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「21歳ー神城刹那」
二十一歳。
父親に連れられ、初めて大きな商談に同席した。
相手企業の代表は、年上の刹那を値踏みするように見ていた。
「随分お若い。まだ学生さんでしょう?」
「ええ」
刹那は穏やかに微笑んだ。
「ですが、今回の条件については、年齢と関係なく判断できるかと」
資料を一枚、相手の前に差し出す。
「こちらの提案を受け入れていただけない場合、当社としては別の選択肢を取ることになります」
「……それは、交渉の余地がないということですか?」
「余地はございます。ただし、双方に利益がある場合に限ります」
声を荒らげることはなかった。
威圧することもなかった。
ただ、静かに微笑んでいる。
その目には、何の感情も浮かんでいなかった。
商談が終わると、父親は珍しく刹那を褒めた。
「見事だった。お前もようやく、神城の人間らしくなったな」
「……ありがとうございます」
刹那は丁寧に頭を下げた。
父親は気づかなかった。
その言葉を聞いた息子が、少しも嬉しそうではなかったことに。




