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第41話 零番目の相談者

数年前。


御影音羽の事件をきっかけに、当時の生徒会長・橘圭吾は「放課後相談窓口」を作ろうとしていた。


しかし、その提案は却下された。


生徒を守るためだけではない。


学校側の問題を、生徒たち自身に見つけられることを恐れた可能性があった。


そして現在。


音羽は、自分の言葉で訂正を希望した。


御影朔もまた、姉の人生を取り戻すのではなく、自分自身のこれからを考え始めている。


相談番号零。


長く続いた相談に、ようやく終わりが近づいていた。

「学校として、御影音羽さんの申請記録を訂正します」


その言葉を聞いても。


誰も拍手はしなかった。


放課後。


職員室横の会議室。


机を囲んでいるのは。


ぼく。


一ノ瀬ひより先輩。


佐伯先生。


御影朔くん。


そして。


画面越しの御影音羽さん。


学校側からは管理職の先生が一人。


数日前までなら。


もっと多くの人がいた。


桐生先生。


藤崎先生。


御影くんのお母さん。


橘圭吾さん。


久世綾音先輩。


鳴海律くん。


事件に関わった人たち。


でも。


今日は。


相談番号零を終わらせるための日だ。


だから。


必要な人だけがいる。


管理職の先生が、書面を読み上げる。


「当時の校内放送について、御影音羽さん本人が訂正を希望していたにもかかわらず、学校記録には『訂正を希望しない』と残されていました」


音羽さんは、画面の向こうで黙って聞いている。


「調査の結果」


一つ。


本人が署名していない書類が、本人名義の申請書として保存されていたこと。


二つ。


本人への直接確認を行わず、『本人意思確認済』として処理されていたこと。


三つ。


当時の複数の教職員が、本人の希望と異なる可能性に気づきながら、十分な確認を行わなかったこと。


四つ。


当時の管理職が、学校側の責任問題への発展を避ける意図を含め、訂正対応を終了させたこと。


そして。


「当時、生徒会から提案されていた相談窓口についても、適切な検討を行わず却下していたことが確認されました」


ひより先輩が。


ほんの少しだけ目を伏せた。


放課後相談窓口。


現在の放課後相談室より前に。


同じ部屋で。


作られようとしていた場所。


「ただし」


管理職の先生は続ける。


「これらについて、特定の一人だけがすべてを行ったとは確認されていません」


誰かが。


書類を作った。


誰かが。


意味を変えた。


誰かが。


確認を省いた。


誰かが。


印を押した。


誰かが。


止めることをやめた。


だから。


一人を選んで。


全部を背負わせることはしない。


でも。


「誰にも責任がなかった、という扱いにもいたしません」


音羽さんが。


ゆっくりうなずいた。


数日前。


本人が学校へ送った言葉。


誰かを処罰するためだけの訂正にはしないでください。


でも。


誰にも責任がなかったことにも、しないでください。


その希望が。


そのまま。


学校の記録へ残される。


「御影音羽さん」


管理職の先生が聞く。


「訂正後の記録内容を、もう一度確認していただけますか」


画面に。


文章が表示される。


私は、当時の校内放送で流れた告白をしていません。


放送された音声は、私が編集練習で作成した音声データを、本人の許可なく校内放送へ使用されたものです。


私は事件発生当時から、事実の訂正を希望していました。


訂正申請を取り下げた事実はありません。


音羽さんは。


しばらく読んだ。


「これでお願いします」


それだけだった。


泣かなかった。


笑わなかった。


「全校への訂正放送は?」


「しません」


「ホームページ等での公表は?」


「今は希望しません」


「今後、希望が変わった場合は?」


「その時に、また考えます」


「わかりました」


選択。


今。


決める。


そして。


あとから変えることもできる。


そのための記録。


音羽さんは。


少し息を吐いた。


「……終わったんですか」


ひより先輩が聞いた。


音羽さんは。


画面越しに。


