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第34話 大ごとにしない方がいい

御影朔は、相談者たちの声を無断で集め、加工し、放課後相談室を試していた。


彼は相談者であると同時に、加害者でもある。


その責任を認めたうえで、朔は姉・御影音羽に起きた事件について語った。


音羽の偽の告白音声を編集した人物と、校内放送へ流した人物は別。


そして、放送した人物は生徒ではない。


当時、音羽へこう告げた教師だった。


大ごとにしない方がいい。

「当時、姉に『大ごとにしない方がいい』と言った先生です」


御影朔くんの言葉が、会議室の中へ重く落ちた。


誰もすぐには動かなかった。


職員室の近くにある、小さな会議室。


壁の向こうでは、先生たちが行き来している。

印刷機の動く音。

電話の呼び出し音。

誰かが生徒の名前を呼ぶ声。


いつもと変わらない学校の音だった。


けれど、その中に。


御影音羽さんの声を、本人の意思とは違う言葉へ作り替え、校内へ流した人物がいるかもしれない。


今も、この学校に。


「御影くん」


佐伯先生が、慎重に口を開いた。


「その教師の名前を、あなたは知っていますか」


「知っています」


「本人が放送したところを見ましたか」


「いいえ」


「では、どのような記録を根拠にしているのか、説明できますか」


御影くんは、すぐには答えなかった。


机の上で、両手を強く組んでいる。


さっきまで彼は、相談者たちの声を盗み聞きしたこと。

複数のアカウントを不正に使用したこと。

青柳楓先輩へ、姿を隠すよう指示したこと。


それらを一つずつ認めてきた。


しかし、今から話すことは、自分の行為ではない。


姉を傷つけた人物についての告発だ。


間違えれば。


別の人間を、今度は御影くん自身が加害者にしてしまう。


「記録は、三つあります」


ようやく、御影くんは言った。


「一つ目は、職員用放送設備の使用履歴です」


「誰が使用したと残っていましたか」


「個人名ではありません」


御影くんは答える。


「職員室第二端末、とだけ」


「使用時刻は?」


「姉の声が流れた時刻と一致しています」


「それだけでは、使用者は特定できません」


ぼくが言うと、御影くんはうなずいた。


「わかっています」


反発はなかった。


「二つ目は?」


佐伯先生が聞く。


「編集データに残っていた環境音です」


「環境音?」


「偽の音声を作った生徒が、誰かと話しています」


御影くんは、少しだけ目を伏せた。


「相手の声は小さい。でも、聞き取れる部分があります」


「何と話しているんですか」


ぼくが聞いた。


御影くんは、言葉を選ぶように間を置いた。


「これなら本人が認めたことにできる、と」


一ノ瀬ひより先輩の表情が硬くなる。


「本人が認めたことに……?」


「はい」


「音羽さんが告白したと認めたことにする?」


「たぶん」


「三つ目は?」


御影くんは、佐伯先生を見る。


「姉が残していたメモです」


「音羽さん本人の?」


「はい」


「学校を辞める前に、先生との話し合いで言われたことを記録していました」


「そのメモには、名前が書かれているんですか」


御影くんは、ゆっくりうなずいた。


「書かれています」


会議室の空気がさらに重くなる。


「そのメモは、今どこにありますか」


「姉の家です」


「原本ですか」


「はい」


「写真やコピーは?」


「僕のパソコンに写真があります」


学校が預かっている、御影くんのノートパソコン。


その中に、証拠と思われるデータがある。


「まず、学校側で正式に確認します」


佐伯先生が言った。


「御影くんの説明だけで、誰かを呼び出したり、責任を追及したりはしません」


御影くんの表情がわずかに揺れた。


「信用しないんですか」


「信用するかしないかではありません」


先生は答える。


「あなたを守るためでもあります」


「僕を?」


「もし記録の読み違いや、思い込みがあった場合、あなたが新たに別の人を傷つけることになります」


御影くんは黙る。


