表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/66

Data 56. 転輪の標



Data 56. 転輪の標



 天の雲が咆哮により切り裂かれ、渦を巻いている。


「どうなっておる!? あやつ自我を失くしておるぞ!」


 これは、朱雀である杏ちゃんでも予想外の出来事なのか。


 青龍は俺たちに気づいた途端、口を開きそこへと大地のエネルギーが収束していく。

 そして、眩いエネルギー派を放った。


「俺が!」


(天霊剣・朱鳥アスカ


 朱雀の聖なる炎を剣に纏わせ、エネルギー派を一刀両断する事になんとか成功した。


「ワシの力が馴染んできたようじゃの! Iruka!」


「はい……しかし、剣が……」


 今まで、ありがとう。

 俺は最後に、朽ちていく剣へ礼を述べた。


 さて、どうしたものかな。


「彼女を解放しなくては……」


「今は逃げるぞ! 策を見出すんじゃ!」


 俺は頼まれた。

 苦しむ青龍を置いて、逃げる事は……。


 それに……。


「結界の維持も長くはもちません! 皆さんは逃げてください。 私はここで戦います!」


 八千代さまの言葉を聞いて、MariaにSukuneと俺たちは共に顔を見合わせた。


「俺達も付き合う」


「ありがとう……! 恩に着ます!」


 杏ちゃんは、朱雀の姿へと戻った。


「仕方ないのう。 ワシも一肌脱ぐとするか」


「あなたは!」


 八千代さまは杏ちゃんが只ものではないと分かっていたろうが、正体までは見抜けなかったみたいだな。


 防衛戦を続け、俺たちは次第に追い込まれていく。

 まずい。

 四神で最強の存在と言われるのは青龍と玄武。

 

 玄武は最硬の防御力を誇るとすれば、青龍は最強の矛だろう。

 俺たちも長くはもたないぞ。


「おい! あやつの持っている如意宝珠にょいほうじゅを見よ!」


 杏ちゃんが何かに気づいた。

 如意宝珠、龍が手に持っている宝玉だ。


 その宝玉は逢魔の災厄の魔物のように黒ずんでいる。


「どうにかして、あれを浄化するんじゃ!」


「私に考えがあります! 皆さんはできるだけ防衛を続けてください!」


 八千代さまはそう言って、俺の手を引いていく。

 彼女には、何か策があるのか。


 彼女についていくと、巨大な磐座の前に凄まじいエネルギーが篭る剣が祀られていた。


「この地に眠りし厄を祓う【霊剣・八重垣ヤエガキ】。 これは、女神さまとお会いした貴方にこそふさわしいでしょう」


 八千代さまは気付いていたのか。

 俺が姫神さまと会ったことに。


 そして、この都市と同じ名前を持つ剣。

 この霊剣を持って、如意宝珠に宿る悪の根を断つ、という事か。


 霊剣・八重垣ヤエガキ、力を貸してくれ……。


「光が、Irukaさまへ収束していく……!」


 凄まじい力が、俺へと伝わってくる。

 彼女を止めるために、偉大なる存在が力を貸してくれている……!


(我が化身たちよ。 大事な娘を、止めてくれ)


 その任。

 俺が必ず果たします。


「行こう」


 俺は八千代さまとすぐに戻り、先ほどと同じエネルギー派を切り裂き受け流した。

 先ほどとは比べ物にならないくらい、楽に防げた。


 すごい。

 これが霊剣の、そして、偉大なる転輪聖王の力。


「如意宝珠はなんとかなる。 後は動きを止めないと……!」


 未だに俺たちは防戦一方だ。

 青龍の飛びまわる範囲は、八神峰の結界により制限されてるとはいえ……。

 こうも動き回られては、狙いが定まらない。


 縦横無尽に天を翔る青龍はMariaを狙い、突進してくる。


「Maria! そのまま防げ!」


「そ、そんな! 無茶な!」


 Sukuneの呼びかけに対しMariaはそう言いつつも、聖職者のスキルで結界を展開し青龍の攻撃を防ぐ。

 俺も加勢しよう。


 山頂に存在する冷たい空気を氷に変えていく。


(水ノ式・氷結界)


 Mariaの結界と共に俺の氷の結界を重ねる。

 破られはしたが勢いを止めることができた。


「今だ! Iruka!」


 Sukune。

 彼の職業は、修験者。

 己に眠るチャクラや古神道の自然信仰の元に呪術を扱う、シノビと似た職業だ。

 そして、星の力を読み操ることができる。


 彼の操る月の重力により、青龍は動きを止めた。


(全く、頼りになる盟友だ)


 俺は青龍の持つ如意宝珠へと霊剣を突き立てた。


「祓え」


 朱雀の浄化の力と偉大な神の威光が合わさり、如意宝珠に宿る厄が祓われていく。

 青龍は落ち着きを取り戻し、大地へと溶けるように光の粒子となり消えていく。


(娘は、安らかに眠るだろう。 礼を言う……)


 俺の意識の片隅で、偉大なる王からの呟きが響いた。

 それと同時に、霊剣に宿っていた凄まじい力も消えていく。

 どうやら彼女は苦しみからは、解放されたようだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