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Data 52. 朱鳥の火炎



Data 52. 朱鳥の火炎



 MariaにSukune、そしてリーリムを加えたメンバーで俺たちは山頂を目指す。

 

「なんか、気配がおかしい……」


 もう少しで山頂というところでリーリムが何かを感じ取った。

 この地は神聖なる山だというのにおかしな気配が漂っているという。


「よっぽどの事がない限りは平気のはずなんだけど……」


 しかし、リーリムの言葉は聖なる鳥の声により塗り替えられる。

 山岳地帯へとこの場所を守護する精霊の叫びが響き渡っていた。


 山頂からは、神々しい炎の揺らめきが舞い散っている。


「戦ってる……!?」


「急ごう! 俺は先に行く!」


 皆へと声をかけ、山頂を急ぐ。

 シノビの足には皆はついてこれない。


 俺は一足さきに山頂を目指し、岩山を飛び越えていく。


「……」


 やはり、戦っている。

 俺の眼前では強力な精霊の炎が辺りへと霧散し、フードを被った男が聖なる存在を追い詰めていた。


 俺は悟られないように沈黙を貫きそのまま接近していく。

 精霊は俺に気づいている。

 フードの男に攻撃をするふりをし俺へと聖なる炎を飛ばし託してくれた。


 聖なる炎を剣で受け止め宿す。

 神聖な、そして凄まじいエネルギー密度だ。


(天霊剣・朱鳥アスカ


 俺は剣を横に薙ぎ紅の一閃を放った。


「!?」


 しかしその剣はフードの男を捉えることはなく、実体をもたないかのようにすり抜けた。

 効かない……のか?

 俺とヤツは距離を取り見つめ合う。


 手応えが微塵もなかった。

 まるで、幽霊のようだ。


 それに……。


「お前……」


 時間の狭間に封じられたかのように硬直した僅かな時の中。

 ヤツは沈黙を貫いたまま、その場から存在ごと消え失せるかのように去っていった。


 ……。


「そこの童よ。 助かったぞ」


 ヤツの消えたままの虚空を見つめていると、古風な威厳を保つ女性の声で我に返った。

 その方向に目を向ければ神聖な覇気を纏う朱き鳥が佇んでいた。


「Iruka! 無事か!?」


 そして、ちょうど俺の仲間たちも到着したみたいだ。

 彼女も無事みたいだし、ともかく今は話を進めよう。


「ワシはアンズと申す。 ワシの炎を意のままに操るとは、お主はまるで……。 いったい何者だ?」


「Iruka、と申します。 まず、ここに来た理由を話します」


 俺たちは自己紹介をして、ここへ来た理由を話した。

 それは傷を受けたリリスを癒すために、同胞たちの強大なエネルギーが必要だからだ。


 俺たちはこうした理由があり、朱雀の元を尋ねた。

 もう一方はAkiさん達が白虎の元へ訪れているはずだ。


「なに!? リリスが……?」


「そのために、貴方の力をお借りしたいのです」


 リーリムがこの場へときた経緯を説明した。


 四天霊シテンレイ

 青龍・朱雀・白狐・玄武。

 俺たちの世界で言う四神を、この世界では四天霊と呼び敬われている。

 神獣や大精霊とも呼ばれている存在だ。


 そしてリリスはこの世界で黒龍として玄武の役割を持っていた最強の守護者だという。


 その守護者が戦い敵を追い払えはしたが、傷を癒すための眠りについたことに聖なる朱き鳥は驚きを隠せなかったようだ。


「そして、理由はそれだけではありません」


 俺はもう一つの理由を付け加えて話していく。


 リリスの守っていた場所。

 それは、この世界と俺たちの世界を繋ぐ古代の遺産。

 サーバープログラム【エインヘリヤル】がある。


 エインヘリヤルは古代人が残したこの世界の防衛機構だ。


 そのエインヘリヤルもエネルギーを消耗してしまい、補充しなければならない。

 エネルギーが無くなってしまえば稼働は停止。

 俺たちはこの世界へとくる術をなくし、逢魔の災厄を防ぐ防衛の要もなくなってしまう。


 かつてリリスが言っていた、この世界と俺たちの場所を繋ぐというのはそういう意味だったんだ。

 そのエインヘリヤルを通して武内 弓輝さんはCSOを発明する事に成功した。


 ……とこの前言っていた。


「そうか……という事は、お主が……」


 杏様は何かの得心が生まれたかのように納得していた。


「ならば……ヌシらへと力を貸そう」


「これは……?」


「Irukaよ。 ヌシへワシの力の一部を授けた。 逢魔を祓う力じゃ。 いずれ必要になるときが来るだろう」


 体の中へ、熱い浄化の炎が灯っていく感覚がする。


「そして、ワシも連れていくがよい」


「ですが……その高貴なお姿では人々が敬いのあまり恐れてしまいます」


「リーリムよ。 貴殿はリリスの妹分だというが、あやつも人の姿をしておるのを忘れているようじゃの」


 まさか、杏様も人の姿になれるのだろうか?


「まぁワシは特別じゃ……見ておれ……」


 聖なる炎の揺らめきを放っていた朱き鳥は、幼き少女の姿へと変貌した。

 Mariaはその姿を見てテンションが上がっている。


「カワイイーーー!」


「うむ、こんなものか。 ワシの事は敬意をこめて杏ちゃんと呼ぶがよいぞ!」


 ……。


 フードの男。

 ヤツは……Kazuraなのか?



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