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Data 46. 泥まみれの戦い




「宿祢……」


 死闘が終わり、椅子に繋がったヘッドギアが頭から外れる。


 俺は宿祢を……殺してしまった……。

 俺は宿祢を…………殺してしまった…………。


 俺は…………。



――――――


Data 46. 泥まみれの戦い


――――――



「おい!!!!!!!! 飛鳥馬!!!!!! 倉橋はまだ生きてる!!!!!!」


 !?

 その声は、尾藤!!!

 彼の腹の底からの大声によって、俺は正気を取り戻した。


「無理やり外すと誤作動する!!!!! お前がなんとかしろ!!!!」


 いつの間にか、尾藤は闘技場に降りていて俺へと呼びかける。

 椅子にある殺人装置を止めてくれたのか……!?

 

 そして尾藤は実況のマイクを奪い取り、続けて叫んだ。


「もう直サツが来るぞ!!!!! 捕まっちまう前にズラかれ!!!!!」


 尾藤!!!

 今日ほどお前を頼もしく思った日はない……!


 天変地異が起こったかのような叫びをあげて、会場から人々が去っていく。

 尾藤は闘技場に降りてきたフードを被る不気味な男を足止めしてくれている。

 まずい、あいつは装置を再び起動させようとしているんだ……!


 このままじゃ宿祢が……本当に死ぬ……!


 俺は、本気で地を蹴り、腕を振るい、無我夢中で脚を動かし。

 走った。


 おそらく……あれで……。

 俺はポケットに手を突っ込み、取り出したメモリーカードを差し込んだ。


「リリス頼んだ!」


 声が届いているかは分からないが、リリスへ告げて……ボコボコになりながらもフードの男を足止めしている尾藤に加勢する。

 このままじゃ尾藤も死ぬかもしれない……!


「おりゃぁ!!」


 俺は拳を振りかぶるが、それを躱され足を駆けられコケそうになる。

 想定済みだ、俺の目的はヤツの服を引っ張る事。


 コケそうになる前に伸ばしていた手はKazuraの服へ届き俺はそれを引っ張った。

 そして遠心力を利用して地へ組み伏せようとするが、ヤツのが一枚上手だ。

 地を転がった末に、俺は頭からフードの外れたKazuraに馬乗りされた。

 

「よう。 剣道の借り、返しに来たぜ」


「小僧が……!」


 鷹司タカツカサ 巳葛ミカドはフードの下の素顔を顕わにした。

 その冷静な表情の奥には、俺への憎しみが浮かび上がりそうなほど強張っていた。


 振り下ろされた拳の一発目を頭をひねって躱し、二発目が入る。

 いってぇなこの野郎。


 三発目……。


「うら!!!」


 尾藤のタックルで鷹司は吹き飛ばされる。

 俺は直ぐ様立ち上がって、殴りかかる。


 ヤツにペースを与えてはだめだ。

 尾藤と二人でも多分勝てない……!

 今は時間を稼ぐしかない。


 俺達は同時に殴りかかるが、捌かれる。

 こいつはやっぱり強い……。

 だが、表情に焦りが見える。


 もみくちゃになったりしつつもヤツからいくらか貰ったが、クリーンヒットはない。

 俺達が次々に拳を振り上げるから、やつは対処に追われ力の入れるタイミングを逃している。

 けど、いてぇ……。


 こいつの拳……まるで鋼鉄みたいに固い……!


 俺たちの打撃は捌かれるのに、ヤツは的確に顔面やボディーにあててくる。

 ヤツは痺れを切らしたのか距離を取って、落ちているペンを拾い上げた。

 俺はそのまま本気で突っ走り突進していく。


「ガキ、死ね……!」


 このままじゃカウンターを貰い、刺されて死ぬ。


「!?」


 宿祢が起きていなかったらな!


「やっちまえ、飛鳥馬!!!」


 鷹司は後ろから起きていた宿祢に羽交い絞めにされた。


「どりゃぁっ!!!!!」


 俺は鷹司へと、思い切り助走をつけた回転後ろ蹴りを顎へと打ち込んだ。


「クソガキ共ォ……!!!」


 こいつ、あの状況で急所を反らした。

 俺の蹴りは顎ではなく、ヤツの額に当たったが……フラついている。


 正直まずい、フラつかせたがヤツの目にはさらに殺気が篭りより鋭く、そしておそらくより冷静になった。

 このままじゃ俺たちは殴り殺されるかもしれない。

 そんな予感が背筋を凍らせていくのを感じる。


「いいのか? そろそろ警察も来るぜ」


「クソっ……。 貴様。 CSOにログインしろ」


「今それを言うか?」


「何も知らないガキが」


 ……何が狙いだ。


「そこで多くの人間たちが死ぬかもしれないと言っているんだ。 それでいいなら俺は止めん」


 まさか……この殺人装置を使いCSOにログインしてるユーザーがいるのか?


「潜れば状況は理解するだろう。 そこで俺と決着を付けるか逃げるのか、勝手にしろ」


 そう言って鷹司は、通路の奥へと消えていった。

 多くの人間が……死ぬ……。


 だけど、俺にはやらなきゃいけないことが……!


「そうだ、真理愛は!?」


 俺の言葉に、尾藤は思い出したかのように告げる。


「真理愛は……実は攫っていない。 お前らを釣るための仕込みだったんだ」


 尾藤の話によれば。

 真理愛が捕らえられた写真はテクノロジーを使用して作り上げたフェイク。

 電話も尾藤が知っている番号をハッキングして送ったものということだ。


 ここまでの技術力があるとは……。

 道理でCSOでも悪事を働けるわけだ。


 そしてこいつらには……バックに何かいる。

 宿祢はそれを知っていて、俺に首を突っ込まないように促してくれたんだ。


「そうだったのか……良かった……」


 ともかく、真理愛は無事だ。


「わぅん!」


「アルン。 隠れていたのか」


 もう他に懸念はない。

 鷹司が何を企んでいるのか……知りたい。


「俺は決着を付けに行こうと思う」


「だったら、ついてこい。 中から鍵をかけることができる部屋にデバイスがある」


 確かにそこなら、鷹司が気まぐれで部屋に乗り込んでくることも防げるか。

 警察が来るまでの時間稼ぎにもなる。


 忘れずにメモリーカードを回収し……。

 俺たちは3人でその部屋に向かった。

 その部屋はかなりの設備が整っていて、ヤツらのバックにいる存在達の技術力の高さを表しているようだ。


「俺たちはこのモニターでお前の戦いを見てる。 兄貴を……止めてくれ……」


 ……尾藤の家庭事情は複雑そうだな。


「あぁ、行ってくる。 二人とも現実でのサポート頼んだ」


「行ってこい」


 宿祢に見送られて、俺はCSOへとログインした。


「開け、護摩……!」


<お待ちしておりました。 【逢魔の災厄】が発生しています。 アスカアラムへのゲートを展開します>


 リリス、頼んだ!




<新たなアチーブメントを獲得しました>

疾きこと風の如く 知りがたきこと陰のごとく 勇気の証


<新たな職業が解放されました>

上級EX:???  転職条件:①魔術剣士への昇格、盗賊の習得 ②アチーブメント:風林火山陰雷の獲得 ③???



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