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Data 55. 聖龍



Data 55. 聖龍



 転輪山の山頂へと辿り着いた。

 すると突然、まばゆい光が俺たちを包み込む。


「ここは……」


 気付けば、見渡す限り真っ白な空間に俺は降り立っていた。

 辺りを見回していると、何もない虚空からうっすらと人の影が浮かび上がってくる。

 しばらくすると美しい声と共に、神秘的な雰囲気を身に纏う女性の姿が浮かび上がった。


「貴方をお待ちしていました」


「俺、を……? 皆はどこにいるんですか?」


「皆様は、ここにはおりません。 ここには貴方と私の二人だけです」


 巨大な山を模したかのような大らかさ。

 そして、全てを優しく包み込んでくれそうな、そんな母なる大地のような優しさを感じる。


 八千代さまに……真理愛に似ている……。


「恐れないで。 ここは、私の心の中です」


「貴方の……」


「かつての文明を封じ込めたこの山は、巨大なご神体のようなものです。 その地に、そして中心である頂上へと足を踏み込まれた事で貴方をここへと招くことができました」


 この山自体が、凄まじいエネルギーを持つご神体ということか。


「なぜ、俺を呼んだのですか?」


「当然の疑問でしょう。 それは、貴方にお願いがあるからです」


「お願い、ですか?」


 おそらく、このお方は八千代さまがメッセージを受け取っているという存在。

 このお山に祀られる姫神様だ。


 彼女は、俺の目を真剣に見つめ話を続けていく。


「今から、私は現実で姿を現します。 その際に、都を狙い暴れてしまうでしょう」


「それを、貴方に止めて欲しい。 あの方の遺志を継いだ存在である貴方に」


 ……俺が?


「この世界を脅かそうとする黒い影。 この王朝を脅かした存在達が、再び世界を陥れようとしています」


「彼らは、この地を守護する私をも取り込もうとしています。 ですが、私は子孫であるあの子にそれを伝えなかった」


「貴方ではないと、意味がないのです」


 八千代さまに伝えなかった?

 俺でないと意味がない?


「貴方もご存じの通り、逢魔の災厄はまだ続いています」


「その最後の戦いの舞台は、この地となるでしょう」


「そこで……貴方には、この地を守るために戦ってほしいのです」


 そう。

 逢魔の災厄は終わった訳じゃない。

 その最後の戦いはこの八重垣ヤエガキになると、姫神様は言う。


「もちろんですよ。 そのためにこの世界に来ていますから」


「答えを急ぐ必要はありません。 今はまだ……」


 ……この世界を陥れる存在。

 その存在によって、姫神様は暴走する事になる。

 それはKazura達の事か?


 だが、それよりも気になることがある。

 俺は……あの方の意思を継ぐ存在とは、なんなんだ?


「それより、意志を継ぐって……」


「……頼みました」


「うわっ」


 再び光に包まれて、俺は目を瞑った。


「おーい、Iruka。 へーき?」


「Maria……」


「急にぼーっとしだしたから、心配したよー」


 気付けば、澄んだ蒼い空の下、俺の目の前でMariaが手の平を振っていた。

 現実に戻っていたようだ。


 これから姫神様が姿を現すと言っていたな。

 彼女が……都を狙うと……。


「皆、聞いてくれ……」


 俺がそれを伝えようとすると、突然激しい地鳴りが響き渡った。

 まるで、文明に怒りを感じている神の激昂のようだ。


「こ、これは……! 皆さま! 結界を張ります!」


「手伝うぜ!」


 八千代さまにSukuneが答え、周囲の八神峰ハチシンホウを起点に結界を張っていく。

 これから吹き上がる存在を野放しにしないためだろう。


 数十秒後。

 突然、山頂の窪みから凄まじいエネルギー体が噴出した。


 東方の守護者が顕現し、激しい咆哮を天へと響かせ雲を割いていた。


「これが、青龍……!」



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