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Data 58-B. 逸脱者 Part2



「実は私は、この世界の神。 と呼ばれている存在なのさ」



――――――


Data 58-B. 逸脱者 Part2


――――――



 奈瑠美さんは、混じり気のない真剣なまなざしで口を開いた。

 冗談で言ってる様子は一切ない。


 この世界の神。

 このヴァルハラで世界への敬意を忘れた人類を戒めるために、逢魔の災厄を引き起こした存在。


「神といえば……逢魔の災厄を引き起こしたあの神ですか?」


「そうさ。 ただ、正確に言えば、私はその神であって、その神ではないんだ」


 彼女は紅茶に一度口を付けてから、息を吐いて話を続けていく。


「この世界では、逢魔の災厄と定期的に戦い続けてきたことを、君たちは知っているね?」


「はい」


 人類は世界を我が物顔で支配し始め、世界そのものや自然へと敬意を欠いていった。

 そして、神は人類を滅ぼすために逢魔の災厄を引き起こした。

 これが逢魔の災厄によって生まれた魔物達が文明を破壊する理由だったはずだ。


「災厄と人類の戦いは続き、抵抗を続ける人類に対し神は痺れを切らしたんだ」


「この世界を観測している神は【エインヘリヤル】へと目を付けた」


 ……エインヘリヤル。

 俺たちの世界と、このヴァルハラを繋ぐサーバープログラム。

 そして人類を救い続けている古代の遺産。


「その神はこの世界を観測、管理する者として直接介入する事はできない」


 わざわざ逢魔の災厄を起こしているのもそれが理由か。

 自分で介入する事が出来ないから、間接的な戒めとして災厄を起こしているんだ。


「エンヘリヤルへと介入するために、その神は自分の魂の一部を引き離してデータにする事で干渉に成功した」


 ……。


「分離したその神の御魂は、次の逢魔の災厄が起こるまでにエインヘリヤルを破壊するため、内部工作員として、その世界で永い時を過ごしていった」


「ただ参った事にね。 その御魂は、その世界で過ごすうちに人というものを知った」


「友情を知り、優しさを知り、人の真心や愛しさを知ったのさ」


 その神はおそらく、武内 弓輝さんの言っていた女性……。


「人類に敵対するはずの存在は、その災厄を防ぐためCSOの開発に陰ながら携わることになる。 もう気付いたようだね」


 そして……その女性とは……。


「それが、奈瑠美さん……」


「そう、私だ。 私は神の切り離された魂の一部。 この世界の管理者から切り離された善性だったのさ」


 ……そして彼女は、俺に目を付けていた。


「そうして、四神に守られながらも英雄の遺伝子を継ぐ家系と、コウリュウを待った」


 彼女は待ったんだ。

 逢魔の災厄を打ち払う存在を。


「そして、俺が……」


「そう、君が生まれた」


 彼女はずっと知っていたんだ。

 俺がこの世界へ行くことも。

 この世界で戦う事も。


 奈瑠美さんは優しい表情で思い出を語る様に、話し続ける。


「英雄の遺伝子を持つ君が新たに生まれて、時が動き出したかのようにCSOの開発は順調に進んでいった」


「私は君の成長を近くで見守りながら……監視していたんだ」


「ただ、私は迷っていた。 新たに産まれた君を、本当にこの世界に送っていいのか」


 ……。


「君は特異点だ。 英雄の遺伝子を確かに継いで生まれた君は、この世界の神に、そしてそれを求める存在から狙われ、様々な試練が待っているだろうとね」


 俺が、狙われていた理由……。


「私は探し続けた。 君を側で守ってくれる相棒を。 君と同じ場所に立ち、苦しみを分かち合い、喜びを共に育める存在を」


 奈瑠美さんの言葉を聞いて、Mariaは何かに気づいた。


「それって……この世界でIrukaをしばらく監視してくれっていう依頼……あなただったの?」


「そうさ。 灯台下暗しとはこのことだね。 彼の通う学校に適正者である君がいたんだ」


 俺がこの世界に奈瑠美さんによって送られて。

 初めてログインしたその日に、Mariaと出会った……彼女は現実世界のクラスメイト、宇佐美 真理愛。


 彼女は、奈瑠美さんの依頼を受けて、最初から俺を探していたのか……。


 そして、彼女から託されたメモリーカード。

 あれは……。


「奈瑠美さん。 あのメモリーカードは……」


「あれは、この世界の観測者である神から君の存在を隠すための……そして、リリスと繋ぐための秘密アイテムさ」


 俺の存在が知られれば狙われることになる。

 なるほど……今まで俺が狙われていたのも……。


 Kazuraたちは、この世界の神と繋がっていたのか……?


「気付いたみたいだね。 カルデアはこの世界の神と接触していた可能性が高い。 まぁ、そこは私も詳しくは分からないが……」


 ……。 


「そうして、君たちは【エインヘリヤル】から飛び出して、逢魔の災厄と戦っていく事になる」


 ……。


「本物の遺伝子を受け継いだ英雄。 そして、その仲間たちと共にね」


 ……。


「そうさ。 【サーバープログラム・エインヘリヤル】の役割は……世界を繋ぐ事ではない」


 ……。


「【英雄を産み出すための、古代の遺産なのさ】」



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