表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
76/84

Data 70. 葛の計画




『続きまして、現在話題となっているオンラインゲームChristalクリスタル Salvatorサルバトール Onlineオンラインについてです』


『これはネットにアップロードされた狼のような動物の映像です』


Christalクリスタル Salvatorサルバトール Onlineオンライン。 CSOと呼ばれるゲームの動物にそっくりだと話題になっています』


『CSOは、異世界と繋がるゲームなんでしょうか? VRMMO専門家の藤岡さんに話しを伺ってみましょう』



――――――


Data 70. 葛の計画


――――――



 鳥の鳴き声で目覚めてテレビを付ければ、朝のニュースでCSOが取り上げられていた。


 異世界へと繋がるVRMMO……。

 情報が……どこかから漏れたのか?


『この動物ねぇ。 写真が撮られた日付があの事件の日みたいなんだよね。 高校生の誘拐事件があったでしょ?』


『あの事件は何かCSOと因果関係があったみたいだし、捕まった防衛省の人も謎めいたことを言ってるみたいなんですよね』


『そして、この動物は今までに発見されたことのない新種かもしれないって言われててねぇ……別世界から来たなんてね。 そんなわけないでしょって感じですけどね。 はは』


 この写真は、精霊の狼アルンのものだ。

 カルデアの事件で写真が撮られていたのか。


『それにCSOね。 あれが発表されたのに、VRMMOという分野の技術自体は成長してないんですよね』


『そのフルダイブ技術は、ゲームではなく異世界へ行くためのものだった……なんて考えたら確かにロマンがありますよねぇ』


 ……事前にインタビューしたであろう映像が流れ、スタジオ内は一瞬だけ静まり返った。

 その場の全員がCSOが本物の世界に繋いでいるであろうことを、この世界に住む俺たちは感じ取ったのかもしれない。


 僅かな静寂は直ぐに振り払われ、呼ばれていたタレントによって明るい空気に変えられていった。


 ネットを見る限りまだ、大丈夫だと思う。

 これは都市伝説扱いで信じる人は……いないだろう。


 さ、今日もログインするか。


「皆。 もう来てるのか」


 CSOに入ればいつもの顔ぶれにたくさんのギルドメンバーがログインしていた。


 逢魔の災厄も目前に迫り、皆は気合充分だ。

 この前の敗北が効いているのか、逢魔の災厄に向けて防衛を成功させようと一丸となっているみたいだ。


「連携は良い感じになってきたぜ」


 Sukuneの指示のもと、多くのギルドメンバーは防衛に最適な連携を練習し、その成果が出始めているみたいだった。

 各部隊の練度や、連携もかなりのものになってきた。


 魔物を倒すコンテンツもスムーズに進めることができ手応えを感じている。

 

「Iruka。 少しいいか?」


「Sigさん。 お疲れ様です」


 俺はSigさんとギルドの拠点にあるバルコニーへ向かった。

 側にはSigさんの相棒の副リーダーとSukuneがいる。


 ついこの前、皆へと武内さんから聞いた話をその日に伝えた。

 俺達の存在が作り物である事から、その末に俺達が消える事を話したが、やはり勘の良いメンバーは薄々気づいていたしSigさんなんかは知っていたみたいだ。

 少しショックを受けていた仲間もいたけれど、立ち直りこれまで通り共に逢魔の災厄を祓おうと結論に至った。

 ともあれ、今はこうして俺たちは逢魔の災厄を乗り越えるために動いている。


 ついこの前の事を思い返していると、これから話すことを軽く脳内でまとめたのか、一息吐いてSigさんは切り出した。


「今朝やっていたニュースは見たか?」


「あぁ。 CSOの世界が本物だっていう……」


 あのニュースについては彼女達も何らかの懸念があるようだ。


「あの写真は、警察で厳重に管理しているものだ。 内部にスパイがいるのか……それとも……」


「……情報が漏れたってことですか?」


「あぁ。 その線もある」


 ……カルデアの人間が持っていて、それが表に出たという可能性もあるのか。

 考え込んでいると、Sukuneが口を開いた。


「俺からも言わせてもらうとあの写真は、鷹司も持っていたな。 巳葛ミカドの方な」


「Kazuraが……?」


 やはりあいつは、どこかで生きているのか?

 それを補足するようにSigさんが話を続けていく。


「その話についてだが、この写真の情報は武闘派ギルドのあいつからよこされたものだそうだ。 これは調査によって判明した」


「だが、何故あいつがそのデータを持っていたか。 それが不明なんだ」


「鷹司 巳葛は、密室からいなくなっていたと言ったな。 あれからこちらも消息は掴めていない……もしかすると……」


 ……そう。

 完全な密室。

 抜け穴も隠し通路も一切ない密閉空間。

 鷹司 巳葛はそこから、一切の痕跡も残さず綺麗さっぱり消えていた。


 まるで……。

 まるで……存在ごとその身を……。


「まさか……」


「そうだ。 ヤツはCSOにその身を移したのかもしれない」


 この世界は本物で、俺たちは偽物だった。

 その俺たちはCSOへとアバターのデータとして存在している。


 どちらもデータならば本体の方を直接移すことも、可能なのではないか?


「……」


「ショックを受けるのも分かる。 私たちがまやかしだと再認識させられるようなものだからな。 だが、それもまだ仮の話だ」


 あいつは、まだCSOで暗躍している……?

 この前、八重垣で顔を合わせたあいつは、Kazuraを通して操られていたのか?

 

「ともかく、そのニュースの全貌と……これから厄介なことになるかもしれないぞ」


「やっぱり……俺たちの戦力が……」


「あぁ。 やはりIrukaは分かっていたか」


 もしも、一連の事件や今回のニュースが発端でCSOに規制がかかれば……。

 ログインできる仲間が減り、俺達の戦力が大幅にダウンする。


 今朝ニュースを見た時は大丈夫だったが……。


「まぁ、場合によってはそうなるかもな。 私たちも用心した方が良い」


「そうですね。 忠告痛み入ります」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