「また、記録が正しかった場合でも、学校として正式な手続きが必要です」


「大ごとにしないためですか」


御影くんの声が、少し鋭くなった。


佐伯先生は、すぐには否定しなかった。


その一瞬の沈黙に、御影くんの目が冷たくなる。


「やっぱり」


「違います」


佐伯先生は、はっきり答えた。


「大ごとにしないためではありません」


「では、何のためですか」


「事実を曖昧にしないためです」


先生は御影くんをまっすぐ見た。


「あなたのお姉さんの時、学校は何が起きたかを十分に調べなかった可能性があります」


「可能性ではありません」


「今はまだ、私が確認できていないから可能性と言っています」


御影くんの拳が少し緩んだ。


「でも、確認します」


佐伯先生は続けた。


「学校にとって都合が悪いことでも」


御影くんは、少しだけ目を伏せた。


「……そう言った先生は、初めてです」


ひより先輩が、静かに聞いた。


「御影くん。当時の先生の名前を、今ここで私たちに言いたい?」


御影くんは顔を上げる。


「知りたくないんですか」


「知りたい」


ひより先輩は答えた。


「すぐにでも聞きたい」


「なら」


「でも、私が名前を聞いたら……その人を見る目が変わる」


御影くんは黙った。


「記録を確認する前に、その人を犯人だと思うかもしれない」


「証拠はあります」


「それを、先生と一緒に確認する」


「時間がかかります」


「うん」


「その間に、証拠を消されたら?」


ひより先輩は、少し考えた。


「だから、保全を先にする」


「本人へ知らせる前に?」


「うん」


「名前を聞かずに、できますか」


佐伯先生が答える。


「御影くんからは、管理職の先生へ個別に伝えてください。その人物には知らせず、先に記録を保全します」


「一ノ瀬先輩には?」


御影くんが聞く。


ひより先輩は、小さく息を吐いた。


「私は、まだ聞かない」


声には迷いがあった。


でも、逃げてはいない。


「……我慢できるんですか」


「難しい」


「なら、聞けば」


「聞かない」


御影くんの眉が動く。


「どうして」


「私は今、その先生を疑う気持ちが強すぎるから」


ひより先輩は正直に言った。


「灯里さんのこともある。黒崎くんが音声を隠したこともある。相談室が盗聴されていたこともある」


「今、名前を聞いたら……たぶん私は、確認より先に怒る」


「怒ることは悪いんですか」


「悪くない」


「なら」


「でも、怒りを理由に答えを決めるのは違う」


御影くんは、ひより先輩を見つめた。


「先輩は変わりましたね」


「前を知ってるの?」


「ずっと見ていましたから」


「……そうだったね」


ひより先輩の顔に、複雑な表情が浮かぶ。


見られていたことは怖い。

盗み聞きされたことは許せない。


それでも。


御影くんが見てきた時間まで、なかったことにはできない。


「御影くん」


ぼくは聞いた。


「編集データに残っていた生徒の声は、誰のものかわかっていますか」


「わかります」


「今も学校にいますか」


「いません。卒業しています」


「連絡先は?」


「知りません」


「その人は、御影音羽さんの音声を編集したことを認めていますか」


「いいえ」


「では、音声の中の会話だけ?」


「それと、編集ソフトの利用者名」


「本人名ですか」


「生徒用アカウントです」


「他人が使った可能性は?」


御影くんは、少し黙る。


「……あります」


「なら、そこも確認が必要です」


「はい」


以前の御影くんなら。


自分の見つけた記録が正しいと押し通したかもしれない。


でも今は、ぼくの問いを受け止めた。


「高槻くん」


御影くんが言う。


「はい」


「僕は……何を確認すれば、信じていいと思いますか」


不意の質問だった。


「誰を信じる話ですか」


「記録です」


「記録は、信じるものではありません」


御影くんが少し目を見開く。


「では、何ですか」


「比べるものです」


ぼくは答えた。


「時刻。操作履歴。本人の話。別の記録。矛盾する部分」


「全部が一致したら?」


「一致しすぎる時も疑います」


