第29話 実践合宿の話
今回は午前午後で2話投稿
結構修正(2025.06.16)
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[悟川心冶]
色々3連休あったけど、父さんがまさかの有休をとって水族館に連れて行ってくれたのは凄く嬉しかった。そして連休明けの火曜日。それは試験二週間前のこと。クラスでのHR中に土山先生が話があるとやって来た。
土山「皆に合宿のお知らせをさせていただきます」
話の内容は、合宿の説明だった。年間予定表にも書いてあったけど、全学年全学科が必ず1学期に実戦経験を積ませるために合宿を行うと決まってる。遂にその話がやって来たんだ。
土山「まずは参加同意書のプリント配るからね。保護者からのサインと印鑑。後は何処に自分が行きたいかの候補に丸をつけてください。締め切りは来週の月曜日までです」
配られたプリントを僕は眺める。上には説明。そして切り取り線より下に保護者からの同意欄と、行き先候補の欄が書いてある。候補は全部で4つ。長野県・東京都・神奈川県・静岡県のどれか一つ。共通の説明は…観光と化物退治?しかも5日間も滞在するんだ。
土山「驚いてる子もいると思うけど、特殊科の皆はただの能力練習の合宿ってよりかは、2学期でやるインターンに近い感じね。1年生だろうが、もう化物退治の実践経験を積むようにしないといけないの。だから友達がいるからここ!ってよりも、自分に合う場所を選んだ方が良いかも。流石に大人が相手するものよりかは断然簡単な作業を行います。これ成績に入るものだから。よく選んでね」
・長野:星子母市における事件解決の手伝い。参加人数は他3つより多めに求める。
・東京:地下鉄に潜む群衆化物の退治手伝い。
・神奈川:真夜中に電気を奪う被害解決の手伝い。
・静岡:富士山近辺の湖に潜む化物退治の手伝い。
ざっと目を通してこんな説明が書かれていた。うーん悩むなあ。富士山とか見たことあるけど近くまでは無いし、夜中の活動とか面白そうだし。地下鉄となると普通は入れないあのトンネル内を探索できるかもだし。どれもワクワクが出てきそうな場所ばかりだ。
長野…星子母市と言えば星の観測が盛んで、とっても綺麗な夜空が見れるらしいし、あとは多白さんから借りてるあのアニメのモチーフ元でもあるらしい。長野とかいいなあ。行ってみたいかも。
小神「うーん」
「どうしたの小神さん」
小神「あっ、えっとね。どこにしようか悩んでて」
「小神さんなら神奈川のやつ合うと思うんだけど…」
小神「やっぱりそうかな?でも私、夜ぐっすり寝ちゃうタイプだから真夜中に活動は厳しいかもって」
「目覚ましかけても?」
小神「目覚ましあればいけるかな…」
「じゃあ僕が使ってる時計貸すよ」
小神「え」
僕がたまに早い時間に起きるように使っている時計。釣瓶君とランニングする時は自分でいつもの時計で起きれる範囲だけど、それとは違って修学旅行の時とかテスト勉強で早起きするようの時に使っているやつだ。
小神「そ、そこまでしなくても」
「僕のもので小神さんの一助になれたら嬉しいからさ。ね?」
小神「ひょ、ひょぇ~…」
小神さんに僕の時計が合ったら良いんだけどな。時計から手が伸びて顔をもむとかいう変な目覚まし時計だけど……。意外とツボを押してくるから嫌でも目が覚めるんだよね~。小神さんは神奈川の候補に丸をつけた。僕はちょっと遠いところに行きたいのと、今まで満天の星空を見たことないから初体験をしたい思いと、他3つと違い”市”という大きめの事件が気になり長野県の候補に丸をした。
釣瓶「(女子にナチュラル物貸ししたぞ…悟川意外とやるな)」
白星「星子母市…」
釣瓶「?」
◆
HRが終わり放課後。僕の下に燈爾君がやって来て、一緒に寮に戻ろうと帰路につく。
釣瓶「なぁなぁ。心冶は何処選んだ?」
「僕は長野のやつ」
釣瓶「え、一緒だ!」
「本当!?やった。一緒に頑張ろうね」
なんと燈爾君も僕と同じ長野県を選んだみたい。やったー。仲が良い友達がいるだけでとてもありがたいし心強い。合宿は修学旅行みたいに長い宿泊だけどやることは能力を鍛える訓練のようなもの。気を抜いていたら皆に出し抜かれる。ちゃんと頑張らなきゃ。
「そう言えばさ、星子母市の事件ってなんだろうね。ニュースとかよく見るけどあんまり取り上げられてないし…」
釣瓶「あー。噂だと異世界からの化物の仕業って聞くけどどうなんだろうな」
「他のやつはちょくちょくネットで議論やらされてたから何となく分かるけど…長野のやつは地域でしか知られてない系なのかも」
釣瓶「かもなー」
能力者や異世界災害系のニュースは絶対見る僕でも知らないとなると、人間が犯罪してるものなのかも…。でも、調べて出る事件じゃないのは少しだけ引っかかる。どんなに地域的なものでも今のSNSが発展した世の中だったら誰かしら必ず声を上げているものだけど。
「あ、そうだ。多白さんから借りたDVDそろそろ見なきゃ」
釣瓶「あれだろ?俺らが小学2年生位にやってたやつ」
「うん。ちなみに小学生の時やってたのは再放送だよ」
釣瓶「へー最初に放送されたのっていつだったりする?」
「えっとねー僕たちが2,3歳の時かな」
釣瓶「だいたい7年間隔空いてんのか。まあ再放送するには良い空き期間かもな」
「そうかもね。燈爾君も一緒に見る?流石にリビングは申し訳ないから僕の部屋だけど」
釣瓶「いいぜ。面白そうだし。てかDVDのディスプレイ持ってるんだな」
「えへへ。実家から拝借した」
10巻以上もあるしこまめに見ないと。僕が印象に残ってるあの話はどこにあるのかな。
鳥羽愛喜:男・15歳・178cm・4月28日生まれ・【一人称】僕/俺・【出身地】:静岡県
【能力】:鳥を操るなどの能力(どんな鳥でも使役できる。監視や偵察ではかなり強い)
底が見えないふわふわした天然な性格。鳥愛好家で部屋で文鳥やハトを飼育している。鳥が好きだが害鳥被害には普通に厳しい。水速君には猛アタックしたら観念して会話ができるようになった。
【好物】:ざるうどん・鳥・野鳥観察・鳥の世話・鳥を口説くこと
水速「ほぼ鳥ばっかじゃねぇか」
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