黒崎くんのお土産の行方
その後、黒崎くんは白鳥先輩に無事にお土産を手渡せたみたいで白鳥先輩はふわふわ、ふわふわ。
いつも以上に軽やかでどこまでも飛んでいきそうだ。
そんな白鳥先輩に憤死しているのは黒崎くん。
「恥ずか死ぬ」
そう言って僕に壁ドンしてくるのはやめて欲しい。
前に同じことして白鳥先輩に勘違いされたことを忘れちゃったのかな?
「それで、付き合えたの?」
「ばっか、お前。そんなんまで進めていたら苦労してねーよ」
他の女の子には軽く嘘の告白だって出来ちゃうのにね!
村崎さんへ告白したこと、忘れてないからね!
「黒崎くんも大変だねぇ」
「お前はいいよな、修学旅行二日目。俺も白鳥先輩と同学年だったらな……。先輩、もう時期卒業だし、それまでにはなんとかしないと」
その言葉で思い出した。
今朝配られた進路票。
僕は、メイクアップアーティストになりたい。
そのための専門学校にいきたい。
お母さんを説得出来るだろうか。
「黒崎くんは、どこの大学受けるの?」
「白鳥先輩がいく大学」
「そっか……頑張ってね!」
一途だなぁ。
そういえば、村崎さんはどこに進学するんだろう。
というか、夢とかあるんだろうか。
僕は、親しくなれたと思ったのに村崎さんのことをあまり知らないことに愕然とした。
今度聞いてみようかな。
そう思っていたら通り掛かった村崎さんに黒崎くんから壁ドンされているところを目撃されてしまった。
「……なにしてんの?」
「ちょっと戯れてただけだって、な?」
村崎さんはジト目だ。
「青江くん、中学時代に男子から告白されていたって黄瀬くんも言ってたしね」
「誤解だよ!村崎さん!ああ、もう!退いて黒崎くん!」
僕はさっさと歩く村崎さんのあとを追い掛けて弁明していく。
なんで今度はこんな目に遭わなきゃいけないんだ!
内心泣いていると、村崎さんが笑った。
「冗談だよ」
「冗談に聞こえないよ〜」
村崎さんは唇を尖らせたあと、ふっと笑った
少し後ろでついてきていた黒崎くんも笑った。
「やっぱり村崎さんもいいな」
「黒崎くん!」
僕が怒って振り返ると、黒崎くんの遥か後方。
白鳥先輩が真っ青になって立っていた。
「白鳥先輩!」
「えっ!?」
黒崎くんが慌てて振り返る。
「やっぱり、そうよね。ちょっと後輩からお土産を貰ったくらいで浮かれて……、私、恥ずかしい……!!」
そのまま走って飛んで行った。
「白鳥先輩!違うんです!白鳥先輩!」
黒崎くんが慌てて追い掛ける。
「なんなの、あの二人」
「さあ?」
追い掛けて、追い回されて、すれ違って。
恋はままならないと言うけれど、あの二人にぴったりだ。