少し考えた。


「学校の訂正は」


「うん」


「でも」


音羽さんは笑った。


「私の人生まで、今日で何か一区切りって感じはしないです」


「そっか」


「たぶん明日も普通に起きます」


「うん」


「仕事行って」


「うん」


「帰って」


「うん」


「夕飯食べます」


御影くんが。


少しだけ笑った。


「姉ちゃん、今何食べてるの」


「何で今聞くの」


「普通の話した方がいいかなって」


「その入り方が不自然」


「……難しい」


ひより先輩が笑う。


「練習中だね」


御影くんが。


少しむっとする。


「一ノ瀬先輩に言われたくないです」


「何で?」


「普通の会話なのに相談みたいに聞くから」


「え」


「今の『何で?』とか」


「書記くん」


「はい」


「私、そんなに相談っぽい?」


「かなり」


「即答?」


音羽さんが。


画面の向こうで。


今度は少し大きく笑った。


「ああ」


御影くんが言う。


「姉ちゃん、笑った」


「笑うよ」


「昔より」


音羽さんが。


少しだけ目を細める。


御影くんが止まった。


「……ごめん」


「うん」


「比較しない」


「別に禁止してないよ」


「でも」


「朔」


音羽さんは。


弟を見る。


「昔の私を思い出してもいいんだよ」


「……うん」


「私も覚えてる」


「うん」


「放送が好きだったことも」


「うん」


「毎朝発声練習して、近所迷惑だったことも」


「本当に迷惑だった」


「何でそっちだけ即答なの」


少し。


普通の姉弟になった。


事件の前と同じではない。


戻ったわけでもない。


でも。


今の二人として。


話している。


それでいいのだと思う。


「御影くん」


ひより先輩が言った。


「相談番号零の話をしてもいい?」


「はい」


ぼくは。


記録用紙を開く。


最初の相談内容。


姉の声を、元に戻したいです。


途中。


姉の事件を追うことをやめたら、自分が何をすればいいかわからない。


そして。


現在。


姉が、自分の声や過去をどう扱うか、自分で決められる状態にしたい。


ひより先輩が聞く。


「今は?」


御影くんは。


しばらく黙った。


「……姉ちゃんは」


「うん」


「もう、自分で決めてます」


「うん」


「学校の訂正も」


「うん」


「僕に何を見せるかも」


「うん」


「昔に戻りたいかどうかも」


「うん」


「僕が、戻してあげるものじゃなかった」


音羽さんは。


何も言わない。


弟の言葉を。


そのまま聞いている。


「だから」


御影くんが言った。


「姉のために、という相談は」


少し。


間を置く。


「終わりにします」


ひより先輩は。


すぐに何も言わなかった。


代わりに。


ぼくを見る。


「書記くん」


「はい」


「記録」


ぼくは。


相談番号零の最後に書く。


本人希望により、姉の事件に関する代理的な相談を終了。


ぼくのペンが。


そこで止まる。


御影くんが。


じっと見ている。


「終わり?」


「まだです」


「何が?」


「御影くん本人の相談があります」


御影くんが。


少し困った顔をした。


「……まだあるんですか」


「あります」


「容赦ないですね」


ひより先輩が笑う。


「相談室だからね」


「姉の事件を追うことをやめたら、自分が何をすればいいかわからない」


ひより先輩が言う。


「こっちは?」


御影くんは。


長く考えた。


そして。


「まだ、わかりません」


と答えた。


「じゃあ」


「でも」


御影くんは続けた。


「今すぐ決めなくてもいいんですよね」


朝倉澪さん。


まだ選ばない。


成瀬冬馬くん。


戻らない。


何度も。


相談室で出てきた答え。


ひより先輩は。


少しだけ笑った。


「うん」


「なら」


御影くんは言う。


「しばらく、何もしないでみます」


「何もしない?」


「姉の音声を探さない」


「うん」


「昔の記録を調べない」


「うん」


「誰が悪かったか、新しく探さない」


「うん」


「放送室も……」


そこで。


