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誰ぞ彼のララバイ-せかせか異世界紀行-  作者: トウガ ミト
1章 『東露』の街
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2話 アファルの隠し子--(5)

元第1話部分に関してですが3分の1と記述しておりましたがよく見ると相応の文字数でした。いや、多分増えてますけど。


 手渡してきたパンフレットには12の主役職に関して説明が書かれていた。


 主役職とは、それぞれが必ず持つべきとされている基本的な役職だ。

 学生ならば『学生』という役職になるのかと訊かれれば、違うと言うしかない訳だが。何が違うかと言うと、この役職は生涯変更が効かないという点だ。

 確かに生涯学生という言葉はある。常に色々な事柄を学んで、その血潮にするということはあるだろう。

 だがそれとは少し違う感じだった。


「ここは、様々なモンスターや他国の勢力が犇めいていると言っていい。だからこその自衛をするための職業だと思ってくれたら結構だよ」

「俺の場合〈闘士ムンク〉だったな」


 そう言われてパンフレットを再び見る。


 3種類に分割され、計12種の役職。

 それぞれに、特化したステータスが2つあるようだ。

 まずは体力が多く、誰かを守るための役職。いわゆる所謂『タンク』だ。

 防御力に次いで特化した、西洋を彷彿とさせる『騎士ナイト』。

 攻撃力が次いで特化した、東洋を彷彿とさせる『武士サムライ』。

 幸運力クリティカルが次いで特化した、武闘系の役職『闘士ムンク』。

 これらは、基本的に前衛で、相手の攻撃を受けたり往なしたりと、高い体力を利用した動きで、ほかの味方を守ることが出来る。


 2つ目は攻撃力が高く、相手を魔法・物理的に殲滅する役職。いわゆるアタッカーだ。

 前述の闘士ムンクも似ているが、攻撃力特化とは言いきれないため省かれている。

 回避力が次いで特化した、剣や刀使い『刀剣士スワーダー』。

 命中力が次いで特化した、弓使い『狩人ハンター』。

 幸運力クリティカルが次いで特化した、銃使い『銃士ガンナー』。

 体力が次いで特化した、槌や斧。包括的に言うと、他アタッカー職の武器以外を扱う『冒険家アドベンチャー』。

 精神力、いわゆる魔力に特化した、魔法使い『魔導師マジシャン』。

 これらは基本的に相手と戦闘した時に圧倒する攻撃力で味方を勝利に導く攻撃の要だ。ここが全滅しては、総合力の著しい低下が否めなくなる。


 最後は防御力に長けた役職を中心とした特殊なサポーター。

 回復力が次いで特化した、長期戦での回復の要『施療官ヒーラー』。

 幸運力クリティカルに特化した、魔法とは一線を駕した存在『干渉者イランダー』。

 回避力に特化した、音楽の使い手という特殊な位置にある『奏者プレイヤー』。

 精神力に特化した、モンスターの使役などを行う『眷属遣い(イランダー)』。

 回復を中心とした後方支援や戦線維持を可能な形にしつつ、それぞれの得意とする支援能力をより伸ばした形だろう。


 より詳細な情報はここには載っておらず、あくまでも簡単な紹介で終わっている。

 いや、不十分という訳では無い。


「どうです?」

「そうですね……」


 役人は、特に何かを推すわけでもなくただ僕の一存に任せているようだった。

『変更出来ない』という点があるからだろう。責任は自らに……という事だ。


「決めました」


 文字列をみる限り明らかに初心者不向きの主役職があるような気がしていた。

 まだバランスのいいやりやすいものがいい。

 かといって前衛を任せられる訳にも行かない。どうせならば、別の手で護りたい。


刀剣士スワーダーで」

刀剣士スワーダーでいいんだね?」

「はい。迷いはありません」

「分かった。あと複雑だけど〈雪樹図せつじゅず〉も覚えておかなくてはね」

「……何ですか? その噛みそうな名前」

「まあ見ながら説明しよう。いわゆる属性の相性の話だ」


 一通り登録が終わるまで少し時間がかかるのだろうか。

 どこかから1枚のカラフルな表を取り出した。そこには12の印と矢印が描かれている。


「属性は12個あるんだ。主役職と同じ数だね」

「内側のこの6属性は……弱いということですか?」

「いやそういう訳じゃないよ。基本属性というものだね。外側は応用属性。強化版と思ってくれたら大丈夫だね」


 内側の6属性。

 それが、ほぼ時計回りに、4すくみと相互1つの関係を作っている。

 熱・水・風・土。光・闇。

 ゲームでよく見る属性表だ。光と闇が相互関係を築き、独立しているのをよく見ていたが、まさかここでも目にすることになるとは。

 そして外殻に当たる6属性。

 炎・氷・嵐・地。陽・陰。

 こちらは関係表が、相互関係にある陽と陰を除き、反時計回りに出来ている。

 強化版となるようだが、炎ならばマグマとか使えるのだろうか。

 応用属性という言葉に、ただ単に強化しただけという結果は期待していない。


「なんとなくは覚えましたが」

「うん」

「これは今決めるものなのですか?」

「決めておくものだよ」

「武器に付与という方法で別属性を扱うことはあるが、登録しておくとその属性に属したことになるようだ」

「まあ武器の方の威力が基準値よりも上ならば、影響を受けることも多々だろうね」


 つまり、熱を選べば雪樹図の『熱』の関係性に従うことになるということだろうか。そして属性が偏った時は自分の立ち位置もその属性によって左右されるということだろう。


 それならばと迷うことなくひとつの属性を選択する。

 そして登録した時だ。

 いつの間にか、奥に戻っていたアンネが再び姿を現したのは。


「登録が終了しました」

「おう、サンキュー」

「そしてこちらが、その印です」


 そう言って渡されたのは金色のネックレス。財産でも分配しているのだろうか。

 そう思った時だ。

 目の前に意味不明な画面が現れたのは。


「開きましたね」

「これは……」

「〈ITTアイティーティー〉というものです。通称『イート』ですね。いわゆる連絡や情報交換を可能とした、個人情報保持ツールという感じでしょうか」


 そう言って、ステータスのことを念じてくださいと言われる。

 すると言われた通りに、ステータス画面らしきものが現れた。

 中には様々な情報が詰まっている。


「こいつは、ここ一番の貴重品だ。電話きにもなり得るし、発信機にもなり得る。そして財布でもある」

「貴重品を一つに纏めた感じですね」

「落としたら大惨事だぞ」


 笑いながらカツトヨはそう答える。確かに盗まれたらどれほど悪用されるかわかったものじゃない。

 だが、違和感があった。


「もし死んだら……」

「安心してください。貴重品として衣類やこういったアクセサリは欠落しないようになっています」

「つまり、首にかけたらかけっぱなしって事ですか」

「そうなりますね……まあアクセサリ判定なので、自分の意思でデザイン変更やら、位置変更は出来ますよ。手放すことは出来ませんが」

「それは……安全だ」


 個人情報について納得したところでカツトヨが、アンネに礼をしているのを眺める。

 ここでの仕事はここまでなのだろうか。


「登録作業をありがとう」

「それが仕事なので気になさらず……それに……彼、面白そうじゃないですか」

「アンネもそう思うか」


 何が面白そうなのか。揶揄う意味でなのか、真面目に言ってなのかは全く想像がつかない。

 だが、あの二人を見ているとどこか楽しそうなのは伝わった。


 二人の笑い声はこの建物の天井から一番下まで反響していた。

アファルの隠し子--(5) 登場人物


来霧


カツトヨ・アンネ=ラディスト

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