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Data 60. ギルド発足



Data 60. ギルド発足



「ギルドを作ろうと思う」


 真理愛が学校へと顔を出さなかったこの日。

 CSOへといつも通りにログインして、皆へと告げた。

 皆の表情は悪いものではない、きっと賛成してくれるだろう。


 仲間たちの顔を見渡すと、宿祢も口を開いた。


「実は俺からも話があるんだ」


「話? まさか警察関係でか?」


「あぁ、そうだ」


 今この場にはSigさんこそいないが、彼女もログイン頻度こそ減ったもののこの世界を守るためにときどきログインし俺たちと連携を取っている。

 そして、宿祢は彼女の指示で動く部下みたいなものだ。


 彼が学校に来るようになっても、それは変わっていない。


 宿祢は一呼吸おいて、話の続きを進めていく。


「実はな、俺たちの間でもギルドを作ってくれっていう要請があったんだ。 Sigさんを通してもっと上からの指示だ」


 そうして、マンモスギルドであるパンテオンの子羊も解散した今。

 このCSOで一番強力なギルドとなった【Walküre Tearsワルキューレ・ティアーズ】と連携を取り逢魔の災厄を退けて欲しいということだそうだ。


 ……おそらく、上の権力者たちは気付いている。

 俺たちの世界が、本当は仮想世界だという事に。


 当然、奈瑠美さんとMariaとこの前話したように……俺たちの世界はこのサーバープログラム【エインヘリヤル】が滅ぼされれば消失してしまう。

 それを防ぐために、Sigさんの属する警察の上層部は新たな手を打つつもりだろう。


「……」


「な、なんだ?」


 俺の顔が暗かったからか、宿祢に見られていた。

 何も気にしていなかったふりをして、すぐさま素振りを取り繕った。


「いや……まぁ、ギルド作るのには俺は賛成ってこと」


 宿祢がそう言うと、Akiさんやひーくんも賛成してくれた。


「それじゃ、Mariaにもこの事を……」


 真理愛は先日の話のショックでふさぎ込んでしまったはずだ。

 また思い返させるのも……。


 俺が動きを止めてそう思っていると、色々と察しの良い宿祢がフォローを入れてくれる。


「今は、そっとしておいた方が良いんじゃないか? 返事は遅くなるかもしれないってSigさんには俺から言っておくよ」


「あぁ、助かる……」


 とりあえず、数日程様子を見よう。

 真理愛が学校にきて元気な様子だったら、その時に話してみよう。



 翌日。

 俺の懸念は秋風と共に飛んでいった。


 真理愛はいつも通りに学校へと来ていたんだ。

 友人と楽しそうに話し、いつも通り授業をこなし昼食を食べ、そんな様子を視界の端で気にしていると気付けば放課後になっていた。


「あすまさー、私の事気にしてたけどそんな心配だった?」


「そりゃぁ……」


「心配かけてごめんね。 これからはもう大丈夫だからさ!」


 逆に気を使われてしまったか。

 こういう時、社交性の高い彼女達には敵わないな。


「それで、他に何か用があるんじゃない?」


「あぁ……ギルドを作ろうと思うんだ」


「うん、いいんじゃない!」


 真理愛は俺の予想通り賛成してくれた。


 あのCSOの世界。

 そして、俺たちのこの仮想の現実を守るために……。

 俺は、俺のできることをやっていこう。


 改めて決意を胸に固めていると、CSOをプレイしているクラスメイト達が話しかけてくる。


「飛鳥馬! 今の話ホントか!?」


「あぁ。 ギルドを作って、これから戦力を拡大していく予定だ」


 まずは、学校の皆から戦力に加えていこう。

 連携の仕組みを考え、魔物を倒す手順や街の防衛を効率化する。


 Sigさんと協力し名前を売っていけば、散り散りになっている元パンテオンの子羊のメンバーも集まり大規模な戦力確保になるだろう。

 大群で効率的に動けば、逢魔の災厄をより確実に防げるはずだ。


 クラスの皆はこれからが楽しみになってきたのか、盛り上がっている。


「マジかよ。 俺、何か楽しみになってきたな!」


「パンテオン以上のギルドを作ろうぜ!」


「私も参加したい! 飛鳥馬くん! お願い!」


 皆は盛り上がり、お調子者の一人が高らかに声を上げる。


「よっしゃ! CSOで上位目指して頑張ろうぜ!!」


「「おぉー!」」


 真実を知るのは、俺たちだけでいい。



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