出てきた。
「どちらかと言えば今はルシファーかな?どちらも同じなんだけどね。」
本人はどちらでも良い様だ。
「そうそう。あの子は…スカーだっけ?向こうも落ち着いて、今はサタナエルと話をしているみたいだ。」
ルシファーには向こうの状況が分かる様だった。
「ここは…僕の精神世界か?」
前に見た光景に似ているが少し様子が違う。
ゴシック彫の部屋にいる。
「そうだね。覇王光を安定させた事によって精神力も格段に上昇したからね。まぁ~それでルシファーの姿が出来るってのもあるんだけど。」
余り実感は無いが格段に体が軽い…隊長やキーラさんがあのスピードで動けた意味が分かった気がする。
「僕は君の精神世界にいるから覇王光が馴染んだ今なら現実世界でも自由に話は出来る様になるだろう。まぁ~何か有れば呼んでくれ。」
そう言い残すと僕の精神世界が薄れていき、隊長達がいる世界に変わった。
「皐月?気が付いたかい?」
隊長が声を掛けてきた。
「はい。これが覇王光…」
体から蒼白い炎が溢れ立ち上る。
スカーも横にいて立ち上る炎を見ている。
「そ!駄々漏れにしていても意味が無いし体の周りに纏う感じのイメージをしてみてくれ。」
少し暖かいお風呂に潜った感じがする。
「そ。それを維持してくれ。慣れれば呼吸をする様に自然に出来る様になる。それに環境の変化も気にしなくて良くなる。実際、今寒くないだろ?」
気を抜くと炎が立ち上りそうになるが、確かに寒さは感じない。寧ろ心地良い位だ。
「因みに解放から4日経っている。あと3日で慣れて貰うからそのつもりで。」
隊長の言葉に僕とスカーお互いを見て苦笑いをする。
2週間目の項目が始まっているのだ!しかも3日に短縮されて!!!
歩きだそうとしても維持出来なそうなのだ。
そんな状態を見て隊長はニヤニヤしている。
パンっ!
「はうっ!!!」
「ちょっと!人が悪いですよ!隊長!」
キーラさんがバインダーで隊長の頭を叩いた。
何処からそのバインダーを出したんだ!?
あれだけボロボロにされたのに凄い気がする。
悶絶している隊長を見て思った。
ボロボロになるまでしごいたからだと…
「2人とも全身の皮膚が覇王光の周りに有るんだと思えばいいわ。そのまま歩いて、そこの椅子に座ってみなさい。」
キーラさんの言われる通り皮膚の感覚を覇王光の周りに置き換えていく。そのまま歩くと維持したまま歩けた。そのまま椅子に座る。
「さすがね。ほら、隊長も早く座って下さいよ。」
キーラさんも椅子に腰掛けながら未だに悶絶してる隊長を見て言い捨てる。
「お…おのれ!キーラめ!」
隊長も椅子までたどり着き腰を掛けた。
「2人共、皐月君はルシファーと。スカーレットはサタナエルと話はしたわね?」
「「はい!」」
キーラさんの問いに返事を返す。
「個々の精神世界と天界・魔界は繋がっていていつでも話は出来るわ。それに、天界・魔界での最上位の存在2柱が同時に入ってるだけあって安定が難しい分、慣れてからの安定感は揺らがないと思うわ。」
「1週間短縮出来そうなのは驚きだけど…あと3日。取り敢えず普通に生活出来る様に色々2人でやってみなさい。私は4週間で貴方達に追い付かれるなんて癪だから隊長に付き合ってもらうわ。」
そう言うと隊長に目をやる。
「え!?俺ってキーラと付き合う……」
パンっ!!!
言い終える前にキーラさんのバインダーが顔面に直撃している。
「違います!特訓に付き合えって言ってるんです!」
切って捨てる様に言いきる。
「それ…頼む人の言い方じゃないっす!」
バインダーの跡が付いた隊長が文句を言う。
スカーと2人で苦笑いしながら隊長に頑張れ!と思うのだった。
その後、スカーと2人で話をしたり本を読んだり通常の生活からやりだしてみた。勿論…ちょくちょく2人とも暴発してるのは気にしないでおこう……本当は隊長とキーラさんの特訓を見学したいのだが、通常の生活すら出来ない様では話にならないので諦めたのだ。
…そしてボロボロのキーラさんが30分措きに運ばれて来つつ日が過ぎて行くのだった。
そして3日目…コーヒーの香りで目を覚ます。
「あ!皐月君起きた?コーヒー飲む?」
スカーの目元に凄い隈…とタンコブが…
「スカー…寝てないの?」
覗きこむとスカーが恥ずかしそうに目を隠す。
「2日目の夜に隊長が来られて…寝ながらも常に気を張る訓練だって、壁を背にして座った状態で寝て、気が緩んだら石を時々投げられて…」
「あ~…あれね…僕も小さい頃にやられたよ…寝ながら起きてるって感覚なんだけど…いきなりは難しいよね………あ!覇王光を広げて感覚を持たせれば今のスカーでも避けれるかもよ?広げられる?」
そう言うとスカーが覇王光を広げだした。
「これでいいの?」
「ちょっと目を閉じてみて?」
スカーが目を閉じたのを確認して、そこにある石を投げ入れてみた。
「あ!石が飛んできたの分かったわ!それに石の形までハッキリと!皐月君すごい!」
僕も覇王光を広げて投げ入れて貰い感覚を覚えた。
こんな事をしつつ3日目が過ぎて行こうとしていた。
………が…相変わらず…キーラさんがボロボロになって運ばれてきていたのは変わらない…
明日からとうとう戦闘訓練が始まる。