ひより先輩が、ぼくを見る。


「書記くん、記録に対して疑い深すぎない?」


「記録は、作れます」


御影くんが、小さくうなずく。


「僕が作りました」


存在しない声。

偽の操作履歴。

他人のアカウント。

編集された記録。


御影くん自身が、記録を信じすぎる危険を証明している。


「だから」


ぼくは続けた。


「一つの記録だけで決めません」


「姉のメモも?」


「はい」


御影くんの顔が少し硬くなる。


「姉が嘘を書いたと言うんですか」


「言っていません」


「でも」


「音羽さんが、その時どう感じたかを記録した大切な資料です」


「ただし、先生が実際に何と言ったかを証明するには、ほかの確認も必要です」


御影くんは、長く黙った。


「……難しいですね」


「はい」


「もっと簡単に、悪い人を決められると思っていました」


ひより先輩が言った。


「決めた方が楽だからね」


「先輩も?」


「うん」


「灯里さんの時、誰か一人が悪いって思いたかった」


ひより先輩は、自分の手を見る。


「公開告白を考えた人。噂を広めた人。先生に話した黒崎くん。止められなかった私」


「一人を選べば、その人だけを責めて終われるから」


「でも、終わらなかった」


御影くんは、ゆっくりうなずいた。


「姉の時も……たぶん同じです」


「音声を編集した生徒」


「流した先生」


「止めなかった放送委員」


「大ごとにしない方がいいと言った学校」


「そして、姉の声を使い続けた僕」


最後の一つを言う時。


御影くんの声は、少し震えた。


「御影くん」


ひより先輩が聞く。


「音羽さんへ送ったデータは、まだ届いていないんだよね」


「配送状況では、今日届く予定です」


「止められる?」


「配送会社へ連絡すれば、できるかもしれません」


「どうしたい?」


御影くんは、少し考えた。


「止めたいです」


「お姉さんへ見せなくていい?」


「見せるかどうかは……姉が決めることです」


「うん」


「でも、今の送り方は違う」


「返事を求めるみたいに、全部送りつけた」


「それを止めたい」


御影くんの母親が、初めて口を開いた。


「朔」


御影くんが母親を見る。


「お母さんが、配送会社へ連絡する」


「でも」


「あなた一人でしないで」


静かな声だった。


責める声でも。

庇う声でもない。


「私も……音羽のことを、音羽に聞かずに決めてきたから」


御影くんの表情が揺れた。


母親は、膝の上で手を握っている。


「学校を辞めたあと、もう学校の話をしない方がいいと思った」


「録音機も、放送の資料も、全部片づけようとした」


「音羽が嫌がっても、忘れた方が楽になると思った」


「だから、朔が一人で集めていたことにも気づかなかった」


「お母さん……」


「ごめんなさい」


御影くんは、何も答えられなかった。


家族の中でも。


音羽さん本人へ聞かずに、周りが答えを決めていた。


忘れた方がいい。

関わらない方がいい。

思い出させない方がいい。


大ごとにしない方がいい。


同じ言葉が、形を変えて繰り返されている。


佐伯先生が、管理職の先生を呼んだ。


御影くんは、母親と別室へ移動し、音羽さんのメモに記された教師の名前を伝えることになった。


ぼくとひより先輩は、その場には入らない。


「待っていてください」


佐伯先生が言う。


「確認が済んだ範囲から、必要な情報を共有します」


「はい」


ひより先輩は答えた。


御影くんが立ち上がる。


会議室を出る前に、ぼくたちを振り返った。


「一ノ瀬先輩」


「うん」


「僕が戻るまで……相談番号零を閉じないでください」


「閉じないよ」


「でも、僕は聞き取りへ行きます」


「戻ってこられる」


「学校から処分を受けるかもしれません」


「それでも」


ひより先輩は言った。


「相談を受けたことは、なくならない」


御影くんは、少しだけ目を伏せた。


「……はい」


ドアが閉まる。


会議室に残ったのは、ぼくとひより先輩。


そして、机の上の相談番号零。


姉の声を、元に戻したいです。


「書記くん」


「はい」


