06話
「ベリアル。お前の受肉はそこの娘だ。我が受肉したかったのだがお前に譲ろう。」
サタンの指差す方向を見て微笑むベリアル。
「そこの娘。名は?」
ベリアルが立ち上がりスカーに名を訪ねる。
「スカーレットと申します。スカーと呼んで下さい。」
スカーはベリアルの前に立ち答えた。
「スカー(傷)とは、また……まぁ~いいでしょう。共にサタン様の役に立ちましょう。」
ベリアルが蒼白い炎となりスカーを包みこむ。
「それでは隣の部屋に移ろう…」
隊長はスカーが受肉された事を確認し、隣の部屋に向かう。それに続きキーラさんと僕に支えられながらスカーが入室する。扉の向こうは果てなき空間になっていた。
「スカーレット。君は取り敢えず休んでいるといい。」
隊長がそう言うとスカーの前に椅子が現れた。
「ここは精神世界だ。現実の時は止まり……いや微かに進んでいると言った方が良いな。肉体は扉の向こうにある。まぁ~簡単に言うなら神の領域だと思えばいい。ここで1ヶ月程特訓を行う。現在世界だと1時間程度の時間だと思ってくれていい。因みに、向こうにある肉体ならミカエルに任せてあるので心配はするな。のちにミカエルも来るだろう。質問は?」
隊長は淡々と述べた。
「特にありません!」
色々聞きたい所も有るが自分のやるべき事の方が重要なのは分かっていた。力は得たが使いこなせなければかえって邪魔になるのだから。
「まずは1週間後にたどり着く所を見せてやる。キーラ!俺の前に。」
そう言うとキーラさんが隊長の前に歩き始めた。
すると、キーラさんの体から白い炎が沸き上がり微かに黄色く変化し色濃くなって体を覆い尽くした。
隊長の前に立つキーラさんとは先程とは別人の様だった。
「これが一神化した状態だ。これより戦闘を行う。」
そう言うと隊長の体にもキーラさんと同じ現象が起こるが一瞬で炎を纏って見せた。
「キーラ。ついでだ!お前にも稽古をつけてやろう!2人ともよく見ておけ!」
「「「はい!お願いします!」」」
3人は同時に答える。
「キーラ。いつでも構わん!かかってこい!」
隊長がそう口に出した瞬間にキーラさんが間合いを瞬時に詰め拳を突き出した。それが合図となり目の前で凄まじい攻防が始まる。
「皐月君…何あれ…見えてる?」
スカーは冷や汗をかきながら見つめているが興奮が笑みに変わっている。
「ああ…あの2人は他の隊員とは別の生き物だとは思っていたけど…」
僕も同じ状態だった。
30分後…キーラさんが倒れた状態でギブアップを宣言した。
「キーラ成長したね。」
ボロボロのキーラさんに対して息一つ切らしていない隊長が手を取り、抱き上げてベッドを出して横にさせた。
「スカーレット。そろそろ立てるかい?」
隊長がスカーの方を向き声をかける。
「は!はい!」
スカーが急いで椅子から立ち上がった。既に立ち上がれる様にはなっていたが戦いに見いられて立ち上がる事すら忘れていた様だ。
「皐月とスカーレットはこっちに来てもらえるか?」
隊長に呼ばれて2人が並んで隊長立つ。
「さて、これからのプランなんだが、1週間目で覇王光を身につけてもらう。2週間目で覇王光の維持。3週間目で覇王光を用いた戦闘。4週間目でそこのキーラと互角以上で戦える様になってもらう。」
「先ずは覇王光を身につけて貰おう。元であれど最上位天使が1柱づつ入っているのだ。更に魔族に堕ちる事により聖と魔の属性を持ち合わせている。」
「七大天使で有れば聖属性だけなのでそこまで制御は難しくはないがお前達は違う。そこでだ……」
そこまで言うと隊長は少し離れた。
「我が体に流れる神の血に眠る神柱よ!目覚めよ!」
「須佐之男命!!!」
隊長の周りを闇夜の炎が渦巻き絡みついていく。
全身を覆い晴れると武神の様な姿に変わっていた。
「これは神の血を引く者にのみ、その系譜を辿って使用出来る力だ……いや、先ずは覇王光だな。」
そう言うと隊長が僕達の後ろに回り背中に手を押し当てる。背中が焦げつく様な熱さだが苦痛は感じない。
「これよりお前達の覇王光を解放する。いいか?1度しか言わないからよく頭に叩き込め。」
「今から俺の覇王光をお前達に押し込む。するとサタンとベリアルが受肉した際に発した聖魔の炎が全身に絡み付き、身を焼きつくそうとするだろう。だが、それもお前達の一部だ拒絶するな!その炎ごと自身の体だと思い今ある姿を思い描け!そうすれば安定する!いいな!いくぞ!!!」
「「はい!」」
隊長の掛け声に即座に返事を返す。
ドンッ!!!!
水面に水滴が落ち波紋が広がる様な感覚……
その中心から禍々しい黒炎と神々しい白炎が燃え広がり身体中に絡み付きながら2人を飲み込む。
ゴゴゴゴゴーーーー!!!!
闇より響く様な音と炎に包まれ何も分からない!
「皐月!何も考えるな!全てを受け入れろ!そうすれば今あるべき姿が浮かび上がる!」
隊長の叫び声の様な音が微かに聞こえた。
目を閉じると全てを包み込むイメージが沸き立つ。




