表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/64

Data 54-B. 八重垣の聖王 Part2



Data 54. 八重垣の聖王 Bパート



「では、登りながらご説明しましょう」


 登山をしながらも、姫巫女の八千代さまがこの転輪山と。

 そして王朝【円融の都・八重垣ヤエガキ】の成り立ちを説明してくれることになった。


 彼女は一呼吸おいて、過去の道を遡る様に話し始めた。


「古代文明……。 凄まじく高度なテクノロジーを有したその文明が、かつてこの八重垣にありました」


「皆が健やかに過ごせる、争いもない穏やかな文明でした」


 その王朝は世界へと文明を発展させていった。

 世界はどんどん豊かになり、苦しむ人々も減っていったという。


「しかし、次第に世界の人々は自然への感謝を忘れ。 己のうちに秘めた欲望を膨らませていきます」


 世界では豊かになった途端、争いが起こり始めた。

 資源や土地を奪い合い、多くの人が苦しみと共に亡くなっていったらしい。


「そんな時です。 私たちの前に今まで以上の絶望が現れました」


 今まで以上の絶望……。


「まさか、それが……」


「そうです。 逢魔の災厄です」


 逢魔の災厄。

 ゲリラ的に波のように押し寄せる魔物に対し、対抗策を持たない人類は破滅へと追い込まれていった。


「しかし、まだ希望は残っていました。 古代の遺産です」


 この王朝に残されたものと同じ古代の遺産が世界を繋ぎ、救世主を呼び込んだという。

 それが、俺たち求道者。


 そして古代都市ティルナノーグは、この王朝の名残りだったんだ。


「求道者さまの活躍によって、人類はなんとか存命し命を繋ぐことができました」


 人類は逢魔の災厄への対抗手段を手に入れた。

 それ以降も災厄は定期的に起こり、戦いは続いていったのか。


「逢魔の災厄が現れたのは、人間が自然への感謝と敬意を忘れたためです」


「私たちは過去の精神性を思い出し育むために、古代の文明を隠し、封印しました」


 大量の溶岩の噴出を利用して、古い山体をまるまる飲み込ませたという。

 火山の噴火を利用して、過去の文明を埋め立てていったんだ。


 そうして出来たのがこの【霊峰・転輪】

 その霊峰を称えるように付けられた都の名前が、八重垣。


 これが、この都市の背景……。

 そして転輪山は、八重垣の名が示すように、何重にもマグマが蓄積して巨大化した聖なる山……。

 まるで俺たちの知る日本一の霊峰と同じような造りだ。


「そして、私たちの祀るこのお山の頂上に、国造りを持って教えを広めた転輪聖王テンリンジョウオウさまとその腹心が祀られています」


 転輪聖王。

 古代インドの伝説や仏教思想において、理想郷を作りし理想の王とされる存在。


「それは……」


「貴方たちが想像する存在と同じでしょう。 この世界ではそのお方を八神峰ハッシンホウの神と呼んでいます」


 俺たちの世界で、富士山の山頂で祀られる偉大なる国津神は【八千矛ヤチホコの神】。

 八千矛ヤチホコは……ハッセンホコとも読める。


 その名前の由来は……富士山の山頂にある封印の証、八神峰ハッシンホウを模した言葉に連なるものだったんだ。


「それが……この霊峰の成り立ち。 逢魔の災厄との戦いの歴史です」


 逢魔の災厄と戦ってきた人類。

 ……CSOのCMの文句は、このことだったのか。


「そして、私たちの一族ではこの戦いの果てに平和を再び手にすることができるという言い伝えがあります」


「【災厄を全て祓いし時、新たな指導者により封印が解かれる。 その時、真の理想郷が再び姿を現すだろう】」


「そう、伝えられているんです」


 そうして人類が古代の精神性を取り戻した時。

 新たな理想郷で人々は平和に暮らすことができるという。


「そして、山頂を見てください」


「光ってるよ……!」


 山頂からは、太陽の輝きが俺たちの道を神々しく照らしてくれていた。

 まるで決められた道のりのように。


転輪聖王テンリンジョウオウさまの意思を継ぐもの。 その者こそが、新たな指導者となられるのです」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