「元に戻すって、どういうことだと思う?」


「わかりません」


「また正直」


「音声データを消すことではないと思います」


「うん」


「訂正を出すことだけでもない」


「うん」


「全員に忘れてもらうことはできない」


「……うん」


ひより先輩は、御影くんの相談内容を見つめた。


「音羽さんが、自分の声を嫌いじゃなくなることかな」


ぼくは少し考えた。


「それも、音羽さんに聞かないとわかりません」


「そうだね」


「でも」


「何?」


「御影くん自身が、姉の声を自分のもののように持つのをやめることは必要だと思います」


ひより先輩は、ゆっくりうなずいた。


「守るために持ってたつもりで」


「はい」


「ずっと離さなかった」


「はい」


「音羽さんに返すんじゃなくて、自分で抱えてた」


ひより先輩は、小さく息を吐いた。


「私も……灯里さんのことを、ずっと自分の失敗として持ってた」


「はい」


「灯里さん本人の気持ちより、自分が守れなかったってことばかり」


「灯里さんは、自分を理由に相談室を続けるか決めないでほしいと言いました」


「うん」


「御影くんも、姉を理由に自分の行動を決め続けていました」


「似てるね」


「少し」


「そこは同じって言わないんだ」


「違う部分が多いので」


「書記くんらしい」


ひより先輩は、少しだけ笑った。


その時。


会議室の外が、急に騒がしくなった。


複数の先生の声。


足音。


誰かが「放送を止めて」と言っている。


ぼくとひより先輩は、顔を見合わせた。


「何かあった?」


ひより先輩がドアへ向かう。


廊下へ出ると、職員室のスピーカーから音声が流れていた。


放送委員会の久世綾音先輩の声。


「現在、通常の校内放送は停止しています」


「今流れている音声は、放送委員会が送出しているものではありません」


冷静な声だった。


しかし、その直後。


別の音声が重なった。


若い女子生徒の声。


「私、そんなこと言ってない」


御影音羽さん。


過去に流された、偽の告白音声ではない。


事件のあと。


自分は言っていないと訴えた、本物の声。


「録音を切って、つなげられたの」


その声が、現在の校内放送から流れている。


「どうして……」


ひより先輩がつぶやく。


御影朔くんは、今、管理職の先生と別室にいる。


学校が預かったパソコンや機器にも触れられない。


放送委員会の通常回線は、ネットワークから切断されている。


それでも。


音羽さんの声が流れている。


職員室の先生が、緊急放送設備の確認へ走る。


佐伯先生が戻ってきた。


「一ノ瀬さん、高槻くん。会議室へ戻ってください」


「音声はどこから?」


ぼくが聞く。


「職員用放送端末です」


御影くんが言っていた。


音羽さんの偽の声は、職員用設備から流された。


そして今。


音羽さんの本物の声も、同じ設備から流れている。


「誰が操作していますか」


「使用中の端末は、職員室第二端末」


先生たちが、その場所へ向かう。


職員室第二端末。


数年前、音羽さんの声を流した履歴が残っていた端末。


「そこに誰が?」


ひより先輩が聞く。


佐伯先生の顔が硬くなる。


「端末の前には……誰もいません」


遠隔操作。


予約送出。


あるいは、別の端末からの接続。


音羽さんの声は続いていた。


「大ごとにしない方がいいって、先生は言いました」


廊下にいる全員が動きを止める。


御影くんが持っていた、姉の記録。


その中に残されていた声なのか。


「学校にいづらくなるのは、あなたですよって」


音羽さんの声が震えている。


「だから、忘れた方がいいって」


「でも……忘れられません」


音声の向こうで、紙を握る音がした。


「私が言ってない言葉を、みんなが私の言葉として覚えてる」


「先生も、仕方がなかったことにしようとしてる」


そして。


音羽さんは、教師の名前を呼んだ。


「桐生先生」


廊下の奥で、何かが落ちる音がした。


全員が振り向く。


一人の男性教諭が、書類の束を床へ落としていた。


五十代くらい。

国語科。