御影くんが止まる。


「放送室は?」


ひより先輩が聞く。


「鳴海に」


「呼び捨てなんだ」


「最近、そうなりました」


「仲良くなった?」


「たぶん」


「そこ曖昧なんだ」


「鳴海に、放送委員会へ来ないかと言われました」


ぼくとひより先輩は。


同時に御影くんを見る。


「え?」


ひより先輩が先に声を出した。


「御影くんが?」


「はい」


「放送委員?」


「正式に入れって話じゃないです」


「じゃあ?」


「古い録音機材の整理を手伝え、と」


「鳴海くんらしい……」


御影くんが。


少しだけ笑う。


「姉のためじゃなくて」


「うん」


「自分が音を好きなのかどうか」


「うん」


「もう一回、考えてみます」


音羽さんが。


画面の向こうで目を見開いた。


でも。


すぐに何も言わなかった。


「姉ちゃん」


「何?」


「反対?」


「……反対しそうな顔してた?」


「少し」


「何で私が決めるの」


御影くんが。


一瞬止まる。


それから。


小さく笑った。


「そうだった」


「自分で決めなさい」


「うん」


「でも」


「何?」


「録音する時は、相手に聞きなさい」


「……はい」


会議室に。


笑いが起きた。


事件を笑ったのではない。


御影くんが。


笑えるところまで来ただけだった。


ぼくは。


相談番号零へ。


最後の記録を書く。


本人希望。


姉の事件を追う行動を一度終了する。


今後については、現時点で決定しない。


本人が希望した場合、再相談可能。


そして。


相談状態。


終了。


「終わりました」


ぼくが言う。


御影くんが。


記録用紙を見る。


「本当に?」


「はい」


「相談番号零」


「はい」


「閉じるんですね」


ひより先輩が。


少しだけ首を傾けた。


「嫌?」


「いえ」


御影くんは。


少し考える。


「……終わるの、変な感じです」


「わかる」


ひより先輩が答える。


「相談って、終わった瞬間に全部解決するわけじゃないから」


「はい」


「でも」


先輩は。


相談用紙を閉じるぼくの手を見る。


「ここから先は、相談室が持たなくていい」


御影くんが。


顔を上げる。


「御影くんが持っていく」


「……はい」


「重かったら、また来る」


「はい」


「それでいい」


御影くんは。


今度こそ。


うなずいた。


画面の向こうで。


音羽さんも。


「朔」


「何」


「また連絡して」


「普通に?」


「普通に」


「何話せばいい?」


「知らない」


「……相談室で聞こうかな」


「自分で考えなさい」


また。


少し笑いが起きる。


オンライン通話が終わる。


御影くんも。


佐伯先生と一緒に会議室を出た。


扉が閉まる。


静かになった。


残ったのは。


ぼくと。


ひより先輩。


相談番号零の用紙。


「終わったね」


ひより先輩が言う。


「はい」


「長かった」


「はい」


「何回くらい、私、泣いた?」


「数えていません」


「記録担当なのに」


「必要な記録ではありません」


「そこは記録してなくてよかった」


先輩は。


椅子の背にもたれた。


「書記くん」


「はい」


「私ね」


少し。


間が空く。


「今回、何度か相談室やめた方がいいのかなって思った」


ぼくは。


何も言わず待つ。


「盗聴されて」


「はい」


「昔のことが出てきて」


「はい」


「灯里さんの声も使われて」


「はい」


「相談室があったから、御影くんがあんなことをしたのかなって」


「……」


「でも」


ひより先輩は。


机の上の相談番号零を見る。


「相談室がなくても、御影くんは困ってたんだよね」


「はい」


「音羽さんも」


「はい」


「橘先輩の時から」


「はい」


「場所があったから事件が起きたんじゃなくて」


先輩は言う。


「困ってる人がいるから、場所が必要だった」


ぼくは。


うなずいた。


「そう思います」


ひより先輩は。


少し笑った。


「じゃあ」


「はい」


「続けたい」


その声は。


以前より小さかった。


