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Data 16. 逢魔の災厄



 8月5日。

 さて、今日からイベント開始だ。

 開始時間は18:00。

 俺たちは少し早めに集まり、今までのプレイ経験から魔物が湧きやすいであろうポイントに向かっていた。

 

 あまり概要を把握できていないメンバーが若干一名いたため、Akiさんがイベントの内容について切り出した。


「皆様。 今一度、イベントのおさらいをしておきませんか?」


「そ、そうそう! あまりイベントページ見れてなかったんだよね~」


 Mariaはあまりイベントの概要を把握できていないみたいだった。

 専門用語も少し出てきたから、分かりづらかったんだろうな。



――――――


Data 16. 逢魔の災厄


――――――



「難しいことはないよ。 ただ魔物を倒せばいいんだ」


 俺はMariaへと説明していく。


 18:00時から夜明けまで、各地でいつもより多くの魔物が湧く。

 魔物を倒せばポイントを獲得。

 そしてイベント終盤は【逢魔おうまよる】という魔の期間がある。


 この期間は更に魔物が大量発生し、街に魔物が向かいだす。

 俺たち求道者ぐどうしゃは、街を防衛すればいい。


「重要なのは、それだけだよ」


「18:00は、逢魔が時……ですね……」


「よく知っているな」


 ヒーくんは博識だな。


 逢魔が時。

 魔の存在達と遭遇しやすい時間帯を指す。

 主に夕方だ。


「へ~。 それじゃ、いつも通りって感じなんだね」


「注意点をあげるとすれば、魔物にはリーダー格のネームドエネミーがいる事もある」


 いつもやってる討伐に加えて、そこが注目点だろう。


 今回のイベントではその強力なネームドが出現しやすくなっているらしい。

 不意を突かれたりしないよう気を付けないとな。


 ネームドはもちろん獲得ポイントが高い。

 大手ギルドなんかは、成績優秀者の目玉特典のために積極的に狙っていくだろう。


 特典は成績優秀者に限らず、討伐したポイントを活かしてさまざまなアイテムを交換できる。


「分かった、いつもより少し気を付けて頑張って魔物を倒せばいいんだね!」


「その通り。 これまでのように息を合わせて気楽にやっていこう」


 その他にも個人プレイヤー、パーティー、ギルド別にランキングが存在するが……。

 俺たちはいわばエンジョイ勢というやつだ。


 上を目指すなら、様々な立ち回りや効率を考えなければいけないけれど。

 俺たちは俺たちのできる範囲で様子を見てやっていこう、となっている。


 少し歩けば目的地の荒野だ。

 そこには【暴れトカゲ】が湧き出るはず。

 ゴブリンやスライムと比べて倒しやすい代わりに量が多い。


 考えなしに動くものを襲ってくるから迎え撃てばいいだけだ。

 このイベントにもってこいの敵ではないだろうか?


【運営からのお知らせ】


【皆様、もうすぐイベントが開始されます。 今までのプレイを活かして存分に腕を振るってください】


【力を合わせて、街や民を守りましょう!】


 運営による告知がなされ、カウントダウンが開始された。


 3 2 1……。


【イベント:逢魔の災厄を開始します!】


「皆、行こう」



――――――



 さて、イベントが開始されて2時間くらいは経ったか?

 魔物のリスポーンが落ち着いてきて周囲にも人が増えてきた。

 幸い狩場争いにはなっていない。

 互いに干渉しない立ち位置を保っている。


「休憩しないか?」


「さんせ~い。 少し疲れちゃった」


 俺たちは魔物に気づかれにくい物陰に移動した。

 大量に湧き出た暴れトカゲを倒し、あっという間に時間が過ぎた。


<Iruka様。 現在のランキングは1位です>

【パーティーランキング:1位 Iruka Maria Aki Higurashi】


「皆。 ランキングを見てくれ」


「え? すごーい! 私たち1位じゃん!」


「まぁ……!」


「すごいですよ!」


 維持し続けるのは難しいかもしれないが、こういった一時の喜びもゲームの醍醐味だ。

 やはりこの荒野は穴場スポットだったみたいだな。


「よーし! このままがんばろー!」


 皆のやる気に火をつけてしまったようだ。

 俺たちは、少し休憩してすぐに荒野へ戻った。


「ネームドだ!」


 討伐を再開してしばらく、初のネームドモンスターが現れた。

 暴れトカゲを率いる【将軍トカゲ】。


 やっかいだな、攻撃は効くが防御力が高い。

 暴れトカゲ討伐のために盗賊から剣士の職業に戻ったが……あまり効いていない!

 Akiさんも周囲の暴れトカゲを捌くのに手一杯だ。


 将軍トカゲを軸に暴れトカゲが波のように攻め立てる。

 それが本来の敵の生態だったのかもしれない。


 一度引くか……?


「皆! もうちょっと耐えて!」


「分かった!」


 Maria、何か策があるのか?



――――――



 現在パーティーランキング1位のIrukaたち。

 その周囲には、運営による魔道具のドローンが飛ばされていた。


 このドローンにより全世界へと、注目プレイヤーの実況中継が配信されている。


 魔道具は透明になり、Irukaたちや周囲のプレイヤーは気付いていない。

 それとは裏腹にIrukaたちの動向には、世界中の多くの視聴者が注目していた。


 将軍トカゲとその手下達に苦戦している彼らにコメントが殺到していく。


・このままじゃ、全滅だ ・彼らはよくやったが潮時だな

・がんばれ! Akiさん! ・あのメガネは何をしているんだ?

・メガネはバッファーだろう ・何かしようとしているぞ


「皆! もうちょっと耐えて!」


「分かった!」


・何かする気だ ・ただの魔法じゃない?

・いや、違うぞ ・なにこれ……?


「魔力を糧に種を模り……増幅、増幅、増幅、増幅」


・何か光ってる? ・杖から電流……!?

・これはマジックアロー? ・いや、電気の矢だ!!!


「いっけぇ!!」


・いけええええええ!!!!!

・属性魔法!?!?!?

・うおおおおおおおお!!!!!

・初めて見た!!

・これってすごいの?


 コメントの希望を力に変えたかのように、Mariaの作った雷光の矢は将軍トカゲに飛んでいく。



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