現在は二年生の学年主任。


桐生和正先生。


顔色が、真っ白になっている。


スピーカーから、音羽さんの声が続く。


「先生が放送したんですか」


「私の声を」


「先生が?」


桐生先生は、動かなかった。


周囲の先生たちが彼を見る。


佐伯先生も。


ひより先輩も。


ぼくも。


しかし。


音声は、そこで不自然に切れた。


代わりに、低く加工された声が流れる。


「見つけましたね」


御影朔くんの声ではない。


彼が使っていた加工音声とも、微妙に違う。


「でも……御影朔は、まだ知らない」


ひより先輩の表情が変わる。


「何を?」


相手に届かないとわかっていても、問いかける。


加工された声は答えた。


「姉の声を流したのは、桐生先生です」


桐生先生の肩が震える。


「でも、音声を作った生徒は」


一度、間が空く。


「御影音羽本人です」


廊下の誰もが、言葉を失った。


自分の声を切り貼りし。


自分が告白したような偽音声を作ったのが。


被害者である音羽さん本人。


そんなはずはない。


そう思った。


けれど。


記録を確認する前に、否定することもできない。


「嘘です」


会議室の後ろから声がした。


御影朔くんが立っている。


管理職の先生と母親も一緒だった。


御影くんの顔には、怒りと混乱が浮かんでいる。


「姉が、自分で作るわけない」


スピーカーの向こうで、加工された声が笑った。


「では……本人に聞いてください」


「姉は、もう学校に来ません」


「来ていますよ」


その言葉と同時に。


職員室の入口付近で、女性の声がした。


「朔」


御影くんの体が固まる。


廊下の向こうに、一人の女性が立っていた。


二十歳前後。


肩までの髪。

小さなバッグ。

手には、御影くんが送ったと思われる箱。


御影音羽さん。


本人だった。


音羽さんは、弟を見た。


桐生先生を見た。


そして。


職員室のスピーカーを見上げた。


「その放送を止めてください」


静かな声だった。


でも。


録音ではない。


加工もされていない。


御影音羽さん自身の、今の声。


「私の話は……私がします」


校内放送が、止まった。


突然。


学校全体が、音を失ったように静かになった。


御影朔くんは、姉を見つめている。


「姉ちゃん……」


音羽さんは、すぐには近づかなかった。


「朔」


「うん」


「私の声を集めるのを、もうやめて」


御影くんの目から涙が落ちる。


「でも、姉ちゃん」


「それから」


音羽さんは、桐生先生を見る。


「先生にも、話してもらいます」


桐生先生は、何も答えない。


音羽さんは続けた。


「私が何を作ったのか」


「先生が何を流したのか」


「学校が、何を隠したのか」


一つずつ。


誰か一人だけを悪者にしないために。


でも。


誰の責任も曖昧にしないために。


御影音羽さんは、自分の足で学校へ戻ってきた。


自分の声を。


今度こそ、自分の言葉で話すために。


第34話まで読んでくださり、ありがとうございます。


今回は、御影音羽の偽音声を校内放送へ流した人物について、御影朔の証言と記録を確認する流れを描きました。


御影朔は、職員用放送設備の履歴、編集データに残った会話、音羽本人のメモから、現在も学校にいる教師が関わっていると考えていました。


しかし、記録は一つだけで判断せず、複数の事実と本人の話を比べる必要があります。


そして校内放送から、音羽本人が事件後に残した声が流れました。


大ごとにしない方がいい。


学校にいづらくなるのは、あなたですよ。


音羽が名前を呼んだ人物は、現在の二年生学年主任・桐生和正先生でした。


さらに、何者かは新たな謎を告げます。


音羽の偽の告白音声を作ったのは、音羽本人だった。


その直後。


御影音羽本人が、学校へ姿を現します。


私の話は、私がします。


次回は、音羽が偽音声を作った理由、桐生先生がそれを校内へ流した理由、そして学校が隠してきた事実が明らかになっていきます。

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