でも。


迷いがない。


「灯里さんのためじゃなく」


「はい」


「御影くんのためだけでもなく」


「はい」


「私が、続けたい」


ぼくは。


記録用紙を閉じる。


「わかりました」


「それだけ?」


「何がですか」


「何か、あるでしょ」


「正式再開には、設備確認と先生の承認が必要です」


「書記くん」


「はい」


「今、それ?」


「必要なので」


ひより先輩が。


大きく息を吐いた。


「……もう」


でも。


笑っていた。


ぼくも。


少し笑った。


「あと」


ぼくは言う。


「一つあります」


「何?」


「ぼくも続けます」


ひより先輩の表情が止まる。


「……書記くんも?」


「記録担当が必要なので」


「そこ」


「はい」


「絶対、それだけじゃないでしょ」


「何がですか」


「……」


先輩は。


ぼくをじっと見る。


近い。


気がする。


いや。


机を挟んでいる。


いつもと同じ距離だ。


でも。


何となく。


逃げにくい。


「必要なので、以外で言ってみて」


「何をですか」


「続ける理由」


ぼくは。


少し困った。


相談者なら。


質問を返す。


でも。


今。


相談者はひより先輩ではない。


ぼくも。


書記ではあるけれど。


相談記録を書く必要はない。


「……先輩が」


「うん」


「一人でやると危ないので」


「ひどくない?」


「事実です」


「ほかには?」


まだ聞く。


「先輩が」


「うん」


少し。


言葉に詰まる。


「……いないと」


ひより先輩が。


待っている。


「相談室っぽくないので」


「…………」


「何ですか」


「書記くん」


「はい」


「今、逃げたよね」


「逃げていません」


「逃げた」


「必要な説明です」


「耳赤いよ」


ぼくは。


反射的に耳へ手を当てた。


ひより先輩が。


笑った。


「確認しちゃった」


「一ノ瀬先輩」


「はい」


「今の発言は記録しません」


「残したかったなあ」


「残しません」


「じゃあ、私が覚えておく」


「……勝手にしてください」


「うん」


先輩は。


少し嬉しそうだった。


何となく。


負けた気がする。


会議室を出る。


廊下。


窓の外は夕方。


部活動の声。


靴音。


いつもの学校。


数日前まで。


全部が事件の手がかりに見えた。


今は。


ただの放課後だった。


生徒会室へ戻る。


三枝莉子先輩。


黒崎悠真先輩。


青柳楓先輩。


久世綾音先輩。


鳴海律くん。


何人かが。


すでに集まっていた。


「終わった?」


三枝先輩が聞く。


「はい」


ぼくは答える。


「相談番号零、終了です」


黒崎先輩が。


小さく息を吐く。


青柳先輩は。


目を閉じた。


久世先輩が。


鳴海くんを見る。


「聞いた?」


「はい」


「御影くん、明日来るって」


「機材整理ですよね」


「そう」


ひより先輩が言う。


「鳴海くん」


「はい」


「朔くんを放送委員に入れるの?」


「まだ決めていません」


「本人は?」


「本人も決めていません」


「いいね」


ひより先輩が笑う。


「まだ選ばない」


鳴海くんは。


少し不思議そうな顔をした。


「それ、流行ってるんですか」


「相談室では結構」


生徒会室の机。


古い青色のファイル。


放課後相談窓口 試行案。


橘圭吾。


数年前。


採用されなかった計画。


その隣に。


現在の放課後相談室の運営ファイル。


ひより先輩が。


二冊を見比べる。


「ねえ」


「はい」


「これ」


古いファイル。


相談番号0。


御影音羽。


相談継続不能。


理由。


相談者退学のため。


その紙は。


もう書き直さない。


音羽さんは。


当時の相談を再開しないと決めた。


だから。


未完了のままでもいい。


途中で終わった相談。


それ自体も。


あったことだから。


ひより先輩は。


新しい相談記録台帳を開く。


「書記くん」


「はい」


「正式再開したら」


「はい」


「相談番号、一からやり直す?」


ぼくは。


少し考える。


「今までの番号を継続してもいいと思います」


「でも、零があるよ」


「はい」


ひより先輩は。


古い記録を見る。


そして。


首を横に振った。


「消さないでおこう」


「何をですか」


「零」


先輩は言う。


「最初から、うまくできた相談室じゃなかったこと」


「はい」


「相談を受けられなかった人がいたこと」


「はい」


「御影くんが間違った方法で、相談者になろうとしたこと」


「はい」


「それも全部」


ひより先輩は。


新しい台帳の最初のページに。


小さく書いた。


相談番号零 終了。


「残しておこう」


ぼくは。


その文字を見る。


「公開はしません」


「もちろん」


「必要な人だけが確認できる記録です」


「うん」


「では」


ぼくは言う。


「次の相談から通常番号へ戻します」


「了解、書記くん」


三枝先輩が。


呆れたように言う。


「もう次の相談を受ける前提なのね」


ひより先輩が振り返る。


「来るでしょ」


「何でそう思うの」


「学校だから」


先輩は笑う。


「誰かしら、何か困ってるよ」


その時。


生徒会室のドアが。


控えめにノックされた。


全員が。


そちらを見る。


一回。


少し間。


もう一回。


ひより先輩と。


目が合った。


事件ではない。


たぶん。


脅迫状でも。


偽の写真でも。


存在しない声でもない。


ドアを開ける。


そこに立っていたのは。


一年生の女子生徒。


両手で。


小さな紙袋を持っている。


顔は。


真っ赤だった。


「あの……」


彼女は。


部屋の中を見た。


そして。


ひより先輩へ言った。


「放課後相談室って」


一度。


息を吸う。


「好きな人の相談でも……まだ、いいんですか?」


部屋の空気が止まる。


ひより先輩が。


ぼくを見る。


ぼくも。


先輩を見る。


そして。


先輩は。


久しぶりに。


恋愛相談室だった頃と同じ笑顔を見せた。


「もちろん」


少しだけ。


間を置いて。


「むしろ、それが元祖です」


三枝先輩が。


額を押さえる。


黒崎先輩が笑う。


青柳先輩も。


久世先輩まで。


ほんの少しだけ口元を緩めた。


鳴海くんだけが。


「元祖?」


と首を傾げている。


ぼくは。


新しい相談記録用紙を一枚取った。


長かった相談番号零は。


ここで終わる。


そして。


次の相談は。


たぶん。


世界を揺らす秘密ではない。


学校の隠蔽でもない。


誰かの声を奪う事件でもない。


ただ。


好きな人がいて。


どうすればいいかわからない。


そんな。


放課後相談室らしい相談だった。


第41話まで読んでくださり、ありがとうございます。


今回は、長く続いた御影音羽・御影朔編の一区切りとなりました。


学校は、音羽本人の希望に基づき、過去の記録を正式に訂正することを決定します。


ただし。


誰か一人へすべての責任を負わせるのでもなく。


誰にも責任がなかったことにするのでもありません。


音羽は、過去の自分へ戻りません。


朔も、姉を昔の姿へ戻すことをやめました。


そして、相談番号零。


姉の声を元に戻したい。


という相談から始まり。


最後には、


自分がこれから何をするかは、まだ決めない。


という御影朔本人の選択へ変わりました。


相談番号零は終了します。


しかし、その記録は消しません。


相談室が最初から正しかったわけではないこと。


相談を受けられなかった人がいたこと。


間違った方法で相談者になろうとした人がいたこと。


そのすべてを、必要な記録として残します。


そして物語は、ここから少し新しい段階へ進みます。


最後に放課後相談室へやってきたのは。


好きな人について相談したい、一年生の女子生徒。


次回からは一度、大きな事件を離れて。


「恋愛相談室」らしい、小さくて少し不思議な相談へ戻ります。


もちろん。


この学校なので。


たぶん、それだけでは終わりません。


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